閉経前後だけではない!?更年期障害の原因・症状・治療法について詳しくなろう

更年期障害

女性が悩むことが多いのが、更年期障害です。
症状の現れ方や時期、強さは人それぞれ異なるため、女性同士でも理解を得ることが難しいことがあります。

本記事では、更年期障害とは何か、更年期障害の原因・症状・治療法などについて解説します。

更年期障害とは

更年期障害は、女性の性生殖系の変化によって起こる病気です。
女性の体は、出産をするために女性器の準備を整え、小学校高学年あたりから月経が始まります。
年齢を重ね、女性器の機能が低下していき、月経が永久に停止した状態が「閉経」です。
12か月連続で月経が来ない状態となったときに、1年を振り返って閉経と判断されます。
更年期とは、閉経前5年間と閉経後5年間、合計10年の期間を指します。

主な原因は女性ホルモン(エストロゲン)の減少による自律神経の乱れ

女性器は出産するための機能だけでなく、出産をする準備のために卵巣から女性ホルモンを産出して体調を整えています。
年齢を重ねるとともに女性器の機能が低下して閉経に向かっていく中で、女性ホルモンの量が急激に減っていきます。
女性ホルモンの産出量が減ると、自律神経が乱れて様々な症状を引き起こします。

また、卵巣がんなどの理由で卵巣の摘出手術をした場合に、ホルモンを分泌する器官が突然なくなってしまうことで、更年期障害が起きることもあります。

更年期障害の症状

更年期障害の症状は、ホルモンバランスが崩れることが原因で、自律神経の失調から様々な不定愁訴が起こります。
更年期障害には診断基準はなく、更年期付近の年代の方に問診をして、以下のような症状が現れたときに、更年期障害を疑います。
更年期障害と断定できない理由は、ホルモンバランスとは別の原因でも起こりうる症状であるからです。
また、閉経に近いかどうかは、血液内のエストロゲン量で確認することができます。

症状の種類は、主に4つに分けられます。

  • 血管運動神経症状 ホットフラッシュ、手足の冷え、動悸など
  • 精神神経症状 イライラしやすい、憂うつ感、不眠、頭痛、めまいなど
  • 知覚神経症状 手足のしびれ、手足の感覚が鈍くなるなど
  • 運動器官への症状 疲労を感じやすくなる、肩こり、腰痛など

ここでは、更年期障害の症状の1つ「ホットフラッシュ」について、詳細を紹介していきます。

ホットフラッシュ

ホットフラッシュは更年期障害の代表的な症状です。
のぼせ、ほてり、発汗などが、主に上半身に起こります。
他人からみてもわかるくらいに、顔がのぼせたように赤くなってしまったり、多量の汗をかいてしまうようなことが、1日に何回も現れては消えることを繰り返します。
人前に出ることが恥ずかしいと悩まれる方が多くいます。

【年齢別】更年期障害の特徴

閉経を迎える時期は女性によって異なり、30代で閉経となる方もいれば、50代後半になっても月経が続く方もいます。
そのため、いつ更年期障害になるか、具体的な年齢を明言することはできません。
またライフステージによって、どのくらいストレスを受けているかということも、症状の強さに影響します。

20-30代(若年性更年期障害)

20-30代で、本来閉経ではない時期にも関わらず、思い当たる原因なく月経が3か月以上来ない場合「早発閉経」が疑われ、それとともに更年期障害が出てきます。
原因はほとんどの場合はわからないことが多く、採血によってゴナトロピンとエストロゲンの量をみて診断されます。
自然妊娠できる確率が低くなるため、妊娠の希望の有無によっては早急に治療に取り掛かることが必要です。

一方で、過度なストレスや無理なダイエットによってホルモンバランスが崩れ、自律神経失調症状が出ることがありますが、それだけでは若年性更年期障害ということにはなりません。

40-50代

日本人女性の閉経の平均年齢は50歳ごろといわれているため、多くの女性は40〜50代に更年期障害になりやすいです。
またこの年代は、仕事の状況が変わりやすい、子どもが巣立ってしまう、免疫機能がおちて病気にかかりやすくなる、など人生に大きく関わる環境の変化がおこりやすく、一度更年期障害がおさまっても、再度発症される方もいます。

60代以上

50代後半まで月経が続いている方は、60代になってから更年期障害となることがあります。
50代前半までに閉経した方でも、女性ホルモンが少ない状態に体が慣れるまで時間がかかり、60代まで続くケースもあります。

男性の更年期障害

男性にも更年期があるといわれています。
女性にとっての女性ホルモンの産生減少スピードと比べるとゆるやかではありますが、男性も年齢とともに男性ホルモンの産生が減少していきます。
それとともに起こる様々な症状・病態を、加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)といい、その中に男性更年期障害が含まれます。
具体的な症状は女性と変わらず、自律神経の不調が原因で現れるものです。

更年期障害の改善法

更年期に伴い、女性ホルモンの産生量が少ない状態に身体が慣れていく状態にしていく必要があります。
状態を改善するには、更年期障害を改善しようと考えるよりも、症状緩和をしていくことに目を向けていくことが重要です。

栄養バランスのとれた食事をする

栄養バランスのとれた食事をすることで、自律神経のバランスが崩れにくくなります。
女性ホルモンの産生量が減ると、肌にも栄養が取り込まれなくなり、シミ・シワができたり肌が荒れやすくなります。
しかし、栄養バランスのとれた食事を意識していくことによって、肌の悪化を軽減することにつながります。
更年期になりやすい、メタボリックシンドロームや糖尿病の予防にもなります。

睡眠の質を上げる

睡眠がとれなかったり眠りが浅いと、自律神経のバランスが乱れたり、ストレスが蓄積する要因となります。
不眠の改善のためにも、睡眠の質を上げることは大切です。
また、決まった時間に朝日を浴びることで、夜の一定の時間になると眠くなるサイクルをつくるキッカケになります。

更年期障害の治療法

更年期障害の治療は、徐々に産出量が減っていくホルモン量に体を合わせていくためのサポートをすることが目的となります。

薬物療法

女性ホルモンの低下によって起こる症状に対しては、ホルモン補充療法や漢方薬で体質を整える方法が用いられます。
また症状が重い場合は、自律神経調整薬や睡眠薬・向精神薬が適用されることがあります。

カウンセリング

更年期障害を悪化させる背景として、その人の状況に対する心的ストレスや性格が関わっているといわれています。
カウンセリングによって、ストレスに対する対処法を学んだり、自身の性格に対する物事の受け止め方を変容させていくことで、更年期障害の症状を緩和させるサポートとなります。
生活習慣を整えたり、薬物療法を使用するだけでなく、カウンセリングなどの周りのサポートを視野に入れてみるとよいでしょう。

更年期障害を疑う場合は診察を受けてみましょう

更年期障害とは何か、その原因・症状・治療法などについて解説してきました。
更年期障害と診断されて治療が開始された後も、症状には波があることが多く、治療をしていたとしても数年単位で付き合っていくことも珍しくありません。
処方された薬も、医師の指示通りに使用し、症状の改善がない場合には医師に相談をして、自身にあった薬を見つけることが大事です。

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処方された薬についてはオンラインで薬剤師から説明を受けられるため、ネット環境がある場所であれば、どこからでも処方薬について問い合わせることができます。
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参考文献
  • 公益社団法人 日本産婦人科学会「更年期障害」
  • 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ(厚生労働省監修)「更年期障害とは?」
  • 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ(厚生労働省監修)「ホットフラッシュ」
  • 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ(厚生労働省監修)「不眠」
  • 全国健康保険協会 「男性更年期障害」