関節の異変はリウマチ?初期~末期までの症状や治療方法を知ろう

リウマチ

手足の関節が痛い、もしくは腫れたり曲がったりしている原因は加齢だけではありません。
異変を感じて受診してみたら「関節リウマチ」であることが分かるケースもあります。
関節に異変を感じたら関節リウマチの症状に当てはまるかどうかを、まずは自分でチェックしてみましょう。

本記事では、関節リウマチの症状や進行レベルの基準となるもの、診断方法、予防・治療法についてご紹介します。

リウマチの症状

リウマチを発症すると、手足の関節が腫れたり痛くなったりと生活に支障を感じるようになります。とくに寝起きに関節の動かしにくさが強くなる「朝のこわばり」が特徴です。
動かし始めや長時間同じ姿勢でいた後もこわばりが強く、指から手首や肘、肩などへ広がっていき、症状が進行すると関節が変形して徐々に自由に動かせなくなります。
他にも体のだるさや貧血症状、微熱などの全身症状が続くこともあり、関節以外の目や肺にも炎症が起こることがあります。

原因

私たちの体には免疫機能があり、通常ならウイルスなどの外的から守ってくれます。
リウマチは自己免疫疾患のひとつで、免疫機能に異常が起きて関節を攻撃してしまうことで炎症が起きて痛みや腫れなどが生じる病気です。
リウマチの原因はまだ明らかになっていませんが、遺伝的要因や感染、喫煙、ストレスなどによって引き起こされると考えられています。
また、リウマチは女性に多いことから妊娠や出産がきっかけになるとも考えられています。

症状が出やすい場所

両側の手足の指や手首の関節に左右対称で現れることが多いですが、片側や一部の関節にしか出ないこともあります。
他にも肘や肩、膝、腰、首など全身の関節にも広がることもあります。

自分で行えるチェック

関節リウマチの場合は起きて30分以内に症状が強く現れるため、起床時に当てはまる項目をチェックしてみましょう。

  • 起床時に手が開いたり閉じたりしにくい
  • 手指の第二関節や指の付け根、手首が痛い
  • 左右対称に関節が痛い、腫れている
  • 手をねじる動きで指や手首に痛みが出る
  • ボタンが外しにくい、かけにくい
  • お箸がうまく使えない
  • 歯ブラシが持ちにくい
  • リモコンのボタンが押しにくい
  • 膝の内側よりも外側が痛い

また、手の指に症状が出ているのであれば、腫れや痛みは第二関節に出るのが特徴です。
指先に近い第一関節にこわばりを感じる場合は、変形性関節症の可能性が高いです。

悪性関節リウマチの特徴

悪性関節リウマチは通常の治療では治すのが難しく、関節リウマチに加えて血管炎など重症な症状が多いです。
悪性関節リウマチでは、リウマトイド結節や肺炎、消化管出血など血管炎による全身症状が急速に現れ、発熱や体重減少なども伴います。
発症すると、半数近くが悪化の傾向をたどり呼吸不全などで死に至ります。

小児のリウマチの特徴

16歳未満で発生する慢性リウマチを「若年性特発性関節炎」といい、原因不明の関節炎が6ヶ月以上続く病気です。
成人と異なるのは、完治を望める点です。長期間にわたる治療を続けられるように、家庭や学校が病気や治療を理解して、子どもの発達や成長に合ったサポートを行うことが望まれます。

リウマチの進行レベル

リウマチは進行していく病気ですが、進行のレベルは関節の破壊や機能障害の程度で分類されます。

  • ステージⅠ(初期)
  • ステージⅡ(中等期)
  • ステージⅢ(高度進行期)
  • ステージⅣ(末期)

関節リウマチの初期であるステージⅠでは、腫れや痛み、赤みなどが発作的に繰り返し起こる「回帰性リウマチ(かいきせいリウマチ)」が起こることがあります。
発作から数時間~数日後に関節リウマチを発症する可能性が高い状態です。
レントゲンでは異常がなくても、血液検査では陽性になる可能性があります。
ステージⅠの早い段階で治療がスタートできると、進行を食い止めて日常生活でも支障が出にくい状態を維持できます。

リウマチの診断方法

一般的に行われているリウマチの診断方法は、アメリカのリウマチ学会による診断基準に基づいて行われていますが、疑わしい場合には別の方法で早期診断ができるようになってきました。
しかし、関節に痛みや腫れを伴う病気は関節リウマチ以外にもたくさんあり、確実に区別するには専門的な知識を持った医師の診察や検査などが必要です。

一般的なリウマチ診断方法

6週間以上続いている症状5つをそれぞれ1項目として、血液検査(血清リウマトイド因子)とレントゲン写真の2項目を加えた、以下7項目で診断します。

  • 1時間以上持続する朝のこわばり
  • 3ヶ所以上の関節炎
  • 手の関節炎
  • 対称性関節炎
  • リウマトイド結節(皮膚の下にできるしこりのようなもの)
  • 血清リウマチ因子
  • レントゲン写真上の変化

この7項目のうち4項目以上当てはまる場合に、関節リウマチと診断されます。

早期発見と早期治療のためのリウマチ診断方法

近年では早期診断・治療のために、2010年にできたアメリカの欧州リウマチ学会の基準が用いられています。
腫れや痛みのある関節の部位と数によって1.2.3.5点に分類され、リウマトイド因子や抗体価で2.3点、6週間以上続いている場合に1点、炎症反応陽性で1点の計6点以上で関節リウマチと診断されます。

リウマチの予防法

リウマチを確実に予防する方法はありません。
しかし、発症や症状の進行を遅らせるために日常で気をつけられることをいくつかご紹介します。

口腔ケア

歯周病は口の病気と思われがちですが、歯周病菌には関節リウマチや心疾患を引き起こす種類があります。
毎日丁寧に歯磨きを行い、歯科検診を定期的に受けることで関節リウマチの発症や進行するリスクを減らせます。

リフレッシュ

強いストレスや長期的なストレスは免疫機能の低下を招き、ウイルスなどに感染しやすくなります。
感染症は関節リウマチを発症する引き金のひとつです。忙しくても休憩時間をつくったり、リラックスやリフレッシュできる方法を見つけたりして、ストレスや疲れをためないようにしましょう。

禁煙

タバコを吸っている人は関節リウマチを発症するリスクが高く、吸い続けることで肺で自己抗体がつくられてしまい関節炎が悪化します。
一人では禁煙するのが難しい場合には、禁煙外来を受診してサポートを受けましょう。

リウマチの治療方法

リウマチの治療は薬物療法がメインですが、手術で関節の動きを改善したり、リハビリで関節の動きを維持することもできます。

薬物療法

リウマチの薬物療法では、抗リウマチ剤で病気の進行をコントロールしながら、非ステロイド性消炎剤で関節の炎症を抑えるのが基本です。
数ヶ月おきに治療の効果を評価し、病状によっては副腎皮質ステロイドや免疫抑制剤、生物学的製剤などの追加や変更が行われます。
関節にステロイドやヒアルロン酸製剤を直接注射する補助的な治療もあります。

リウマチかもしれないと思ったら、早めに整形外科を受診して関節の状態を確認してもらうことです。
また、関節リウマチには専門医がいるので、かかりつけの整形外科から紹介してもらうことも検討しましょう。

手術療法

腱が断裂したり背骨の歪みで脊髄や神経を圧迫したりすると手術でしか治せません。
また、滑膜切除術や関節固定術などで症状の改善が期待できる場合には、部分的な関節の手術が可能です。
長期間にわたって全身の炎症が進んでいくと、関節が破壊されてしまって動かせなくなりますが、人工関節を入れる手術である程度の機能回復ができます。

リハビリ療法

関節炎の症状が強いと安静が必要ですが、落ち着いているときには適度な運動を行って関節の動きや筋力を維持することが大切です。

関節の異変を感じたら早めに受診しましょう

関節リウマチは関節だけにとどまらず全身へと進行していく可能性がある病気です。
さらに、2年以内に関節の破壊がいっきに進行していくため、腫れや痛みがそれほどひどくなくても早期に治療することが大切です。
少しでも進行を防いで生活への影響を減らすためにも、リウマチ専門医による正確な診断を受けましょう。

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参考文献
  • 公益社団法人 日本整形外科学会「関節リウマチ」
  • 公益社団法人 日本整形外科学会「整形外科シリーズ9 関節リウマチ」
  • 難病情報センター「悪性関節リウマチ(指定難病46)」