症状としては男性に多く見られる「顔の赤み」は、脂漏性皮膚炎かもしれません。
体質だから治らないというものではなく、生活習慣を見直してこまめにケアをすることで、改善することが可能です。
本記事では、脂漏性皮膚炎とは何か、起こりやすい部位、日常生活での対策方法や治療薬について解説していきます。
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脂漏性皮膚炎とは
脂漏性皮膚炎とは、脂っぽい皮膚がポロポロと落ち、肌が炎症を起こして赤くなる病気です。
皮脂の分泌が活発な部分に発生しやすいことが特徴です。
最も多く見られるのが30〜70代の人で、女性よりも男性に発生しやすい傾向にあります。
原因ははっきり特定されていませんが、いくつかの要因がかけ合わさっているようです。
適度に皮脂が洗浄できていないこと、皮脂の多い場所に生息しやすい「マラセチア菌」という真菌が増殖していること、生活習慣の乱れ、食事の偏りなどが要因として挙げられます。
また、脂漏性皮膚炎は「他人にうつる病気ではないか」といわれることもありますが、そのようなことはありません。
普段どのように生活しているかという点が大きく左右する症状のため、他人にうつることはありません。
ただし遺伝的な要因で「皮脂が出やすい体質であるから親子で同じ病気が出ている」ということは、可能性としては考えられます。
ニキビとの違い
ニキビは、死んだ皮膚細胞が溜まっていたり、細菌や乾燥した皮脂などが皮膚の毛穴を塞いだりすることによって生じます。
脂漏性皮膚炎は面状に脂っぽいカサカサした状態が生じることに対して、ニキビは点状に隆起が生じることが大きな違いです。
乳児脂漏性皮膚炎の特徴
乳児脂漏性皮膚炎とは、出生2〜3週間ごろの赤ちゃんに、黄色いベタベタとしたフケやかさぶたができる状態のことを指します。
母親から受け継いだホルモンが一時的に多いことが、原因のひとつといわれています。
生後3か月くらいからホルモン減少とともに消失・改善していくため、入浴時に泡で優しくシャンプーをして様子をみる場合が多く、保湿剤でケアをします。
脂漏性皮膚炎が起こりやすい部位
脂漏性皮膚炎は、皮脂腺が多くある場所や、普段の入浴のときに洗い残しがある場所、洗いにくい場所に起こりやすい傾向があります。
- 頭皮、髪の生え際
- 顔(おでこ、眉毛、鼻のわき、耳まわり)
- 脇の下
- 前胸部
- 陰部
日常生活から対策できること
脂漏性皮膚炎の一番の治療は、日常生活の改善にあります。
皮脂が多くなりすぎることで悪化していくため、皮脂が多くならないための対策が必要です。
食生活(食べてはいけないもの)
皮膚上の脂を減らすためには、食事から摂取する脂の量を減らしましょう。
脂質が多い、カレー、ハンバーグ、唐揚げ、中華料理は避けてください。
また、適度な量はかまいませんが、甘いお菓子・炭水化物の食べすぎは、カロリー過多により中性脂肪が蓄積されやすいため、皮脂がネバネバして除去されにくくなる原因となります。
肥満の方はダイエットをすることによって、自然と脂漏性皮膚炎が解消されるケースもあります。
シャンプー
シャンプーは1日1回とし、洗いすぎ・洗わなさすぎは避けるようにしてください。
しっかり泡を立てて、爪を立てずに指の腹で優しく丁寧に洗いましょう。
洗髪後はたくさんのお湯で、洗い流せたという感覚が得られるまで洗い流すようにしてください。
市販のシャンプーなら、低刺激性のものを選びましょう。
すこし値段は高くなりますが、抗真菌薬を配合したシャンプーもおすすめです。
皮膚科で購入することができるため、少しでも早い改善を求める方は、試してみる価値はあるでしょう。
洗顔
洗顔をする際も、なるべく肌の刺激にならないように意識することが大切です。
お湯は38度程度のぬるま湯を使い、たっぷりのお湯を両手ですくって、できるだけ肌に指が直接触れないようにかけていきます。
熱いお湯での洗顔や、シャワーを直接当てて洗顔するのは、肌に刺激となるため避けましょう。
石鹸はしっかりと泡立てて、たっぷりの泡でマッサージをするイメージで洗顔します。
泡のすすぎ残しがないように、十分なお湯で流していきましょう。
肌が乾燥すると、保湿しようとして皮脂が分泌されて悪化の原因となるため、洗顔をしたらすぐに化粧水などで保湿するようにしてください。
ストレスを溜めない・規則正しい生活を送る
過度にストレスが溜まってホルモンバランスが崩れると、脂漏性皮膚炎が悪化する要因となります。
また、不規則な生活は免疫力が落ちて、皮膚の治癒が遅くなります。
ストレスをため込まないようにリラックスする時間を作ったり、十分な睡眠時間をとったり、適度な運動をしたりするようにしましょう。
入浴はシャワーで終わらせず、ゆっくりと湯船に浸かることもおすすめです。
脂漏性皮膚炎の治療法
脂漏性皮膚炎の治療の一番のポイントは、生活習慣を改善することですが、症状がひどく生活に影響が出ている場合は、治療薬が用いられることがあります。
ステロイド外用薬
炎症が強い場合には、主にステロイド軟膏が処方されます。
脂漏性皮膚炎は、長期にわたって症状が出る事が多く、軟膏もその間は塗り続ける必要があります。
そのため、ステロイドによる副作用が出やすいことが特徴です。
皮膚が薄くなったり、にきびができてきたり、風邪や感染症にかかりやすくなったら、主治医に相談しましょう。
抗真菌外用薬
原因となるマラセチアという真菌の活動を抑えるために、抗真菌外用薬を処方することがあります。
炎症をある程度抑える効果もあります。
副作用が出にくく、治療して改善した後は再発しにくいということが特徴です。
その他
かゆみが強い場合には、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン剤の飲み薬が処方されることがあります。
皮膚の新陳代謝を促すために、ビタミン剤を処方することも検討されます。
脂漏性皮膚炎の改善は生活習慣の見直しが基本
脂漏性皮膚炎は、日々の生活を見直すことで改善が期待できる症状です。
脂の量が多い食習慣になっていないか、正しい方法で洗髪や洗顔は行えているか、など基本的なことを意識することから始めてみましょう。
それでも症状が良くならない場合は、治療薬を検討しましょう。
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参考文献
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- 一般社団法人山口県医師会「脂漏性皮膚炎」
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- MSDマニュアル「脂漏性皮膚炎」
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- MSDマニュアル「にきび(ざ瘡)」