クラミジアの治療に使う薬は抗菌薬の内服が中心で、ドラッグストアや通販で手に入る市販薬に、感染そのものを治す働きはありません。病院での治療で使われる薬はアジスロマイシンやドキシサイクリンといった処方薬で、感染した部位や体質によって飲む回数も期間も変わります。
どの薬が適しているかは検査結果をもとに医師が判断します。気になる症状がある段階でも、すでに治療が始まっている場合でも、迷ったら主治医に相談しましょう。
この記事の要約
- クラミジアの治療薬は処方箋が必要で、市販薬では治せない
- 中心となる薬はアジスロマイシンとドキシサイクリンの2種類
- のどや直腸の感染は性器より治りにくく、7日間の内服が選ばれやすい
- 主な副作用は下痢や吐き気で、発疹や息苦しさが出たらすぐ医療機関へ連絡する
- 完治の判断は再検査で行い、要否や時期は患者の状態によって異なる
- 感染前の予防に用いるドキシペップは適応外使用で、対象や適否は医師が判断する

クラミジアの薬は市販で買える?

クラミジアに効くとされる抗菌薬は、どの薬も医師の処方箋がなければ受け取れません。
入手経路ごとに、市販や通販で手に入る薬では不十分な理由を整理します。
参考:厚生労働省・日本薬剤師会「知っておきたい薬の知識(薬の正しい使い方)
治療用の抗菌薬は市販では買えない
クラミジアの治療に用いる抗菌薬は処方箋医薬品に分類され、薬局の店頭では購入できません。
抗菌薬は原因となる菌に合わせて選ぶ薬のため、種類が合わなければ菌が残る可能性が高いです。必要のない場面で適さない薬が使われた場合、薬が効きにくくなる耐性菌を増やす一因にもなりかねません。処方の前に検査による確定診断が必要とされるのは、菌の種類を特定したうえで適切な薬を選ぶためです。
心当たりのある症状が出ている場合は、薬を探すより先に泌尿器科や婦人科、性感染症を扱う医療機関を受診するのがおすすめです。
市販薬は症状を和らげるだけで根治にならない
ドラッグストアに並ぶ薬では、クラミジアの原因菌を除く働きが不十分とされます。市販のかゆみ止めの外用薬や排尿時の不快感に用いる内服薬は、症状の緩和を目的としたものです。症状が落ち着くと原因自体が治ったように感じられるかもしれませんが、菌が体内に残っている可能性は否定できません。放置してしまうと、女性では骨盤内の炎症、男性では精巣上体炎につながるおそれもあります。
ほかの持病で薬を服用している場合は、飲み合わせの問題が生じるケースも存在します。市販薬を追加する前に、主治医へ相談しましょう。
参考:性器クラミジア感染症(詳細版)|国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト
海外通販は偽造薬のリスクがあるため使わないこと
個人輸入の通販で購入した薬は、中身や含まれる成分が外箱や販売ページの表示どおりとは限りません。有効成分が不足した薬を服用すると菌が生き残ってしまい、かえって治療が長引いてしまうケースもあります。症状が本当にクラミジアによるものかを確かめないまま服用した場合は、淋菌やマイコプラズマなど別の感染症を見逃す事態になる可能性もあります。
パートナーの分もまとめて用意したいと考えている場合は、二人で検査を受けたうえで主治医に相談するのがおすすめです。
参考:医薬品等を海外から購入しようとされる方へ |厚生労働省
クラミジア治療薬の種類
クラミジアの治療では、マクロライド系のアジスロマイシンと、テトラサイクリン系のドキシサイクリンが中心に使われることが一般的です。
体質や妊娠の有無によっては、別の系統の抗菌薬が選ばれることもあります。
参考:性器クラミジア感染症(詳細版)|国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト
アジスロマイシン:1回の服用で完結する
アジスロマイシンは、性器クラミジア(尿道炎・子宮頸管炎)であれば1,000mgを1回服用することで治療が完了するとされます。
先発品のジスロマックと後発品のアジスロマイシン錠があり、有効成分は同じです。1回の服薬で済むため飲み忘れが起こりにくく、通院の負担が少ないのも特徴の一つです。一方で、吐き気や下痢などの胃腸症状が起こることがあります。
なお、服用開始後2〜4週間は経過を観察し、効果を判定する必要があるとされています。
参考:医療用医薬品 : ジスロマック (ジスロマック錠250mg)
ドキシサイクリン:7日間の服用を続ける
ドキシサイクリンは、1日2回を7日間続けて服用する薬です。性器のほか、のどや直腸に感染した場合にも用いられます。途中で飲み忘れが重なると効果が低下するおそれがあるため、7日分を最後まで飲みきる必要があります。
妊娠中や授乳中の人、小児では避けたいとされる薬です。妊娠の可能性がある場合は、受診時に主治医へ伝えましょう。
代替薬:体質に合わせて主治医が選ぶ
アジスロマイシンやドキシサイクリンが使いにくい場合は、ミノサイクリンやレボフロキサシンなどが代替として選ばれます。
判断の材料となるのは、薬のアレルギー歴、妊娠や授乳の有無、年齢、ほかに服用している薬との相性です。同じクラミジアでも適した薬が人によって異なるのは、こうした条件に差があるためです。過去に抗菌薬で発疹や息苦しさが出た経験がある場合は、処方の前に主治医へ相談するとよいでしょう。
感染予防に用いられるドキシペップ(DoxyPEP)
ドキシペップ(DoxyPEP)は、感染のリスクがある行為のあとに抗菌薬を服用して、感染するリスクを下げることを目的とした予防の方法です。具体的には、リスクのある性行為のあと72時間以内(理想的には24時間以内)にドキシサイクリンを服用します。感染が確認されてから服用する治療薬とは役割が異なります。
国内では、承認された効能・用法とは異なる目的でドキシサイクリンを使う適応外使用にあたり、予防を目的とした自由診療として扱われます。海外のガイドラインでも主な推奨対象は限定されており、誰にでもすすめられる方法ではありません。対象になるかどうか、また使い方が適切かどうかは、感染のリスクや既往、ほかに服用している薬などを踏まえて医師が判断します。
服用しても感染を完全に防げるわけではありません。心当たりがあるときや症状が出たときは、あらためて検査を受ける必要があります。抗菌薬を繰り返し使うと薬が効きにくくなる耐性菌への注意も欠かせず、定期的な検査を続けることが前提となる方法です。予防目的で服用する場合も、治療目的の場合と同様に胃腸症状や光線過敏症などの副作用が生じる可能性があります。すでに治療中の方や服用しているお薬がある方は、まず主治医に相談しましょう。
参考:Preventing STIs with Doxy PEP | STI | CDC
72時間という限られた時間のなかでは、受診の予約を取り、薬局に立ち寄る余裕まで確保できないこともあるでしょう。
例えば新宿予防クリニックなどは、スマートフォンからのオンライン診察に対応しており、最短で相談した当日にお薬を受け取れる場合もあります(対応時間や配送の条件は医療機関により異なります)。来院や対面での説明が不要なため、周囲に知られたくない方も落ち着いてご相談いただけます。「間に合うだろうか」と迷っている時間は、相談できる機会をそのまま狭めてしまいます。
心当たりのある段階で、まずはご相談ください。
クラミジアの感染部位で変わること
クラミジアは性器だけでなく、のどや直腸、目にも感染します。
感染した部位によって薬の届きやすさに違いがあります。原因菌は同じでも、治療の進み方には差異があるのです。
参考:性器クラミジア感染症(詳細版)|国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト
参考:Chlamydial Infections – STI Treatment Guidelines
性器:1回の服用で治療が完結しやすい
性器クラミジアは、アジスロマイシンの1回服用で治療を終えられるケースが多いと言われる部位です。
ただし米国CDCの指針ではドキシサイクリン7日間が第一選択で、アジスロマイシン単回は代替薬とされ、男性の尿路性器感染ではドキシサイクリンより治療失敗が多いと報告されています。感染時、男性は排尿痛や尿道からの分泌物、尿道の不快感などで気づくことが多いです。
女性はおりものの変化や不正出血が起きることがある一方、自覚症状の乏しい場合が多く、感染に気づかないままになることも少なくありません。心当たりがある段階で一度医療機関で検査を受けるのがおすすめです。
のどや直腸:服用期間が長くなりやすい
のどや直腸の感染では、アジスロマイシン単回投与の効果が性器感染より劣ると報告されており、治療には7日間服用するドキシサイクリンが選ばれることが一般的です。単回投与で完治しやすい性器感染と比べて治療期間が長くなりやすい点に注意が必要です。
オーラルセックスやアナルセックスで感染しやすい部位です。のどの感染では自覚症状が出ないことが多く、発見が遅れる要因の一つとされます。女性では性器クラミジア感染者の一定割合で肛門・直腸からも菌が検出されるため、アナルセックスの有無からだけでは予測できないケースもあると言われています。
疑わしい場合は主治医へ相談して、検査の範囲を広げてもらいましょう。
クラミジア治療薬の飲み方で気をつけたいこと

クラミジアの治療薬は、服用方法を守れているかどうかで完治までの期間が変わりやすいです。
飲酒や食べ合わせ、自己判断による中断は、効果を下げる代表的な要因とされます。
服用している期間中の飲酒は避ける
クラミジア治療に使うアジスロマイシンやドキシサイクリンは、添付文書上でアルコールとの相互作用や飲酒制限が定められている薬ではありません。
ただし、これらの薬では肝機能障害が重大な副作用として報告されており、多量の飲酒は肝臓への負担となるため、治療中は飲酒を控えたほうが安心でしょう。
参考:医療用医薬品 : ジスロマック (ジスロマック錠250mg)
牛乳や胃薬とは2時間以上空けて飲む
クラミジア治療で使われる抗菌薬のうち、特にミノサイクリンは、牛乳や乳製品、カルシウム・マグネシウム・アルミニウムを含む制酸薬(市販の胃薬)、鉄剤と同時に服用すると吸収が低下し、効果が減弱するおそれがあります。金属イオンと薬が消化管内で溶けにくい状態をつくり、腸から取り込まれにくくなるためです。基本的には服用間隔を2〜4時間空けることとされています。
ドキシサイクリンも制酸薬や鉄剤との併用は吸収が低下すると言われていますが、牛乳や食事と一緒でも吸収自体は妨げられないとされているため、胃腸症状が出やすい場合は食後の服用も可能です。
参考:医療用医薬品 : ミノマイシン (ミノマイシン錠50mg)
参考:医療用医薬品 : ビブラマイシン (ビブラマイシン錠50mg 他)
症状が消えても最後まで飲みきる
痛みやおりものの変化が落ち着いても、処方された薬は最後まで飲みきりましょう。症状の消失と菌の消失は別であり、途中で服用をやめると、生き残った菌が再び増えてしまうおそれがあります。
前述したように中途半端な服用は耐性菌を生む要因にもなり得るため、次に同じ薬が効きにくくなる可能性も出てきます。
クラミジア治療薬の副作用
クラミジアの治療薬で見られるとされる副作用には、下痢や吐き気などの胃腸症状があります。
ほとんどは軽度で一時的に収まることが多いと言われるものの、まれに重い反応が現れる可能性があります。
下痢や吐き気が出やすい
下痢や吐き気といった胃腸の症状は、抗菌薬の副作用として比較的多く見られるとされます。腸内の細菌のバランスが一時的に崩れることで起こり、多くの場合、服用を終えると自然に落ち着く傾向にあります。
空腹時を避けて食後に服用すると症状が軽くなる場合もありますが、適した飲み方は薬によって異なるため、事前に確認しておきましょう。水分がとれないほどのつらい症状が出たときは、無理せず主治医に相談してください。
参考:厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル(偽膜性大腸炎)」
日光で肌が赤くなりやすい
ドキシサイクリンなどのテトラサイクリン系では、日光に当たった部分が赤くなる「光線過敏症」が起こることがあります。頻度は高くないものの、普段は問題のない短時間の外出でも、ひりつきや赤みが現れる場合があります。
服用中は日焼け止めを使い、屋外で過ごす日は長袖や帽子で肌を覆うようにすると、負担の軽減につながるでしょう。
参考:PMDA「テトラサイクリン系抗生物質製剤(添付文書)」
発疹や息苦しさは主治医へ相談
発疹やじんましん、息苦しさ、皮膚や白目が黄色くなる症状が現れたときは、服用を続けず医療機関へ連絡するのが理想的です。アレルギー反応や肝機能の異常など、まれではあるものの見過ごせないサインの可能性があります。
夜間や休日で受診が難しい場合も、翌日を待たずに相談窓口へ電話するほうが安全と言えるでしょう。
参考:医薬品・医療用具等安全性情報 No.166 | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
服薬後はどのくらいでクラミジアは治る?
クラミジアの症状は治療薬の服用から数日で軽くなる人が多い一方、完治の判断は再検査の結果を待って行われます。
処方された治療薬を飲み終えたからと言って、治療が終わったとは言い切れないのです。
参考:Chlamydial Infections – STI Treatment Guidelines
症状は服薬から1週間ほどで和らぐ
ここまでで説明したように、多くの場合、薬を飲み始めてから1週間ほどで自覚症状は軽くなる傾向にあります。症状が和らいだ段階で性行為を再開すると、パートナーへうつすおそれが残るので十分注意しましょう。
完治の確認は医師が指定した時期の検査で行う
再検査の要否や時期は、妊娠の有無、症状の続き方、服薬の状況、再感染の可能性などによって異なります。薬を飲み終えてから3〜4週間ほど空けることが目安とされるのは、早すぎる時期に検査を受けると死んだ菌の遺伝子が反応して陽性と出る場合があるためです。
医師から指定された時期に検査を受けましょう。再検査までの間は性行為を控えることも大切です。
治らない場合は主治医に再度相談すること
再検査で陽性が続く場合は、多くの場合、治療内容を見直す対応になります。要因として考えられるのは、薬が効きにくい菌が残っているケースや、淋菌など別の感染症を併発しているケースです。パートナーとの間で感染を繰り返すピンポン感染の可能性も挙げられます。
原因によって、次に使う薬や検査の範囲は変わります。症状がぶり返したときは経過を伝えて主治医に相談しましょう。
クラミジアの治療薬だけ欲しいとき

クラミジアの治療薬は、原則として医師の診察や検査結果等に基づいて処方されます。
前述したドキシペップは予防を目的とした方法であり、治療薬とは扱いが異なります。ただし、受診から薬の受け取りまでの手間を減らす選択肢は増えています。
参考:医師法(昭和23年法律第201号)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=80001000&dataType=0&pageNo=1
薬は検査を受けたあとに処方される
クラミジアの薬は、検査で感染が確認されてから処方されるのが原則とされています。症状だけでは淋菌やマイコプラズマなど他の感染症と区別しにくいため、診断の確証がないまま適さない治療薬を服用してしまうと本当の原因を見逃してしまう可能性もあります。
すでに他院で検査を受けて陽性と確認されている場合は、検査結果を持参することで、再検査なしに薬の処方だけを受けられることもあります。
ただし、前回と同じ薬で問題ないと思っても自己判断で市販薬や余った薬を使うのは避け、現在の症状や体調に適した薬かどうかは医師に確認しましょう。
オンライン診療なら自宅から相談できる
対面での受診に抵抗がある場合は、オンライン診療も選択肢の一つです。スマートフォンやパソコンから医師の診察を受けられ、検査キットの郵送に対応する医療機関もあります。
ただし、診察の結果によっては来院を求められるケースもあり、すべてが画面越しで完結するとは限りません。どんな受診方法を選ぶかは症状や生活スタイルによって変わりますが、様々な選択肢を知っておくこと自体が判断の助けになるでしょう。
オンライン診療に対応したサービスでは、受診の流れや相談できる内容が事前に公開されているため、自分に合うかどうかを申し込み前に確認できます。
参考:オンライン診療について 国民・患者の皆様へ|厚生労働省
処方薬は配送で自宅でも受け取れる
処方箋が出たあとの薬は、薬局の店頭に並ばなくても受け取れる場合があります。オンラインでのお薬の説明(服薬指導)を受けたうえで、自宅や職場、コンビニへ配送してもらう仕組みも広がっています。周囲の目を気にせず薬を受け取りたい場合、待合スペースで名前を呼ばれる心配がない点は負担の軽減につながるでしょう。
特に仕事や家事の合間に受診したい場合、「病院と薬局の2か所に立ち寄る」という手間がなくなるだけでも負担はかなり軽くなるでしょう。オンライン診療と配送に対応したサービスなら、相談から薬の受け取りまで一度の流れで進められます。
まとめ
クラミジアの治療は、処方された抗菌薬を決められた回数だけ正しく飲むことが基本です。
医師から指定された時期の再検査で陰性を確認するところまでが、一区切りと言えるでしょう。市販薬や個人輸入で代用できる薬は基本的に代用にはならず、感染した部位や体質によって、選ばれる処方薬や飲み方も変わります。受診そのものにためらいを感じたり、薬局の待ち時間を確保できずに治療の開始が遅れたりするケースも存在します。
処方箋を受け取ったあと、通常通り薬局で薬を受け取るか、オンライン薬局を利用するかを状況に応じて検討することで治療のスケジュールが崩れにくくなるでしょう。
症状を周囲に知られたくない方は「とどくすり」の利用がおすすめ
クラミジアの治療中は、できるだけ人目に触れずに薬を受け取りたいと考える方もいらっしゃるでしょう。
そこで役立つのが、処方せん薬宅配サービス「とどくすり」です。薬局のカウンターで、他の患者さんがいる前で症状を尋ねられることはありません。お薬の説明(服薬指導)はビデオ通話で受けられるため、周囲を気にせずご相談いただけます。取り扱いのない薬局を何軒も回ったり、取り寄せのために後日また出向いたりする手間もなくなります。
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