クローン病とはどのような病気?食事のポイントや治療法を解説

クローン病

口から始まって、食道、胃、小腸、大腸、肛門までを消化管といいますが、その消化管のどこでも炎症が起こる可能性があるのがクローン病です。
治療は長期化することが多く、正しい知識と日常で意識したいポイントを知り、上手に付き合っていくことが大切です。

本記事では、クローン病の特徴や治療法、食事のポイントについて解説していきます。

クローン病の特徴・原因

クローン病は、今のところ原因がはっきりとわかっておらず、難病に指定されています。
そのため一度発症すると、長期的に付き合っていかなくてはならない病気です。
症状が悪化している時期(再燃期)と落ち着いている時期(寛解期)を繰り返すのが特徴で、主な症状は発熱、腹痛、下痢、口内炎などです。

症状①:発熱

状態が悪くなると発熱しやすくなります。
微熱が続くことが多いですが、腹部に膿が溜まるなどの症状があると高熱になることがあります。

症状②:腹痛

1番多く見られる症状で、発症したばかりの頃は軽度の痛みですぐに良くなることが多いですが、徐々に痛みが強くなり長い時間改善しない場合があります。

症状③:下痢

腸粘膜に潰瘍ができることにより、腸管の水分吸収が低下したり、浸出液で便の水分量が増えたりすることで下痢になります。

症状④:口内炎

口腔内に、アフタ性口内炎と呼ばれる痛みを伴う潰瘍が生じます。
口の内側をはじめ、舌や唇、歯茎などにできやすく、痛みを伴うため食べ物が触れるとしみることがあります。

クローン病の検査方法

クローン病の発症年齢は10代後半から30代前半と若い方に多く、若い方で腹痛、下痢などの症状が続く場合はクローン病を疑い、様々な検査が行われます。
医師による問診や診断に加えて、血液検査や内視鏡検査、造影検査などが一般的です。

血液検査

血液検査では、腸に炎症があるかどうかを調べるために、炎症所見や出血による貧血があるか、低栄養状態があるか、などを調べます。

  • 炎症の有無→CRPや白血球数、赤血球沈降速度など
  • 貧血の有無→ヘモグロビン値や赤血球数など
  • 栄養状態→総タンパク、アルブミン、総コレステロール値など
  • 薬剤の副作用→肝機能・腎機能・膵酵素など

内視鏡検査

内視鏡検査は、クローン病を診断する上で不可欠な検査で、消化管粘膜の炎症を直接確認することができ、炎症の程度や範囲がわかります。
クローン病では、内視鏡検査で、縦走潰瘍や敷石像と呼ばれる所見が見られます。

造影検査・CT検査・MRI検査

造影検査は以前から使われている方法で、肛門から造影剤と空気を注入してX線撮影を行う検査です。
炎症状態の確認や、病変がどこに起きているか、その範囲などを確認することができます。
大腸だけでなく小腸を含む消化管全体の状態を知る必要があり、内視鏡検査や造影検査に加えてCT検査やMRI検査を行う場合もあります。

クローン病の方が意識したい食事のポイント

症状が落ち着いている時は特に注意する必要はありませんが、症状が出ている時は以下のことを意識しましょう。

  • 脂質の多い食品を避ける
  • 食物繊維の多い食品を避ける
  • 刺激物を避ける

これらの食品はいずれも腸に負担をかけますので、低脂肪、低残渣、低刺激の食事を心がけましょう。
また、腸が細くなっている(狭窄)場合は、きのこやごぼう、こんにゃくなどの不溶性食物繊維を多く含む食品を食べると詰まってしまう可能性があるため注意が必要です。

クローン病の治療法

クローン病では、症状が落ち着いている状態(寛解期)を保つとともに、腸の合併症を起こさないようにすることが大切です。
腸の合併症は、腸が狭くなる「狭窄」や腸壁に穴が開く「穿孔」、腸に深い潰瘍ができて組織に穴が開く「瘻孔」などがあります。

治療は主に薬物療法、栄養療法、手術の3つです。

薬物療法

クローン病には以下の薬が多く使われます。

  • 5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤
  • ステロイド剤(プレドニゾロン、ブデソニドなど)
    →長期使用は副作用が心配となるため、症状の強い時期に絞って使われる。
  • 免疫調節薬(アザチオプリンなど)
    →再燃(症状が悪化すること)を防ぐために使われる

炎症が強い場合や、症状の悪化を繰り返す場合は生物学的製剤と呼ばれる注射薬が使われることもあります。

栄養療法

クローン病では、栄養を吸収する消化管に炎症が起こるため、腸に負担をかけずに栄養を摂る必要があります。
脂肪を含まず、たんぱく質が分解された状態で入っている特殊な栄養剤(成分栄養剤や消化態栄養剤など)を用いて栄養を摂取します。
狭窄や穿孔、瘻孔がある場合は腸を使うことが困難であるため、血管の太い中心静脈に点滴で直接栄養を入れる中心静脈栄養法が用いられることもあります。
補助的な治療として使われ、栄養療法のみで腸の炎症を抑えることはできません。

手術

腸に高度な狭窄、瘻孔、穿孔がある場合や、肛門周囲に症状が出ている痔瘻(膿が出る穴を伴う痔)がある場合は手術が必要になり、多くは病変が起こった部分を切除します。
クローン病は手術をした後に再び腸の病変が出現することもしばしばあるため、手術後も薬物治療、栄養療法を継続することが必要です。

クローン病は分かっていないことが多い病気

クローン病は長期にわたり付き合っていく病気であり、症状が悪化している時期(再燃期)と落ち着いている時期(寛解期)を繰り返すため、状態に合わせた治療が必要です。
症状がない時でも、栄養療法や薬物療法などの治療を継続していきましょう。

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参考文献
  • 日本消化器病学会 患者さんと ご家族のための 炎症性腸疾患(IBD) ガイド2023
  • 難治性炎症性腸管障害に関する調査研究(鈴木班) クローン病の皆さんへ 知っておきたい 治療に必要な基礎知識