抗生物質によって、多くの感染症が治るようになりました。
しかしながら、抗生物質を正しく使用しないとかえって病気が治らなくなることもあります。
本記事では、抗生物質の特徴、抗生物質で治療できる症状などについて解説していきます。
抗生物質とは
抗生物質とは、細菌による感染症に効果がある薬です。
厳密には「抗菌薬」のうち、微生物が自然につくった化学物質を抗生物質と呼んでいます。
(本記事では「抗菌薬」を「抗生物質」として解説していきます。)
抗生物質は、細菌の細胞を壊して死滅させたり、細菌が自力で増殖する能力を邪魔したりすることで、細菌を退治します。
細胞の構造や増殖の仕組みが異なるため、細菌以外の真菌やウイルスによる感染症(風邪など)には抗生物質は効きません。
また、抗生物質を使用することで、常在菌や体に良い菌まで殺してしまうため、副作用が出ることがあります。
耐性菌の出現や副作用を防ぐために、抗生物質を適切に使用しましょう。
抗生物質の種類と効果
抗生物質の種類により、効果がある細菌の種類も異なります。
ここでは、作用する仕組み別に大きく3種類に分けて紹介します。
細胞壁合成阻害薬
細胞壁合成阻害薬は、多くの細菌がもっている細胞壁の合成を防ぐ薬で、β-ラクタム系(ペニシリン系やセフェム系)・グリコペプチド系・ホスホマイシンの3系統です。
細胞壁は人間にはありません。
代表的なアモキシシリン水和物やセフジトレンピボキシルは、ブドウ球菌や肺炎球菌などに効果があります。
タンパク質合成阻害薬
細菌の増殖に必要なタンパク質の合成を妨ぐ薬は、アミノグリコシド系・マクロライド系・テトラサイクリン系などです。
マクロライド系やテトラサイクリン系は、細胞壁をもたないマイコプラズマ属の細菌に対しても効果があります。
核酸合成阻害薬
核酸(DNAとRNA)の合成を防ぎ、新しい細菌を増やさないようにする薬には、ニューキノロン系・サルファ剤などが分類されます。
ニューキノロン系は、様々な感染症の治療に効果があり、点眼薬として使用されるものもあります。
抗生物質が処方されやすい症状
ここでは、どのような症状のときに抗生物質が処方されやすいのか紹介していきます。
細菌性の感染症
感染症の症状(発熱・腹痛・発疹など)と検査の結果、細菌による感染症と診断された場合に、抗生物質が処方されます。
効果的な治療を行うために、原因菌の特定は非常に重要です。
ケガをしたとき
ケガをしたときに、傷口から細菌が入らないようにするために、抗生物質が含まれた塗り薬が処方されることがあります。
特に、傷口からの浸出液が多いときや、傷口から臭い匂いがするときには、細菌感染している可能性が高いため、抗生物質が効果を示します。
抗生物質は市販薬でも手に入る?
抗生物質は、塗り薬や目薬は販売されているものの、飲み薬は市販では手に入りません。
前述のとおり、抗生物質の効果を正しく発揮するためには、どの細菌による感染症か診断した上で最適な抗生物質を選ぶことが大切です。
医師でも判断が難しいこともあるため、病状から勝手に判断するのはやめましょう。
また、効果があるからといって抗生物質を使ってしまうと、常在菌や体に良い菌まで殺してしまいます。
かえって感染症にかかりやすくなったり、薬剤耐性菌(抗生物質が効かない菌)により治療ができなくなったりすることがあります。
それらを防ぐためにも、抗生物質の飲み薬はドラッグストアなどで市販薬として扱っていません。
抗生物質が処方されたら、決められた期間を必ず守って服薬しましょう。
症状が改善したからといって途中で服薬をやめたり、余ったからといって薬を他の人にあげたりしないようにしましょう。
抗生物質が処方された場合には説明を受けた注意点を守りましょう
治るようになった病気が多い半面、抗生物質は正しく使用しなければ効果はありません。
薬剤師から具体的な注意点について説明を受けたら、必ず守ってください。
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処方された薬についてはオンラインで薬剤師から説明を受けられるため、ネット環境がある場所であれば、どこからでも処方薬の問い合わせができます。
慢性的に抗生物質を利用されている方は、是非とどくすりの活用をご検討ください。
また、緊急で抗生物質が必要な方は、近隣の薬局を利用しましょう。
参考文献
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- 厚生労働省「抗生物質・抗菌薬の正しい使い方」