デュピクセントは、これまでの治療法では効果が不十分だった患者さんに用いられるアトピー性皮膚炎の注射薬です。
本記事では、デュピクセントの特徴や対象者、投与方法、効果や副作用について解説します。
アトピー性皮膚炎でお悩みの方や、新しい治療法に興味がある方におすすめの内容です。
デュピクセントとは
デュピクセントは従来の治療薬とは異なる新しい作用機序をもつ薬で、2018年にアトピー性皮膚炎の治療薬として日本で承認されました。
主成分のデュピルマブは、アトピー性皮膚炎の症状を引き起こすタンパク質(IL-4、IL-13)の働きを抑えることで、炎症やかゆみをやわらげます。
また、デュピクセントは体内の免疫システムに直接作用するため、アトピー性皮膚炎以外にも以下のようなアレルギー性疾患にも適応が拡大しています。
- 結節性痒疹
- 特発性の慢性蕁麻疹
- 気管支喘息
- 鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎
デュピクセントの対象者
デュピクセントは、中等度から重度のアトピー性皮膚炎の患者さんが対象です。
症状の程度
ステロイド外用薬やタクロリムス外用薬など、アトピー性皮膚炎の既存の治療法を行っても、強い炎症を伴う皮疹が広範囲に及ぶ場合に使用が検討されます。
年齢と体重
生後6ヶ月以上かつ体重5㎏以上であれば、小児から成人まで幅広く使用できます。
年齢や体重に応じた投与量で治療を行います。
使用できない方
デュピクセントを使用できない方は以下の方です。
- 過去にデュピクセントの成分でアレルギーがあった方
- 寄生虫感染がある方
- 生ワクチン接種した方/接種予定の方
妊婦や授乳中の方、高齢者の方は、医師と相談のうえで使用の可否を判断する必要があります。
デュピクセントの投与・治療の流れ
医師による診察と検査のうえ、デュピクセントの使用が適切と判断された場合にのみ、投与が開始されます。
投与は医師の指導のもとに行われ、治療中は定期的に医師によるフォローアップが行われることにより、皮膚症状や副作用の有無が確認されます。
また、投与量は成人と小児で異なります。
成人
通常、以下の用量でデュピクセントが皮下投与されます。
- 初回投与:300mg2本(合計600mg)
- 継続投与:2週間隔で300mg1本
小児
体重に応じて、以下のように投与量が調整されます。
- 5kg〜15kg:初回200mg、その後4週間ごとに200mg
- 15kg〜30kg:初回300mg、その後4週間ごとに300mg
- 30kg以上60㎏未満:初回400mg、その後2週間ごとに200mg
- 60㎏以上:初回600mg、その後2週間ごとに300mg
自己注射
デュピクセントは、最初の数回を医療機関で指導を受けた後、自宅で自己注射を行うことができます。
自己注射の手順は以下のとおりです。
- 注射器を室温に戻す(300mg:45分以上/200mg:30分以上)
- 注射部位(腹部、太もも、上腕部)を消毒する
- 皮膚をつまみ、90度の角度で針を挿入する
- 薬液を20秒程度かけてゆっくり注入する
- 針をまっすぐ引き抜き、注射部位を軽く押さえる
副作用を避けるため、毎回異なる部位に注射することが推奨されます。
使用済みの注射器は医療廃棄物として処理してください。
デュピクセントの効果・副作用
デュピクセントの効果、副作用について知っておきましょう。
デュピクセントの効果
デュピクセントの効果としては、皮膚の炎症の抑制、かゆみの軽減、皮膚のバリア機能の改善などが挙げられます。
外部刺激に対する敏感さが軽減するため、新たな炎症が起こりにくく患者さんの生活の質(QOL)が大幅に向上することが期待されるでしょう。
ある臨床試験では、デュピクセント投与開始から16週間までに、多くの患者で症状が改善したという報告がありました。
かゆみは、投与2〜3日後には軽減するケースが一般的で、16週までに治療反応が得られない場合は投与中止が検討されます。
デュピクセントの副作用
デュピクセントを使用する場合、以下の副作用が報告されています。
一般的な副作用
- 注射部位紅斑(発赤、腫れ、かゆみ)
- 結膜炎
- 口唇ヘルペス
- 頭痛
- 発熱
重大な副作用
- アナフィラキシーなどの過敏反応
- 好酸球増加症
- 感染症リスクの上昇(特に寄生虫感染)
長期的な副作用
- 角膜炎
特に、注射部位紅斑は最もよく見られる副作用で、ある統計では5%以上と報告されています。
デュピクセントは、重篤な副作用の頻度は少なく比較的安全な薬とされていますが、副作用が現れた場合は直ちに医療機関を受診しましょう。
デュピクセントはアトピー性皮膚炎治療に画期的な注射薬
デュピクセントは、皮膚の炎症や激しいかゆみの原因物質を抑制することで、症状を根本から改善する薬です。
従来の治療法では効果が不十分で苦しんできた患者さんにとって、大きな希望となる革新的な治療選択肢となるでしょう。
比較的早くから効果も現れると報告されているため、多くの患者さんで症状の大幅な改善とQOLの向上が期待されます。
しかし、すべての患者さんに適しているわけではありません。
医師との綿密な相談のもと、個々の症状や生活スタイルに合わせて、最適な治療法を選択することが重要です。
また、治療中は定期的な経過観察を行い、効果や副作用の有無をしっかりと確認する必要があります。
デュピクセントによる治療では、定期的な通院や自己注射の管理が必要となりますが、薬の受け取りや管理に不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
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