ED治療で健康保険が使えるのは、勃起不全による男性不妊の治療として一定の要件を満たしたときに限られます。それ以外の目的で受けるED治療は自由診療にあたり、診察料も薬代も全額が自己負担になります。
保険が使える7つの要件と対象になる薬の種類、自費のときにかかる費用の目安、そして持病で通院している方が気をつけたい飲み合わせまで、順に整理していきます。
この記事の要約
- ED治療は原則として自由診療で、診察料も薬代も全額が自己負担
- 勃起不全による男性不妊の治療では、7つの要件を満たすと保険が使える
- 保険の対象はバイアグラ錠、バイアグラODフィルム、シアリス錠の3種類でジェネリックは対象外
- 自費の薬代は、先発品かジェネリックか、用量や服用頻度によって変わる
- 狭心症の薬など併用できない薬があるため、通院中の方は主治医への相談が必要

ED治療に保険は使える?

ED治療で公的医療保険が使えるのは、勃起不全による男性不妊の治療という限られた場面です。
同じ薬を同じ症状で飲む場合でも、受診の目的によって費用の扱いは変わります。
参考:不妊治療で使用される医薬品の保険給付上の取扱いについて(令和4年3月25日 保医発0325第7号)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc6607&dataType=1&pageNo=1
参考:
一般社団法人日本生殖医学会|お知らせ – 不妊治療における保険適用 2022.4~ 関連&最新情報
一般のED治療は全額自己負担
加齢や疲れによる勃起の悩みで受診した場合、ED治療は自由診療として扱われることが多いです。健康保険証を提示しても保険給付の対象にはならず、高額療養費制度の対象にもなりません。
費用は医療機関によって異なるため、受診前に目安を確認しておくと安心です。
不妊治療目的なら保険が使える
勃起不全が原因で妊娠に至らないケースでは、2022年4月から一般不妊治療の一環としてED治療薬に保険が使えるようになりました。前提となるのはタイミング法などの一般不妊治療や生殖補助医療を受けていることで、性交そのものが難しい状態だと医師に判断される必要があります。
妊活の一環として検討している方は、まずは通院先の主治医に相談しましょう。
ED治療そのものが保険の対象になったわけではない
ED治療は原則として自由診療ですが、男性不妊の治療として所定の要件を満たす場合に限り保険適用となります。
2022年4月の見直しで保険が使えるようになったのは、あくまで一般不妊治療の一環として処方される場面であり、ED治療そのものが保険の対象に加わったわけではありません。そのため妊娠を目的としない治療は、これまでどおり自費で受けることになり、要件を満たさない場合も保険では算定できません。
ED治療に保険が使える7つの条件
保険でED治療薬を処方してもらうには、医師の要件から処方量、事務手続きまで7つの条件をすべて満たす必要があります。
1つでも満たさない場合は、保険での算定ができません。
参考:不妊治療で使用される医薬品の保険給付上の取扱いについて(令和4年3月25日 保医発0325第7号)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc6607&dataType=1&pageNo=1
原則として泌尿器科歴5年以上の医師が処方すること
保険でED治療薬を出せるのは、原則として泌尿器科の経験を5年以上持つ医師です。特段の理由がある場合には例外も認められていますが、どの医療機関でも保険診療を受けられるわけではないため、受診先を選ぶ段階で確認が必要です。
予約前に電話やウェブサイトで、保険適用に対応しているかを尋ねておくと二度手間を防げるでしょう。
学会の基準でEDと診断されていること
保険を使うには、ED診療ガイドラインに沿った診察を受け、勃起不全と診断されることが前提になります。自己判断や市販の簡易チェックでは足りず、問診や必要な検査を通じた医師の判断が求められます。
診断が難しいと感じる症状でも、まずは主治医に相談しましょう。
6か月以内に不妊治療を受けていること
本人またはパートナーが6か月以内に不妊治療を受けていることも要件のひとつです。具体的には、一般不妊治療管理料や生殖補助医療管理料にかかわる医学的管理を受けている状態を指します。
妊活を始めたばかりで通院歴がない段階では、この条件を満たしません。
不妊治療の医療機関と情報を共有すること
パートナーが別の医療機関で不妊治療を受けている場合は、両院で情報を共有できる体制が求められます。治療の進み方やタイミングを踏まえたうえで処方する必要があるからです。
紹介状や治療経過のメモを持参すると、診察がスムーズに進むでしょう。
1回の診療で処方が4錠以下であること
保険で処方できる量は、1回の診療につき1周期分かつ4錠以下と決まっています。まとめ買いのような形で長期分を受け取ることはできません。
タイミング法に合わせて必要な回数分を使う想定のため、余った薬を次周期に持ち越す前提の処方にもなりません。
処方期間は6か月が目安で最長1年以内
保険での処方が続く期間は、6か月が目安とされています。ただし6か月を超える時点で必要性を改めて検討した場合は、原則として初回投与から1年以内まで継続できます。
今後の見通しに迷いが出たときは、不妊治療の主治医に相談しましょう。
処方箋の備考欄に保険診療と記載すること
処方箋の備考欄に保険診療である旨が記載されることも、要件として定められています。この記載がなければ、薬局側で保険調剤として扱えません。
受け取った処方箋に記載があるかどうかは、薬局へ出す前に目を通しておくと安心でしょう。
保険適用になるED治療薬

保険で処方できるED治療薬は3種類です。
同じ有効成分でも、製品によって扱いが変わる点に注意しましょう。
バイアグラ錠
バイアグラ錠は、有効成分シルデナフィルクエン酸塩を含む先発医薬品で、保険では25mgと50mgが対象になります。服用は1日1回までとされ、投与間隔は24時間以上あけると定められています。
食事と一緒に飲むと効果が現れるまでの時間が遅れるとされるため、服用のタイミングは処方時に医師へ確認しておきましょう。
参考:医療用医薬品 : バイアグラ (バイアグラ錠25mg 他)
バイアグラODフィルム
バイアグラODフィルムは、水なしで口の中で溶けるタイプの製品で、25mgと50mgが保険の対象です。錠剤を飲み込みにくい方や、外出先で水を用意しにくい場面に向いています。
有効成分は錠剤と同じシルデナフィルクエン酸塩のため、飲み合わせの注意点も共通します。
参考:
バイアグラODフィルム50mgの基本情報(薬効分類・副作用・添付文書など)|日経メディカル処方薬事典
シアリス錠
シアリス錠は5mg、10mg、20mgの3規格が保険の対象になっています。作用の持続時間が長い薬として知られ、タイミング法との相性を考えて選ばれることもあります。
どの薬が合うかは体質や持病によって変わるので、希望がある場合も含めて主治医に相談しましょう。
ジェネリックは保険適用外
同じ有効成分のジェネリック医薬品は、保険適用の対象から外れています。自費であればジェネリックを選んで薬代を抑えられますが、保険を使う場合は先発品の3種類に限られます。
「レビトラ」のように国内での販売が終了した薬も、選択肢には入りません。
参考:レビトラ錠20mgの基本情報(薬効分類・副作用・添付文書など)|日経メディカル処方薬事典
自費のときのED治療の費用相場
自費でED治療を受ける場合、費用は医療機関が独自に設定します。
薬だけを続けるのか、機器を使う治療まで含めるのかで総額が大きく変わるでしょう。
薬代は薬の種類と用量で変わる
自費でのED治療薬は、同じ有効成分でも先発品とジェネリックで金額が変わり、用量によっても差が出ます。
月々の負担は服用する頻度でも変わるため、処方前に1錠あたりの金額と想定する回数を確かめておくと計算しやすくなります。
費用は医療機関ごとに差が出る
自由診療では価格の決め方が医療機関にゆだねられており、同じ薬でも支払額に差が生まれます。診察料を薬代に含める形をとる医療機関もあれば、別途請求する形をとるところもあります。
国民生活センターには、オンライン診療で処方薬を定期購入する形になり、解約や総額をめぐるトラブルにつながった相談も寄せられています。総額で比べる視点を持つと、あとから想定外の出費に驚くことも少ないでしょう。
参考:
ニキビ、AGA治療や痩身目的等のオンライン診療のトラブルにご注意-処方薬の定期購入にかかるトラブルが目立ちます-(発表情報)_国民生活センター
薬以外の治療は費用の水準が変わる
薬で十分な効果が得られないときに検討される衝撃波治療は、薬物治療とは費用の水準が変わります。保険の対象外で医療機関ごとに価格が設定されるため、受ける回数を含めた総額を事前に確認しておきましょう。効果の感じ方には個人差があり、誰にでも向く治療とは限りません。
費用と効果のバランスに迷ったときは、主治医に相談しましょう。
参考:
日本泌尿器科学会/日本性機能学会「ED診療ガイドライン[第3版]」(Mindsガイドラインライブラリ(日本医療機能評価機構)掲載)
費用を抑えつつ、人目を気にせず相談したい方には、オンライン診療という選択肢もあります。
たとえば新宿予防クリニックなどは、予約から診察、お薬の受け取りまでをオンラインで完結できる自由診療のクリニックです。診察はLINEを使ったオンライン診療のため、待合室で他の患者と顔を合わせることも、受付で症状を伝える必要もありません。ED治療にも対応しており、曜日によって受付時間は異なるものの、深夜1時まで診察している日もあるため、仕事帰りの遅い時間でも相談できます。お薬は診察後、配送で受け取れます。自由診療のため費用は全額自己負担ですが、通院の交通費や待ち時間はかかりません。
まずは公式サイトで、診療の流れをご確認ください。
ED治療において持病がある人が気をつけたいポイント

ED治療薬には血管を広げる働きがあり、飲み合わせによっては血圧が下がりすぎることもあります。
すでに何かの薬を飲んでいる方は、保険が使えるかどうかの他に、安全に使えるかどうかの確認も必要でしょう。
ポイント1:狭心症の薬との併用は必ず避ける
狭心症などで硝酸薬を使っている方は、ED治療薬は併用できません。
どちらも血管を広げる作用を持つため、重なると血圧が大きく下がるおそれがあります。ニトログリセリンの舌下錠や貼り薬を持ち歩いている場合も同じ扱いになるので、受診時に忘れずに伝えておきましょう。
ポイント2:血圧の薬は効きすぎに注意する
高血圧の治療中は、降圧剤とED治療薬の作用が重なって血圧が下がりすぎることがあります。前立腺肥大などで使われるα遮断剤との併用でも、めまいを伴う血圧低下が報告されています。
低い用量から始めるといった調整が必要になるため、自己判断で量を増やすなどは避けましょう。
参考:α1遮断薬(高血圧治療薬)の解説|日経メディカル処方薬事典
ポイント3:服用中の薬を主治医に必ず伝える
飲んでいる薬がある方は、ED治療を始める前に主治医に相談しましょう。お薬手帳を持参すれば、飲み合わせの確認が短時間で済みます。
かかりつけの薬局があるなら、薬剤師からお薬の説明(服薬指導)を受ける際にあわせて確認しておく方法もあります。
ED治療の受診前に確認したいこと
ED治療は受診先の選び方と申告の仕方で、費用も安全性も変わります。
保険適用にこだわるあまり判断を誤ると、あとから不利益を受けることもあるかもしれません。
参考:日本泌尿器科学会・日本性機能学会「ED診療ガイドライン第3版」
まずは泌尿器科に相談する
EDの相談先としては、泌尿器科が入口になります。勃起の悩みの背景には、糖尿病や高血圧といった別の病気が隠れていることもあり、原因の見立てが治療の方向に影響する可能性があります。
他の診療科に通院中であれば、その主治医に相談してから紹介を受ける進め方も選べます。
不妊治療を装う申告は認められない
保険を使いたいからといって、不妊治療を装って診療を受けるのはやめましょう。
医療保険制度や関連法令に反する行為にあたり、あとから医療費の返還を求められる可能性があります。要件を満たさない場合は自費で受けるのが、結果として安心な選択になるでしょう。
個人輸入した薬は使わない
海外から個人輸入した薬は、成分や品質を確かめることが困難です。安く手に入るように見えても、健康被害が起きたときに公的な救済を受けられない可能性が非常に高いです。
国内の医療機関で処方を受ければ、持病との飲み合わせも含めて確認したうえで服用できます。個人輸入は避けましょう。
参考:医薬品等を海外から購入しようとされる方へ |厚生労働省
参考:
制度の概要 | 医薬品副作用被害救済制度:一般国民の皆さまへ | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
まとめ
ED治療で保険が使えるのは、勃起不全による男性不妊の治療として7つの要件をすべて満たしたときに限られ、対象となる薬もバイアグラ錠、バイアグラODフィルム、シアリス錠の3種類です。
それ以外は自由診療となり、診察料も薬代も全額が自己負担になります。自由診療では医療機関ごとに価格が設定されるため、受診前に総額の目安を確認しておきましょう。要件に当てはまるかどうかは、不妊治療の通院歴や診断の内容によって変わるため、自己判断ではなく主治医に相談しましょう。
費用を抑えたい気持ちがあっても、狭心症の薬や降圧剤との飲み合わせを確認しないまま始めるのは避けたいところです。持病で通院している方ほど、処方を受ける前後で薬剤師に確認できる環境があると安心して続けられるでしょう。
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ED治療のお薬は、できるだけ周囲に知られずに受け取りたいものでしょう。
お薬の受け取り方には、薬局の窓口以外の選択肢もあります。
保険適用での治療の場合、処方せん薬宅配サービス「とどくすり」がおすすめです。薬局のカウンターで、他の患者さんがいる前に症状を尋ねられる心配はありません。お薬の説明(服薬指導)はビデオ通話で受けられるため、落ち着いた環境でご相談いただけます。取り扱いのない薬局を何軒も探し回ったり、取り寄せで後日また足を運んだりする手間もなくなります。医療機関で受け取った処方せんがあれば、LINEで簡単にお手続きいただき、ご自宅へお届けします。病院帰りに待合室で長く待つ必要がなく、薬局へ足を運ぶための交通費がかかりません。
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