体臭は自分では気づきにくいものです。
体臭の原因の1つに「皮膚ガス」というものがありますが、皮膚ガスには数多くの種類が存在します。
皮膚ガスの種類ごとの特徴を知ることで、それぞれのにおいに対して有効な対策をすることができ、、体や心の状態を知ることもできます。
本記事では、皮膚ガスの主な原因と種類、自分で皮膚ガスを確認する方法についてご紹介します。
皮膚ガスとは
皮膚ガスには揮発性があり、エネルギーの代謝や細菌による分解などから生成されたガスが混ざり合ったものです。
300以上もの種類があるとされていますが、基本的には不快なにおいを放ちます。
皮膚ガスが発生する経路は3つあり、皮膚の表面でさまざまな反応が起こって放散されるタイプ、汗腺や皮脂腺から放散されるタイプ、血液中から皮膚へ放たれてにおいが起こるタイプがあります。
1つ目の皮膚の表面で発生する皮膚ガスは、いわゆる足の裏のにおいやワキガ、加齢に伴って変化する体臭の元です。
皮膚の表面にいる常在菌によって汗や皮脂の成分が分解される際に、においの元となる皮膚ガスが生じます。
2つ目の汗腺や皮脂腺から放散される皮膚ガスは、汗腺から汗を分泌する際に出てくる皮膚ガスで、酢酸による酸っぱいにおいが特徴的な、いわゆる汗臭さの元です。
3つ目の血液から発生する皮膚ガスは、血液中にあるにおい成分が循環によって皮膚から染み出し、特有のにおいを発生させます。
強烈なにおいを放つ食べ物やアルコール、たばこなどの影響を大きく受けるため、摂取した成分によって異なるにおいを発生させるのが特徴です。
皮膚ガスの成分や経路からは、心や体のコンディション、さらには食事や嗜好品なども判別でき、どのような生活をしているのかが分かってしまいます。
ただし、においの感じ方は人それぞれに異なるため、皮膚ガスの成分や経路を特定するどころか、自分のにおいに気づくことすら実際には難しいものです。
主な皮膚ガスの原因①:ヘキサナール
ヘキサナールは皮膚ガスのひとつで、肌表面で皮脂が酸化することで発生するガスです。
強いストレスを感じると皮脂の分泌が増え、肌表面で皮脂の酸化が進むと不快なにおいを発生させるため「ストレス臭」ともいいます。
つまり、ヘキサナールのにおいが強いとストレスを感じやすい、もしくはストレスを感じる環境にいるともいえるでしょう。
皮脂の分泌量が多く、さらに皮脂を酸化させる活性酸素が多い人は、ヘキサナールによるにおいが強い可能性が高いです。
ヘキサナールへの対策としては、トマトやキュウリといった夏野菜には抗酸化作用がありますので、積極的に摂取することでヘキサナールのにおい対策に有効といえるでしょう。
また、皮脂の分泌も抑えることでにおいが発生しにくくなります。
揚げ物など油分の多い食べ物を避け、意識して魚や野菜を摂取しましょう。
ヘキサナールはどのようなにおい?
ヘキサナールは、古い牛乳のような異臭がする成分です。
不快感だけでなく不安感も感じる人もおり、うつ病との関連性についてもささやかれています。
主な皮膚ガスの原因②: 2-ヘキセナール
2-ヘキセナールは、皮膚の常在菌が皮脂を分解するときに発生する皮膚ガスのひとつです。
皮脂には常在菌のエサとなるタンパク質やミネラルが豊富に含まれており、皮脂がたくさん分泌されたまま放置していると、常在菌による分解が進んでにおいが強くなります。
そのため、皮脂が分泌されたらできるだけ早めに洗い流すことで、2-ヘキセナールのにおいを予防できます。
湯船にゆっくりと浸かると皮脂が落としやすくなって、洗い残しも少なくなります。
また、揚げ物やスナック菓子などの摂取を控えると、常在菌が分解する皮脂の量を減らせるため、ある程度は2-ヘキセナールのにおいを抑えることができるといわれています。
2-ヘキセナールはどのようなにおい?
2-ヘキサセールは、カメムシのようなにおいがする成分です。
そのため、一度においが気になると洗い過ぎてしまう傾向にありますが、洗浄力の強い成分を使ったり頻回に洗浄したりすると、皮脂を落とし過ぎてしまいます。
皮脂は、肌を守るために必要な成分です。
皮脂が不足すると肌が乾燥しやすくなり、肌を乾燥から守ろうとしてさらに皮脂を大量に分泌するため、においを悪化させる可能性があります。
皮脂を落とすことは大切ですが、肌の潤いが不足しないよう、洗い過ぎに注意して行うことです。
また、保湿ケアで肌を守りながら皮脂の分泌をコントロールしましょう。
主な皮膚ガスの原因③:アセトン
皮膚ガスのなかでもアセトンは、良いにおいと感じる人が多い皮膚ガスです。
脂質代謝によって生成され、血液からにおいを発生させます。
体内の糖分が少ないとエネルギーが不足して、脂肪を分解することでエネルギーをつくろうとしますが、そのときにつくられる成分のひとつがアセトンです。
「ダイエット臭」とも呼ばれており、糖質制限をしていると脂肪の分解(脂肪燃焼)が起こって血液中にアセトンが多く含まれるようになり、血液から出てきたアセトンが甘酸っぱいにおいを感じさせます。
また、体や口からアセトン臭がする人は、糖尿病にかかっていることもあります。
糖尿病患者の体内では糖の代わりに脂肪酸を分解してエネルギーをつくりだすため、アセトンが多く生成されます。
そのため、糖尿病患者の息や汗からはアセトンの独特なにおいがします。
アセトン臭はどのようなにおい?
アセトン臭は「熟したリンゴのような甘いにおい」や「リンゴが腐ったような甘酸っぱいにおい」と表現されることがあります。
アセトンが使われている身近なアイテムとして、マニキュアを落とす除光液がありますが、あのような酸っぱいにおいをイメージすると分かりやすいでしょう。
皮膚ガスを自分で確認する方法
通常、皮膚ガスの種類や量を測定するには専用の機器を用いる必要がありますが、それでは自分で確認することはできません。
また、自分で自分の体臭をチェックしようとしても、鼻がにおいに慣れてしまって上手く判断できません。
そこで、長時間着ていた下着や衣類を袋に入れて、においを充満させておきます。
においをかぐ前に外の空気をしっかりと吸っておき、自分の鼻についたにおいをリセットしておくと、自分がどんなにおいか分かりやすくなるでしょう。
スキンケアや食事の見直し、ストレス発散など、生活習慣の改善を行ってもにおいが続いている場合は、皮膚科を受診してみましょう。
皮膚科では、多汗症やワキガの治療など体臭を抑えるための治療が受けられます。
体への負担が少ない外用薬から根本的な治療まで多様な方法があり、自分に適した方法を選択できます。
体調のバロメーターともいえるのが皮膚ガス
体臭は周りを不快にさせてしまうため、自分でも気づかないうちにコミュニケーションに支障をきたしている可能性があります。
また、体から不快なにおいを発生させているのなら、心や体が悲鳴を上げているかもしれません。
自分の体臭が気になったら、まずは自分でチェックして対策をはじめてみましょう。
セルフケアではにおいを抑えるのが難しいときは、皮膚科に相談して外用薬を処方してもらうなど、自宅でできる治療も選べます。
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皮膚科の処方薬の受け取りには、是非とどくすりの活用をご検討ください。
参考文献
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- JStage「皮膚ガス測定は何に役立つか?」