妊娠中に突然の頭痛や発熱に見舞われると、薬を飲んでも良いのか、お腹の赤ちゃんに影響はないかと不安になりますよね。特に「カロナール」は、病院で処方されることも多い薬ですが、本当に安全なのか気になる方も多いでしょう。
この記事では、妊娠中のカロナール服用に関する疑問や不安を解消するために、その効果や胎児への影響、正しい使い方について詳しく解説していきます。

妊娠中のカロナール服用は医師の指示のもとなら可能

結論から言うと、妊娠中のカロナール服用は、医師が必要と判断した場合に指示のもとで可能です。多くの産婦人科で、妊婦さんの発熱や痛みに対して第一選択薬として処方されています。
カロナールは産婦人科で処方されやすい
カロナールの主成分である「アセトアミノフェン」は、他の多くの解熱鎮痛薬(NSAIDsなど)と比較して、妊娠中の使用における安全性の実績が長年にわたって蓄積されています。医師は母体と胎児への影響を考慮した上で、最もリスクが低いと考えられるカロナールを選択することが多いのです。
自己判断での安易な服用は避けるべき
医師から処方されやすい薬ではあるものの、自己判断で安易に服用するのは絶対に避けるべきです。妊娠中の薬の服用は、必要性を医師が慎重に判断した上で行われるべきものです。
たとえ以前処方されたものが手元に残っていても、まずはかかりつけの産婦人科医に電話などで相談し、指示を仰ぐようにしてください。
カロナールとはどのような薬?
カロナールは、医療用医薬品として広く使用されている解熱鎮痛薬です。新型コロナウイルスの流行を機に、名前を知った方も多いかもしれません。
主成分はアセトアミノフェン
カロナールの有効成分は「アセトアミノフェン」です。100年以上にわたって世界中で使用されており、副作用が比較的少ないことで知られています。そのため、小児から高齢者、そして妊婦さんまで、幅広い層に使用されています。
体温調節中枢に作用して熱を下げる
アセトアミノフェンは、脳にある体温調節中枢に作用し、血管を広げて体外へ熱を逃がすことで解熱効果を発揮します。痛みの情報を伝える物質を抑えることで、鎮痛効果ももたらします。ロキソニンなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)とは作用の仕組みが異なり、胃腸への負担が少ないという特徴もあります。
妊婦がカロナールを服用する際のリスクと影響

妊娠中にカロナールが比較的安全に使用できるとはいえ、リスクが全くないわけではありません。特に、使用する時期や量については注意が必要です。
妊娠初期の服用における注意点
妊娠初期は、胎児の重要な器官が形成される非常にデリケートな時期です。この時期の薬の服用は、胎児への影響を最も慎重に考慮する必要があります。カロナールが奇形を引き起こすといった報告は基本的にありませんが、不要な服用は避けるべきです。
妊娠中期・後期の服用における注意点
妊娠後期にアセトアミノフェンを服用すると、胎児の動脈管を収縮させる可能性があると指摘されています。特に妊娠後期は、医師の監督のもと、必要最低限の使用にとどめることが推奨されます。自己判断での長期連用は絶対に避けましょう。
発達障害との関連性の研究について
近年、妊娠中のアセトアミノフェン服用が、子どものADHD(注意欠陥・多動性障害)やASD(自閉症スペクトラム障害)のリスクを高める可能性を示唆する研究が報告され、不安に感じている方もいるかもしれません。
しかし、研究の多くは薬の服用と発達障害の間に「因果関係」を証明したものではなく、「関連性」を示したに過ぎません。発熱の原因となった感染症そのものの影響など、他の要因が関わっている可能性も指摘されており、現時点ではアセトアミノフェンが直接の原因であるとは断定されていません。
参考:
トランプ氏、妊婦の解熱鎮痛剤タイレノール使用で「自閉症リスク増える」 証明されていない説を主張 – BBCニュース
妊娠中にカロナールを服用する際の正しい使い方
妊娠中にカロナールを服用する際は、胎児への影響を最小限にするために、正しい使い方を守ることが何よりも大切です。
処方された用法・用量を必ず守る
医師からカロナールが処方された場合は、指示された1回あたりの量、1日の服用回数、服用間隔を厳密に守ってください。効果がないからといって、自己判断で量を増やしたり、服用回数を増やしたりすることは大変危険です。
長期的な服用は避けて短期間にとどめる
痛みや熱が続く場合でも、漫然と服用を続けるのは避けるべきです。症状が改善しない場合は、再度医師の診察を受け、指示を仰ぎましょう。原則として、症状を和らげるために必要な最短期間の使用にとどめることが推奨されます。
市販薬を選ぶ際のポイント
やむを得ず市販薬を使用する場合は、必ず薬剤師に相談し、妊娠中であることを伝えてください。市販の風邪薬や鎮痛薬には、アセトアミノフェン以外にも様々な成分が含まれていることがあります。アセトアミノフェン単一成分の薬を選ぶことが望ましいです。
カロナール以外で妊婦が使える薬はある?
アセトアミノフェンが主成分の薬は、カロナール以外にも市販されています。
しかし、妊娠中は避けるべき解熱鎮痛薬も存在するため、注意が必要です。
アセトアミノフェンが主成分の他の市販薬
ドラッグストアなどでは、「タイレノールA」などがアセトアミノフェンを主成分とする市販薬として販売されています。これらも選択肢にはなりますが、購入する際は必ず薬剤師に相談し、添付文書をよく読んでから使用してください。
NSAIDs(解熱鎮痛薬)は避けるべき
ロキソプロフェン(ロキソニン)やイブプロフェン(イブ)に代表される「NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)」は、妊娠中の使用、特に妊娠後期は禁忌とされています。胎児の動脈管を閉鎖させたり、羊水が少なくなるなどの影響を及ぼしたりする可能性があるためです。
薬に頼らないつらい症状の対処法
妊娠中は、まず薬に頼らないセルフケアを試すことも大切です。症状が軽い場合は、以下の方法で改善することがあります。
発熱した時のセルフケア方法
38度以下の微熱であれば、まずは安静にして体を休めましょう。こまめな水分補給を心がけ、脱水症状を防ぎます。冷却シートや氷枕などで首筋や脇の下、足の付け根などを冷やすと、体温が下がりやすくなります。
頭痛を感じる時のセルフケア方法
頭痛には、十分な休息と睡眠が効果的です。静かで暗い部屋で横になるだけでも、症状が和らぐことがあります。こめかみを冷やしたり、温かいタオルで首の後ろを温めたりするのも良いでしょう。
ただし、急激で激しい頭痛の場合は、妊娠高血圧症候群などの可能性もあるため、すぐに医療機関を受診してください。
妊婦のカロナール服用に関するよくある質問

ここでは、妊娠中のカロナール服用に関して、特によく寄せられる質問にお答えします。
授乳中にカロナールを飲んでも大丈夫?
カロナールの成分は母乳に移行しますが、量はごくわずかで、赤ちゃんへの影響は少ないとされています。授乳中の解熱鎮痛薬としても比較的安全に使用できます。
ただし、この場合も自己判断はせず、医師や薬剤師に相談してから服用するようにしましょう。
参考:授乳中に安全に使用できると考えられる薬 – 50音順 – | 国立成育医療研究センター
新型コロナやインフルエンザでも使えますか?
はい、使えます。厚生労働省は、新型コロナウイルスワクチンの副反応による発熱や痛みに対して、アセトアミノフェンを使用できるとしています。
インフルエンザによる高熱や頭痛に対しても、医師の診断のもと処方されることがあります。感染症が疑われる場合は、まず医療機関に相談することが重要です。
まとめ
妊娠中のカロナール服用は、医師の適切な判断と指導のもとであれば、過度に心配する必要はありません。むしろ、高熱や強い痛みを我慢することが、母体や胎児にとってストレスとなる場合もあります。大切なのは、自己判断で薬を飲まないことです。体調に変化を感じたら、まずはかかりつけの産婦人科医に相談し、その指示に従うようにしてください。
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