糖尿病の治療薬「マンジャロ」の効果。どのように使用される!?

2型糖尿病に使用される薬剤として、2023年4月に日本で承認された「マンジャロ」（一般名：チルゼパチド）があります。
本記事では、「マンジャロ」の特徴・使用方法・作用や副作用についてご紹介します。
糖尿病治療中の方や、医師にマンジャロを勧められた方は是非ご一読ください。

マンジャロとは

マンジャロは、日本イーライリリーと田辺三菱製薬が製造販売している「持続性GIP/GLP-1受容体作動薬」です。

マンジャロは、血糖値の高いときにインスリン分泌を促進するため低血糖のリスクが低く、比較的安全に使用できます。
また、週1回の皮下注射で患者さんの負担が少ないのも特徴です。

体重減少の効果があるため、アメリカでは肥満症治療薬として知られていますが、日本では美容や痩身目的での使用は推奨されておらず、認められていません。
美容目的の場合は自由診療で、自費での支払が発生します。
いずれの場合も、定期的な医師の診察が必要です。

マンジャロの使用方法・用量

マンジャロは週1回、決まった曜日に皮下注射をします。
専用の使い切りペン「アテオス」を用いるため、用量設定や注射針の扱いを気にする必要がありません。

使用方法

以下の手順で、腹部か太ももに自己注射します。

1. 灰色のキャップを外し、透明な底面を皮膚に当てる
2. 緑色の目印を回して、ロックを解除する
3. 皮膚に押し当てながら注入ボタンを押して、「カチッ」という音が2回するまで待つ。音が聞こえない場合は、透明部分を確認し、注射完了を確認する

毎回、注射部位を変えましょう。

用量・投与スケジュール

マンジャロの基本の用量は以下のとおりです。

• 開始用量：2.5mgを週1回、4週間投与
• 維持用量：5mgに増量し、必要に応じて2.5mgずつ増量（4週間以上の間隔を空ける）
• 最大用量：1回15mgまで増量可

ただし、血糖コントロールや体重、副作用の有無を考慮して医師が調整することもあります。必ず医師の指示に従って用量を調整し、安全に使用してください。

打ち忘れた場合は、次回までに3日間（72時間）以上ある場合は、気づいた時点で直ちに注射し、次の定めた曜日に戻します。3日間未満の場合は、次の定めた曜日まで待ってから使用してください。

保管方法

マンジャロは、凍結しないように冷蔵庫（2〜8℃）で保管してください。
冷蔵庫が使用できない場合は、直射日光を避けた室温（30℃以下）で、21日間まで保管できます。

マンジャロの作用と副作用

ここでは、マンジャロの作用と副作用をご紹介します。

作用

マンジャロは、2種類のホルモン受容体GIPとGLP-1に作用します。
どちらも小腸から分泌され、以下の機序により血糖値を下げる効果と体重を減らす効果を発揮します。

GIP（グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド）

• 膵臓のβ細胞に作用し、インスリン分泌を促進
• グルカゴン（血糖を上昇させるホルモン）の働きを調整
• レプチンの分泌を促進して食欲を抑制
• 脂肪のエネルギー利用を亢進

GLP-1（グルカゴン様ペプチド-1）

• 血糖値が高いときにのみ膵臓のβ細胞に作用し、インスリン分泌を促進
• 胃から腸へ食物の排出を遅らせ、食後の血糖値上昇を抑える
• 脳に働きかけて食欲を抑制

これらの作用によって、マンジャロは血糖値を効果的に下げ、同時に体重の減少を促します。

副作用

マンジャロの副作用の多くは消化器症状で、治療を継続するうちに軽減するケースが多いです。

よくある副作用

• 悪心、嘔吐
• 下痢、便秘
• 腹痛、消化不良

特に、食事をとらない状態が続くと胆汁がうっ滞しやすくなるため注意しましょう。
胃腸障害がひどい場合は、医師が投与量を調整することもあります。

重大な副作用と初期症状

• 低血糖：冷や汗やめまいなど
• 急性膵炎：持続的な腹痛や嘔吐
• 胆石症や胆嚢炎：検査値の異常や違和感

他の糖尿病治療薬とマンジャロを併用する場合に、低血糖が起こりやすくなるため注意が必要です。
これらの重大な副作用の兆候があらわれたら、使用を直ちに中止し医師に相談してください。
また、 膵炎や甲状腺関連の病歴がある方は、慎重に使用する必要があります。事前に医師に相談してください。

使用を避けるべき人

• 糖尿病性ケトアシドーシス患者
• 糖尿病性昏睡または前昏睡患者
• 1型糖尿病の患者
• 重症感染症患者
• 手術等の緊急時の患者
• 妊婦や授乳中の女性
• 18歳未満の患者
• 成分に過敏症の既往歴がある方

また、投与開始時のBMI（体格指数）が23未満の患者での有効性と安全性は検討されていません。過度なダイエットや極端な食事制限により低血糖のリスクがあるため、注意してください。

マンジャロは体重減少効果も期待できる糖尿病治療薬

マンジャロは、血糖降下作用と体重減少効果が期待できる新しい2型糖尿病治療薬です。
健康的な食事や運動も並行して行うことで、より良い治療効果が期待できます。
医師とよく相談し、定期的な診察を受けながら安全な治療を行いましょう。

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