3段階ある鬱の状態。軽症・中等症・重症の特徴を解説

鬱状態

鬱病は、一生涯で100人のうち約6人が発症するといわれる身近な病気です。
鬱病の重症度は「軽症・中等症・重症」の3段階があり、診断基準に当てはまる症状の数や、生活への支障の度合いで判断します。

本記事では、鬱病の段階ごとの症状や特徴について解説します。

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鬱病レベル:軽症

軽症の鬱病は、診断基準9項目のうち、5項目を超えない程度に満たす状態と定義されています。
本人は「1日中なんとなくだるい」「何事にもやる気が起きない」と感じながらも、仕事や勉強、家事は何とかこなせます。
多少の違和感があっても、ほかの人とのコミュニケーションも図れます。
普段の生活はどうにか送れているため、本人も周りの人も病気であることに気付かないことが多いです。

軽症の鬱病で見られる具体的な症状

軽症の鬱病でよく見られる症状は、次のものが挙げられます。

  • 口数が少ない
  • 集中力が落ちて作業や勉強の効率が悪い
  • ちょっとしたことで不安や焦りを感じる
  • 見た目や服装を気にしなくなる
  • 何でもネガティブにとらえてしまう

鬱病レベル:中等症

中等症の鬱病は、軽症と重症の中間に相当するものと定義されています。
中等症になると、あらゆる面で気力が出なくなり、睡眠障害も生じるようになります。
また仕事や勉強などに支障が出るようになることで、周りの人が異変に気付くようになるのが中等症です。
しかし、本人は頑張ろうという気持ちがあるため、パフォーマンスが低下していることを責めてしまう傾向が見られます。

中等症の鬱病で見られる具体的な症状

中等症の鬱病で見られる症状には以下のものがあります。

  • 頭や肩が重い
  • 下痢や便秘が続く
  • テレビや趣味などに関心を示さなくなった
  • 外出が減り自宅にこもるようになる
  • 友人と会うのを避けるようになる
  • 会社や学校の遅刻が増える
  • 食欲がない、または急に食欲がなくなる
  • 体重の急な増減

鬱病レベル:重症

重症の鬱病は、診断基準9項目のうち、5項目をはるかに超えて満たすものと定義されています。
重症になると、仕事や勉強などに明らかな支障が出て、周りの人とコミュニケーションを図ることも非常に困難になります。
さらに、食事や水分を摂らなくなったり、家族が受診を勧めても拒否したりするなど日常生活が送れなくなります。
重症の鬱病では「消えてしまいたい」「死にたい」といった希死念慮が強くなり、入院が必要なケースもあります。

鬱病に用いられる薬

鬱病の治療法は、薬物療法・精神療法・電気けいれん療法・休養などがあります。
以下より薬物療法で使われる薬の種類について、わかりやすく解説します。

抗うつ薬

鬱病の薬物療法で主に使用されるのは抗うつ薬です。
抗うつ薬は、脳内の神経伝達にかかわるセロトニンやアドレナリンを増やして、ゆううつ感や不安症状などを改善します。
作用の違いからSSRI・SNRI・NaSSA・三環系・四環系の5種類にわけられます。

抗うつ薬は、服用してから効果があらわれるまで約2週間かかるため、焦らずに続ける必要があります。
副作用について、SSRI・SNRIは胃腸症状、NaSSAは眠気や体重増加、三環系は口の渇きや便秘、四環系は眠気やふらつきがあります。
副作用は服用数日後からあらわれますが、時間の経過とともに軽くなることが多いです。
ただし、症状がつらいときは主治医へ相談しましょう。

その他

鬱病では、不眠症状や不安症状などをともなっていることが多いです。
不眠症状が深刻な場合は、睡眠薬が一緒に処方されます。
不安感や焦燥感がある場合は、必要に応じて抗不安薬を併用することがあります。

鬱病のサインを見逃さないようにしましょう

鬱病は重症度によって、症状に違いがあります。
重症化するほど回復までに時間がかかるため、早めに鬱病のサインに気付くことが大切です。
身近な人の様子がこれまでと違うと感じたときは、本人に自覚がなくても医療機関の受診や専門家への相談を勧めましょう。

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参考文献
  • 国立精神・神経医療研究センター こころの情報サイト「うつ病」
  • 厚生労働省 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳「ご存知ですか?うつ病」
  • 日本うつ病学会治療ガイドライン Ⅱ.うつ病(DSM-5)/ 大うつ病性障害 2016