毎月のつらい生理痛やPMS(月経前症候群)に悩んでいるけれど、忙しくて病院に行く時間がない、という方も多いのではないでしょうか。最近では、オンライン診療でピルを処方してもらう選択肢も身近になりました。
しかし、「オンラインだと保険は使えないのでは?」「費用が高くなりそう」といった不安を感じるかもしれません。
この記事では、オンライン診療でピルを保険適用で処方してもらうための条件や費用、具体的な流れについて詳しく解説します。自費診療との違いや、オンラインならではのメリット・デメリットも紹介するので、安心してピルを始めるための参考にしてください。
ピルのオンライン処方は保険適用される?
「ピルは自費」というイメージがあるかもしれませんが、オンライン診療でも特定の条件を満たせば、健康保険を使って処方してもらうことが可能です。通院の手間を省きながら、費用負担を抑えてつらい症状を和らげることができます。
「治療目的」であればオンラインでも保険適用が可能
ピルの処方が保険適用になるかどうかの最も大きなポイントは、その「目的」です。日常生活に支障が出るほどの生理痛(月経困難症)や、子宮内膜症といった病気の「治療」を目的とする場合、オンライン診療であっても保険が適用されます。
医師が診察の上で治療が必要だと判断した場合に、保険診療としてピルが処方される仕組みです。そのため、あくまで初診は対面で医師に診てもらうことを推奨しています。
避妊や月経移動が目的の場合は自費診療
一方で、主な目的が「避妊」である場合や、旅行などのために生理日をずらす「月経移動」の場合は、病気の治療とはみなされないため、保険は適用されません。
この場合は、対面診療でもオンライン診療でも「自費診療」となり、費用は全額自己負担となります。
ピル処方に保険が適用されるための3つの条件

オンライン診療でピルの処方に保険を適用させるためには、いくつかの条件をクリアする必要があります。ここでは、その具体的な3つの条件について解説します。
条件1:月経困難症や子宮内膜症の治療が目的である
保険適用でピルを処方してもらうための大前提は、医師によって「月経困難症」や「子宮内膜症」の治療が必要だと診断されることです。
例えば、以下のような症状に悩んでいる場合は、治療目的と判断される可能性があります。
- 毎月、鎮痛剤を飲んでも生理痛が治まらない
- 腹痛や腰痛がひどく、仕事や学校を休んでしまう
- 経血量が非常に多い
- 生理中の気分の落ち込みやイライラが激しい(重度のPMS)
オンライン診療の問診で、ご自身のつらい症状を具体的に医師に伝えることが重要です。
条件2:処方されるピルが保険適用対象の種類である
ピルには、目的によって大きく2つの種類があります。保険が適用されるのは、月経困難症などの治療薬として国に承認されている「LEP(レップ)」と呼ばれるピルです。一方、避妊目的で使われるピルは「OC(オーシー)」と呼ばれ、こちらは保険適用外となります。
※LEPにも排卵を抑制する作用があるため避妊効果は期待できますが、避妊を主目的として処方することはできません。
参考:低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤 ガイドライン.pdf
条件3:受診するクリニックが保険診療に対応している
オンライン診療サービスを提供しているクリニックの中には、自由診療(自費)のみを扱っているところもあります。そのため、保険適用での処方を希望する場合は、予約する前に必ずそのクリニックが「保険診療に対応しているか」を確認する必要があります。
クリニックの公式サイトで確認したり、予約時のメニューで「保険診療」が選択できたりするかなどをチェックしましょう。初診は対面で医師に検査をしてもらった上で、オンライン診療に切り替えることをおすすめしています。
保険適用と自費診療の料金はどれくらい違う?
ピルを継続して服用する上で、費用は重要なポイントです。保険が適用されるかどうかで、月々の負担額は大きく変わります。
【保険適用】診察料とピル代で月々2,000円~3,500円程度
保険が適用されると、医療費の自己負担額は原則3割になります。月経困難症の治療としてピルを処方してもらう場合、診察料とピル1シート(1ヶ月分)の代金を合わせて、月々2,000 円から3,500円程度が目安です。ジェネリック医薬品(後発医薬品)を選ぶと、さらに費用を抑えられる場合があります。
【自費診療】診察料とピル代で月々3,000円~4,000円程度
避妊目的などで自費診療になる場合、診察料とピル代は全額自己負担です。費用はクリニックが自由に設定できるため幅がありますが、一般的には月々3,000円から4,000円程度が相場となります。
別途かかるオンライン診療特有の費用も確認しよう
オンライン診療では、診察料や薬代のほかに、サービス独自の費用がかかる場合があります。下記はその一例です。
これらの費用は保険適用外となり、クリニックによって金額も異なります。予約時には、総額でいくらかかるのかを事前に確認しておくと安心です。
保険適用でピルをオンライン処方してもらう流れ

実際にオンライン診療で保険適用のピルを処方してもらうには、どうすればよいのでしょうか。ここでは、予約からピルが手元に届くまでの一般的な流れを3つのステップで解説します。
Step1:保険診療対応のクリニックを探して予約する
まずは、スマートフォンやパソコンで、ピルのオンライン処方を行っており、かつ「保険診療」に対応しているクリニックを探します。クリニックの公式サイトや予約サイトで対応状況を確認し、希望の日時で診察を予約しましょう。予約時に、問診票の入力や保険証情報の登録を求められることが一般的です。
Step2:オンラインで医師の診察を受ける
予約した時間になったら、スマートフォンのアプリやパソコンのビデオ通話機能を使って医師の診察を受けます。診察では、生理痛の程度や月経周期、既往歴、アレルギーの有無などについて質問されます。治療目的であることを正確に伝えるため、ご自身の症状を具体的に説明できるように準備しておきましょう。
Step3:会計後、ピルが自宅に届くのを待つ
診察が終わり、医師からピルの処方が可能と判断されると、オンラインで会計を行います。クレジットカード決済が一般的です。決済が完了すると、数日後に処方されたピルが自宅のポストなどに届きます。プライバシーに配慮した梱包で送られてくることがほとんどです。
ピルのオンライン処方のメリットとデメリット
手軽で便利なオンライン診療ですが、対面診療とは異なる点もあります。メリットとデメリットの両方を理解した上で、自分に合った方法を選びましょう。
メリット:通院の手間がなくプライバシーも守られる
オンライン診療の最大のメリットは、病院へ行く時間や交通費がかからない点です。自宅など好きな場所から、すきま時間を使って診察を受けられます。また、産婦人科の待合室で他の患者さんと顔を合わせることがないため、プライバシーが守られやすいと感じる方も多いでしょう。
デメリット:対面での検査ができず、すぐに薬を受け取れない
オンライン診療では、内診や超音波検査、血液検査といった対面でしか行えない検査はできません。そのため、症状によっては医師から対面診療を勧められることもあります。また、診察後すぐに薬を受け取れるわけではなく、自宅に届くまで数日間のタイムラグがある点もデメリットと言えるでしょう。
ピルのオンライン処方に関するよくある質問
ここでは、ピルのオンライン処方に関して多くの方が疑問に思う点についてお答えします。
初診からオンラインで保険適用されますか?
オンラインピル診療は原則として保険適用外であり、自由診療に分類されます。例外として、緊急避妊薬(アフターピル)にて対面診療が困難な場合に限り、所定の研修を受講した医師によるオンライン診療が許されています。
基本的に初診は対面でかかりつけの医師に診てもらうことが推奨されています。
参考:「「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に関するQ&Aについて」の改訂について(厚生労働省医政局医事課長:R6.4.1)
保険証はどのように提示すればよいですか?
クリニックが指定する方法で提示します。一般的には、予約時にスマートフォンのカメラで撮影した保険証の画像をアップロードする方法や、診察の際にビデオ通話の画面越しに提示する方法などがあります。
最近では、マイナンバーカードを保険証として利用できるオンライン資格確認システムを導入しているクリニックも増えています。
参考:マイナンバーカードの保険証利用について(被保険者証利用について)|厚生労働省
未成年でもオンラインで処方してもらえますか?
未成年の方がピルの処方を受けること自体は可能です。オンライン診療での保護者の同意については、クリニックによって対応が分かれており、「親の同意不要」のクリニックもあれば「親の同意が必要」なクリニックもあります。
同意書の提出や保護者の同席についても、クリニックの方針により異なります。対応はクリニックによって異なるため、予約を希望するクリニックの公式サイトなどで事前に確認することをおすすめします。
まとめ
オンライン診療でも、月経困難症などの「治療目的」であれば、保険を適用してピルを処方してもらうことが可能です。症状を正確に把握するために、初診は対面での診療を推奨しています。その上で、症状が安定している方は2回目以降オンラインの選択肢も検討いただくのがおすすめです。
また、2回目以降も可能な方は定期的な対面診療を推奨します。 費用を抑えながら、通院の手間なくつらい症状の改善を目指せるため、忙しい方や婦人科受診に抵抗がある方にとって心強い選択肢となるでしょう。この記事を参考に、自分に合った方法で快適な毎日を送るための一歩を踏み出してください。
「とどくすり」は、無料会員登録後、処方せん画像をスマホで送信すれば、全国どこでも処方せん薬をお届けします。 薬局での待ち時間はなく、ご自宅等お好きな場所で服薬指導(お薬の説明)を受けられるため、人目を気にしたり、重い荷物を持って薬局から帰ったり、というご負担もありません。
オンライン診療と併用することで、スマホ一つで完結できます。 ぜひ一度、ご利用してみてください。