【薬剤師監修】双極性障害の薬の種類は?副作用や飲み続ける理由を解説

【薬剤師監修】双極性障害の薬の種類は?副作用や飲み続ける理由を解説

目次

双極性障害の薬は、気分の波をならす気分安定薬と、興奮や不安をしずめる抗精神病薬が二本柱です。うつ状態が長く続いていても、うつ病と同じように抗うつ薬が中心になるわけではなく、この違いが治療のわかりにくさにつながっています。

リーマスやラミクタールといった代表的な薬がそれぞれ何を担っているのか、躁・うつ・落ち着いた時期で処方がどう変わるのか、副作用や妊娠を考えるときの注意点まで、次の診察で主治医に相談するときの材料になる形で整理しました。

この記事の要約

  • 双極性障害の薬物療法は気分安定薬と抗精神病薬が中心で、抗うつ薬は主役にならない
  • 気分安定薬はリーマス、デパケン、テグレトール、ラミクタールの4種類が使われる
  • 抗精神病薬はジプレキサ、ビプレッソ、エビリファイ、ラツーダなどが病相に応じて選ばれる
  • リチウムは中毒を避けるため、維持期でも2〜3か月に1回をめどに血中濃度の測定が必要
  • 妊娠の希望や減薬の相談は、自己判断で動く前に主治医へ伝えることが安全

双極性障害とは

双極性障害は、気分が高ぶる躁状態と、落ち込むうつ状態を繰り返す病気です。かつては躁うつ病とも呼ばれていました。気分の落ち込みだけが続くうつ病とは異なる病気として扱われ、診断名が変わると治療に使う薬も異なります。

躁状態では、気分が高揚して眠らなくても活動できる、次々と考えが浮かんで話し続ける、根拠のない自信から浪費や無計画な行動に走るといった変化が見られます。程度が軽く、日常生活を送れる範囲にとどまるものは軽躁状態と呼ばれます。一方のうつ状態では、気分の落ち込みや意欲の低下、疲れやすさ、眠れない、または寝すぎる、食欲や体重の変化、集中力の低下などがあらわれます。

本人が受診につながりやすいのはうつ状態の時期で、躁状態は「調子が良い」と感じられて自覚しにくい点が特徴です。そのため、うつ病として治療が始まったあとに双極性障害と判明する例も知られています。周囲から見た様子の変化が、診断の手がかりになることもあります。

参考:双極性障害(躁うつ病)|こころの情報サイト

参考:うつ病|こころの情報サイト

双極性障害の薬が担う役割とは?

双極性障害の薬が担う役割とは?

双極性障害の薬物療法には、いま出ている症状をしずめる働きと、次の波を防ぐ働きがあります。気分安定薬と抗精神病薬が治療の柱となり、うつ病とは薬の組み立て方そのものが変わってきます。

ここでは、薬が担う3つの役割を整理します。

薬に期待される働き 内容
急性期の症状をしずめる 躁状態の高揚や、うつ状態の落ち込みをやわらげる
再発を防ぐ 症状が落ち着いた時期も服薬を続け、次の波を抑える
うつ病治療との違い 抗うつ薬だけで組み立てず、気分安定薬を土台に置く

参考:双極性障害(躁うつ病)|こころの情報サイト

躁とうつの波を小さく抑える

薬の主な役割の一つは、躁状態とうつ状態それぞれの症状をやわらげ、生活への影響を軽減することです。躁状態では気分の高ぶりや行動を抑えにくい状態を落ち着かせ、うつ状態では意欲や気力の低下に働きかけます。同じ双極性障害でも、いまどちらの状態にあるかによって使う薬は変わります。

診察のたびに、気分が高まっている時期か、落ち込んでいる時期かを伝えると、処方の調整がしやすくなるでしょう。

再発を防いで寛解期を長く保つ

気分が安定している時期の服薬には、双極性障害の再発を防ぐ役割があります。

順天堂大学の加藤忠史教授は、発症後5年以内に約8割の人が再発すると指摘しています。繰り返すたびに社会生活への影響が大きくなることから、予防が治療の中心と解説しています。症状がないときの服薬は効果を実感しにくいものの、症状の波がない期間を延ばすための治療です。

落ち着いた状態が続いているときこそ、服薬を続ける必要があるのです。

参考:
双極性障害の第一人者に聞く 「躁・うつと上手くつきあう方法」とは? | 順天堂 GOOD HEALTH JOURNAL 

抗うつ薬はうつ状態の治療の補助

双極性障害のうつ状態には、うつ病と同じ抗うつ薬がそのまま使われるとは限りません。

国立精神・神経医療研究センターの「こころの情報サイト」でも、双極性障害のうつ状態に使う薬は、うつ病のときの薬とは異なると説明されています。当初は治りにくいうつ病と考えられていたものの、後に双極性障害と判明するケースも報告されています。

以前に抗うつ薬を服用して気分が急に高まった経験がある場合、診断の判断材料になります。

参考:うつ病|こころの情報サイト

H2:双極性障害治療の中心となる気分安定薬の種類

気分安定薬は、躁状態をしずめる働きと、気分の波の再発を抑える働きを担う薬のグループです。
効能として認められている範囲は薬ごとに異なります。

薬の名前(一般名) 主に期待される働き
リーマス(炭酸リチウム) 躁病および躁うつ病の躁状態の改善
デパケン(バルプロ酸) 躁病および躁うつ病の躁状態の治療(抗てんかん薬としても使われる成分)
テグレトール(カルバマゼピン) 躁状態の改善、リチウムが合わない場合の選択肢
ラミクタール(ラモトリギン) 双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制
ラミクタール(ラモトリギン) 双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制

リーマス(炭酸リチウム)

リーマスは、双極性障害の薬物療法で基本となる薬の一つです。

国内では、躁病および躁うつ病の躁状態が効能として認められています。扱いやすい薬というわけではなく、量の調節が難しく、効果が期待できる量と副作用が出やすい量が近いという性質があります。血液検査で濃度を確認しながら使う薬のため、飲む量や回数を自己判断で変えてはいけません。

参考:PMDA「リーマス錠100・リーマス錠200 添付文書(躁病・躁状態治療剤)」

デパケン(バルプロ酸)

デパケンは、躁状態やいらだちが目立つ時期に選ばれることの多い薬です。

もとは抗てんかん薬として使われてきた成分で、双極性障害では躁病および躁うつ病の躁状態が効能として認められています。眠気や食欲の変化、肝機能への影響などが報告されており、定期的な血液検査と組み合わせて使われます。

妊娠を考えている場合は扱いが変わるため、後述の内容もあわせて確認したうえで主治医に相談しましょう。

参考:医療用医薬品 : バルプロ酸ナトリウム (バルプロ酸ナトリウム錠100mg「アメル」 他)

テグレトール(カルバマゼピン)

テグレトールは、リチウムで十分な効果が得られない場合などに選ばれる気分安定薬です。

抗てんかん薬として使われてきた成分で、躁病および躁うつ病の躁状態が効能として認められています。皮膚の発疹や血液の成分への影響が報告されているほか、ほかの薬との飲み合わせに注意が求められる薬でもあります。市販薬やサプリメントを新しく飲み始めるときは、薬局や主治医に一度確認しましょう。

参考:PMDA「テグレトール錠 添付文書(向精神作用性てんかん治療剤・躁状態治療剤)」

ラミクタール(ラモトリギン)

ラミクタールは、双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制が効能として認められている気分安定薬です。

躁状態とうつ状態のどちらについても、再発・再燃を抑える目的で用いられます。とくに知られているのは、重い皮膚障害のリスクです。決められた量から少しずつ増やす飲み方が守られていれば、発症の頻度は下がるとされています。

参考:医療用医薬品 : ラモトリギン (ラモトリギン錠25mg「JG」 他)

双極性障害の治療に使われる抗精神病薬の種類

抗精神病薬は統合失調症の薬というイメージがありますが、双極性障害でも気分の波に対する治療薬として位置づけられています。
躁状態を早く落ち着かせたいときや、うつ状態への効果が認められている薬を選びたいときに使われます。 

薬の名前(一般名) 主に使われる場面
ジプレキサ(オランザピン) 躁状態の鎮静、双極性障害のうつ症状にも用いられる
ビプレッソ(クエチアピン) 双極性障害におけるうつ症状の改善。対象は徐放錠
エビリファイ(アリピプラゾール) 双極性障害における躁症状の改善
ラツーダ(ルラシドン) 双極性障害のうつ症状の改善

ジプレキサ(オランザピン)

ジプレキサは、興奮や不眠が強い躁状態を落ち着かせる目的で用いられる薬です。双極性障害のうつ症状に対しても使われることがあります。

効果があらわれるまでの時間が比較的短く、急性期に気分安定薬と組み合わせて使われる場面もあります。食欲が増して体重が増えやすい点や血糖値への影響が知られており、糖尿病のある人には使用できません。

参考:
医療用医薬品 : オランザピン (オランザピン錠2.5mg「明治」 他)https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00066144

ビプレッソ(クエチアピン徐放錠)

ビプレッソは、双極性障害におけるうつ症状の改善が効能として認められている薬です。同じクエチアピンの先発品には普通錠のセロクエルもありますが、そちらは統合失調症が効能とされており、双極性障害のうつ症状に用いられるのは徐放錠のビプレッソです。

うつの時期は使える薬の選択肢が限られるなかで、抗うつ薬に頼らずに落ち込みへ働きかけられる点が特徴です。徐放錠であるビプレッソの用法は「1日1回就寝前、食後2時間以上あけて」と定められており、傾眠(眠気)の頻度が高いことも踏まえた飲み方です。また血糖値の著しい上昇が警告に記載されており、糖尿病のある人や糖尿病の既往がある人には使用できません。

参考:医療用医薬品 : ビプレッソ (ビプレッソ徐放錠50mg 他)

参考:医療用医薬品 : セロクエル (セロクエル25mg錠 他)

エビリファイ(アリピプラゾール)

エビリファイは、双極性障害における躁症状の改善が効能として認められている抗精神病薬です。

眠気や体重増加が比較的出にくいとされる一方で、じっとしていられない状態が続くアカシジアという症状が現れる場合もあります。落ち着かない状態が続くときは、我慢して様子を見るよりも、早めに主治医に状況を伝えたほうが調整しやすいでしょう。「薬が合っていない」ではなく「こういう症状が出ている」と具体的に伝えると、次の対応も決まりやすくなります。

参考:エビリファイ散1%の基本情報(薬効分類・副作用・添付文書など)|日経メディカル処方薬事典

ラツーダ(ルラシドン)

ラツーダは、双極性障害のうつ症状に対して用いられる比較的新しい薬です。

体重や代謝への影響が出にくいとされ、長期的な服用を前提とした治療で選ばれる場面もあります。食事の影響を受けやすいため、食後に服用するよう指示されることが多い薬です。飲むタイミングを自己判断で変えると効き方も変わる可能性があるため注意しましょう。

参考:医療用医薬品 : ラツーダ (ラツーダ錠20mg 他)

双極性障害の治療で薬はどう使い分ける?

双極性障害の治療で薬はどう使い分ける?

同じ双極性障害でも、躁状態・うつ状態・落ち着いた時期の3つで治療の狙いは変わります。 

時期 治療の狙いと薬の選び方
躁状態 高ぶりを早くしずめる、抗精神病薬を併用することが多い
うつ状態 落ち込みに働きかける、使える薬の種類は限られる
落ち着いた時期 次の波を防ぐ、気分安定薬を土台に継続する

参考:双極性障害(躁うつ病)|こころの情報サイト

参考:うつ病|こころの情報サイト

躁状態では気分を鎮める薬を使う

躁状態では、気分安定薬に鎮静作用のある抗精神病薬を組み合わせる治療が用いられます。気分安定薬は効果があらわれるまでに時間がかかるため、その間の気分の高まりや不眠を抑える役割を抗精神病薬が担います。

状態が落ち着いてきた段階で抗精神病薬を減らし、気分安定薬を中心に切り替えていく流れが一般的です。薬が減ることは回復が進んでいる一つの目安でもあるため、減薬になった際は理由を診察時に確認しておくと安心につながるでしょう。

うつ状態は使う薬が慎重に選ばれる

双極性障害のうつ状態は、うつ病より薬の選択肢が限られる点が特徴の一つです。抗うつ薬を単独で使うと躁に転じる場合があり、治療の組み立てが難しくなる傾向にあります。

実際の診療では、うつ状態への効果が認められた抗精神病薬や、うつの再発を防ぐ気分安定薬が中心に据えられます。

寛解期も再発予防の薬を続ける必要がある

症状が消えた時期の服薬は、再発を防ぐ治療の中心です。気分の変動が生活や仕事に与えてきた影響を振り返れば、服薬を続ける意義を実感しやすくなるでしょう。

双極性障害の治療薬で気をつけたい副作用

双極性障害の治療薬による副作用には、飲み始めに現れて体が慣れるとともに軽くなるものと、放置せずに医療機関へ連絡したほうがよいものがあります。

両者の違いを把握しておくと、症状が出たときにも落ち着いて対応しやすくなるでしょう。

症状 受け止め方の目安
手のふるえ、口の渇き、下痢 リチウムで出やすい。程度と続く期間を診察で伝える
体重増加、血糖値の上昇 一部の抗精神病薬で起こる。定期的な検査で確認する
発疹、皮膚の異常 ラミクタールなどで注意される。早めに連絡する
ふらつき、意識のもうろう リチウム中毒の可能性がある。受診の対象になる

手のふるえや口の渇きに注意する

リチウムの飲み始めには、下痢や食欲の低下、のどの渇きや多尿といった症状があらわれる場合があります。手のふるえは、適切な濃度で服用していても続くケースがあると報告されています。

日常生活に支障が出るほどであれば、量の調整や薬の変更が検討の対象になるでしょう。

参考:厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル(リチウム中毒)」

体重増加や代謝の変化に気をつける

オランザピンやクエチアピンでは、食欲が増して体重が増えやすくなることが知られています。血糖値が上がるおそれもあるため、糖尿病のある場合には使用できません。体重の変化は自覚しやすい一方で、血糖値の変化は気づきにくいため、定期的な血液検査が確認の手段となるでしょう。

体重が短期間で増えたときは、食事の工夫だけで対応しようとせず、処方の見直しを含めて主治医に相談しましょう。

発疹が出たらすぐ主治医に伝える

皮膚に発疹が出たときは、様子を見ずに医療機関へ連絡しましょう。

ラモトリギンやカルバマゼピンでは、まれに重い皮膚障害が起こることで知られており、初期症状は発疹として現れます。特にラモトリギンを飲み始めた時期や増量した時期は、皮膚の状態に注意しておきましょう。発熱や口内のただれをともなう場合は、次の診察を待たずに連絡しましょう。

参考:PMDA「ラモトリギンに係る調査結果(重篤な皮膚障害に関する注意喚起)」

血液検査で血中濃度を定期的に確認する

リチウムを服用している間は、定期的な採血も治療の一部です。PMDAは、投与初期や増量時には1週間に1回、維持量が決まった後は2〜3か月に1回をめどに血清リチウム濃度を測定するよう求めています。

食事や水分がとれない日が続いたときや、汗を多くかいたとき、一部の痛み止め(非ステロイド性消炎鎮痛薬など)を併用したときなどは、濃度が上がりやすいです。食欲低下や吐き気、ふるえ、ふらつき、意識のもうろうといった変化は、中毒の初期症状の可能性があります。

参考:医療用医薬品 : 炭酸リチウム (炭酸リチウム錠100mg「フジナガ」 他)

妊娠を検討する際の双極性障害の薬選び

妊娠を希望する場合、薬の見直しは妊娠がわかってからではなく、その前から始めるのが理想的です。
薬によって胎児への影響の程度が異なるうえ、切り替えにも時間を要するためです。

薬 妊娠を考えるときの扱い
デパケン(バルプロ酸) 妊娠可能年齢では使用を避けることが推奨されている
リーマス(炭酸リチウム) 胎児の心血管系への影響が報告されている
服薬の中断 自己判断での中止は再発につながりやすい

デパケン:妊娠前に主治医へ相談する

バルプロ酸は、妊娠を考える段階で切り替えが検討される薬です。

周産期メンタルヘルス学会のコンセンサスガイドでは、胎児への影響を考慮し、妊娠可能年齢の女性にはバルプロ酸の使用を避けることが推奨されています。切り替えには一定の期間を要し、その間は病状が不安定になる場合もあるため、計画的に進めることが求められます。

参考:日本周産期メンタルヘルス学会「周産期メンタルヘルスコンセンサスガイド(トップページ/2023年版掲載)」http://pmhguideline.com/

リチウム:時期を見て使い方を調整する

リチウムについても、妊娠中の服用が胎児の心血管系の奇形につながる可能性が報告されています。

一方で、使用を中止することで病状が不安定になるリスクもあり、どちらを優先するかは一人ひとりの経過によって異なります。妊娠中は体内の水分バランスが変わるため、血中濃度の管理にも通常とは異なる配慮が求められます。産科と精神科の連携が前提となる領域のため、早い段階で主治医に相談しましょう。

参考:
炭酸リチウム製剤の使用にあたっての留意事項について(令和8年6月16日 医薬安発第616003号)

自己判断で薬をやめず医師に確認する

妊娠がわかった時点で自己判断により服薬を中止すると、産前産後に症状が再燃するリスクが高まります。

妊娠と出産は生活リズムや睡眠が大きく変わり、気分の変動が起きやすい条件がそろいやすい時期です。薬を続けるか調整するかは、病状の程度や過去の再発歴を踏まえた個別の判断になります。

参考:
PMDA「炭酸リチウムの「使用上の注意」の改訂について(医薬品・医療機器等安全性情報 No.430)」

双極性障害の治療薬をやめたくなったら?

双極性障害の治療薬をやめたくなったら?

減薬や中止を検討する気持ちは自然なものですが、進め方によって結果は大きく変わります。
急に中止すると再発につながりやすいため、特にリチウムでは時間をかけて減らす手順が求められます。 

状況 取りたい行動
調子が良く、薬が不要に思える 予防の役割を確認したうえで継続を検討する
副作用や飲みにくさがつらい 我慢せず、症状を具体的に診察で伝える
減薬したい気持ちがある 時期と方法を主治医と一緒に決める

参考:双極性障害(躁うつ病)|こころの情報サイト

調子が良くても自己判断でやめないこと

気分が安定している時期は、予防のための服薬が効いている状態と考えられます。服薬を中止してもすぐには変化を感じない場合があり、効果を実感しにくいことが中断につながることもあります。

再発した場合には、生活の立て直しに時間を要することがあります。だからこそ、安定を保つ選択に意味が出てきます。やめたい気持ちが出てきたときこそ、その気持ちを診察で伝える機会にしましょう。

飲みにくさは我慢せず診察で伝えること

飲み続けにくさを感じている場合は、その内容を具体的に伝えることで対応策が見つかることもあります。1日3回の服用が難しい、眠気で仕事に支障が出る、錠数が多く負担に感じるといった課題は、剤形や服用回数の変更で軽減できる場合もあります。

自己判断で服薬を減らせば、効果が下がった原因が薬なのか病状なのか区別しにくくなります。薬を飲めていない場合も、言いにくいとは思いますが事実として共有したほうが治療を進めやすくなります。

減薬は主治医と相談しながら進めること

減薬に取り組む場合は、時期と手順を主治医とともに決めるのが理想的です。リチウムを中止するときは、2週間から1か月以上かけて少しずつ減らす方法がとられます。仕事の繁忙期や引っ越しなど、生活環境が大きく変わる時期は避けたほうがよいでしょう。

安定した状態がどのくらい続いているかも判断材料になるため、日々の体調を記録しておくと相談を進めやすくなります。

参考:医療用医薬品 : 炭酸リチウム (炭酸リチウム錠100mg「フジナガ」 他)

まとめ

双極性障害の薬物療法は、気分安定薬を基盤に、病相に応じて抗精神病薬を組み合わせる形で組み立てられます。

リーマスは血中濃度の管理が前提となり、ラミクタールは発疹への注意、オランザピンやクエチアピンは体重と血糖値の確認と、薬ごとに確認したいポイントは異なります。症状が消えた時期の服薬は、再発を防ぐという治療の中心を担う位置づけです。副作用の程度をどう伝えるか、減薬をいつ相談するか、妊娠の希望をどの時点で伝えるかとなると、診察室の短い時間では言葉にしきれないこともあります。

気になっている変化を記録して持参し、判断は主治医とともに進めるとよいでしょう。

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