アトピー性皮膚炎や気管支喘息の新しい治療法として、デュピクセント(一般名:デュピルマブ)を検討中の方も多いかもしれません。高い効果が期待できる一方で、副作用への不安はどうしても拭えないものです。
この記事では、デュピクセントで報告されている主な副作用の種類と、具体的な対処法を分かりやすくまとめました。副作用のリスクを正しく知ることで、安心して治療を続けるためのポイントがきっと見えてきます。デュピクセントの副作用は適切に対処できるものが多く、医師と相談しながら治療を継続できているケースがほとんどです。

デュピクセントで特に注意すべき副作用は?

デュピクセントは特定のタンパク質(IL-4とIL-13)の働きを抑えることで症状を改善しますが、その過程で特有の副作用が現れることがあります。
臨床試験やメーカーの調査において報告されている主な症状は、大きく分けて注射部位の反応と目の症状、そして皮膚の変化です。薬の作用機序と深く関わっているため、どのような症状が起こりやすいのかをあらかじめ把握しておきましょう。
参考:PMDA「デュピルマブ(遺伝子組換え)CTD 第二部-臨床概要 2.7.4」
参考:サノフィ株式会社「医薬品インタビューフォーム(デュピクセント)」
注射した部位の赤みや腫れ
デュピクセントを使用している中で、頻繁に報告される副作用が注射部位反応です。具体的には、針を刺した場所を中心に赤みが出たり、少し腫れたりする症状を指します。
薬剤が注入されたことによる局所的な反応であり、多くの場合は一過性のものです。初めて自己注射を行った際などは驚かれるかもしれませんが、通常は数日以内に自然と消えていくため過度に心配する必要はありません。
参考:PMDA「医薬品リスク管理計画書(デュピクセント皮下注)」
結膜炎による目のかゆみ
アトピー性皮膚炎の患者さまがデュピクセントを使用する際、注意が必要なのが結膜炎などの目の症状です。目のかゆみや充血、あるいは目にゴミが入ったような異物感を感じることがあります。
この副作用は喘息の治療でデュピクセントを使用する場合には比較的少ないのですが、アトピー性皮膚炎の患者さまでは一定の割合で発生することが確認されています。原因は完全には解明されていませんが、適切に対応すれば治療の継続は十分に可能です。
顔や首に現れる皮膚の赤み
治療を続けていく中で、顔や首の皮膚が部分的に赤くなる紅斑という症状が出ることがあります。もともとのアトピー症状が改善している場所であっても、デュピクセントの影響で新たな赤みが生じるケースが稀に見られます。
薬の成分による反応や、皮膚の常在菌のバランス変化などが要因として考えられています。もし首から上に新しい赤みが出た場合は、主治医に変化を正確に伝えましょう。
デュピクセントで結膜炎や注射部位反応が出た際の対処法

たとえ副作用の症状が現れたとしても、すぐに治療をあきらめなくても大丈夫です。大切なのは、それぞれの症状に合わせたセルフケアを知り、主治医と相談しながら進めていくことです。
ここでは、副作用の負担を軽くして、無理なく治療を続けるための具体的な対処法を紹介します。
保冷剤で注射部位を冷やす
注射した部位が赤く腫れたり、熱感を持ったりした場合(注射部位反応)には、患部を冷やすのがおすすめです。保冷剤を清潔なタオルやガーゼで包み、腫れている場所に優しく当てるようにしてください。数分から十分程度冷やすことで、血流による炎症の広がりを抑え不快感を軽減できます。
ただし、冷やしすぎは皮膚を痛める原因となるため、感覚がなくなるほど長時間当て続けないように注意しましょう。
我慢せず眼科を受診する
目の違和感やかゆみが出た場合は、皮膚科だけでなく眼科の診察を併せて受けてください。結膜炎が悪化すると角膜を傷つけてしまう恐れがあるため、早期に抗アレルギー点眼薬やステロイド点眼薬の使用が推奨されます。
デュピクセントを使用していることを眼科医に伝えれば、専門的な視点から症状に合わせた目薬を処方してもらえます。
自己判断で中断せず相談する
副作用が気になると「このまま続けて大丈夫だろうか」と不安になり、つい自分の判断で注射をお休みしたくなるかもしれません。ですが、急に治療を中断すると、もともとの症状がぶり返したり悪化したりする恐れがあります。
まずは電話などで主治医に今の状況を伝え、次の注射を予定通り行ってよいか相談してみてください。医師は副作用の様子をしっかりと見極めたうえで、治療を安全に続けるための方法を一緒に考えてくれます。
稀だが要注意「アナフィラキシーショック」について
デュピクセントは副作用が比較的少ない薬剤として知られていますが、ごく稀に「アナフィラキシーショック」と呼ばれる重篤な過敏症が現れる可能性があります。
アナフィラキシーとは、薬剤に対して体が過剰に反応し、急激に全身性の症状が出るアレルギー反応です。添付文書における発現頻度は0.1%未満と報告されており、実際に起こる確率は非常に低いですが、万が一発症した場合は命に関わることもあるため、どのような症状が出るのかを知っておきましょう。
全身の蕁麻疹や呼吸困難などの症状がでることがある
アナフィラキシーショックの特徴は、注射した部位だけでなく、全身に症状が現れる点です。もっとも分かりやすいサインとしては、全身に広がる蕁麻疹や、皮膚が真っ赤になるといった変化が挙げられます。
皮膚症状だけでなく、呼吸器や消化器に症状が出ることも少なくありません。「喉が詰まるような感じがして息がしにくい」「急激な吐き気におそわれる」といった症状は、アナフィラキシーの危険な兆候です。単なる体調不良だと自己判断せず、警戒が必要です。
投与直後の体調変化に気をつけること
アナフィラキシーショックは、投与後短時間で起こることがあるため、注射後は体調の変化に注意が必要です。ふらつき感、息苦しさ、心拍数の上昇、めまい、嘔気、嘔吐、皮膚のかゆみや赤み、関節痛、発熱などの症状が現れた場合は、速やかに医師に相談してください。
自己注射を行う場合、万が一の事態に備えて、できるだけご家族など誰かが近くにいる環境で打つことをおすすめします。
参考:PMDA「デュピクセント皮下注 医薬品リスク管理計画書」
症状が出た場合は迷わず救急車を呼ぶこと
もし注射後に息苦しさや意識の混濁、全身の激しい蕁麻疹などが現れた場合は、一刻を争う事態である可能性があります。この場合は「少し様子を見よう」と待つのではなく、迷わずに救急車を呼んでください。
救急要請の際は、「デュピクセントを注射した直後にアレルギー症状が出た」と明確に伝えることで、救急隊員や搬送先の医師が迅速に対応できます。アナフィラキシーは対応の早さが予後を大きく左右しますので、ためらわずに行動することが、ご自身の身を守ることにつながります。
デュピクセントの重篤な副作用を未然に防ぐポイント

発生頻度は非常に低いものの、デュピクセントでも重篤な副作用が起こる可能性はゼロではありません。万が一の事態を防ぐためには、日頃からの通院と正確な情報共有が不可欠です。
リスクを最小限に抑えるための基本的なルールを守ることで、安全性の高い治療を実現できます。
ポイント1:定期的に通院して診察を受ける
デュピクセントの治療を安全に進めるためには、定期的に医師の診察を受けることが大切です。診察では、自分では気づきにくい体調のわずかな変化も、医師が副作用の兆候としてしっかりと確認してくれます。
自己注射を始めている場合でも、決まったスケジュールで通院し、体調を伝えるようにしましょう。血液検査などのチェックを定期的に受けることで、全身の状態を見守りながら安心して治療を続けられます。
ポイント2:既往歴を事前に医師へ伝える
治療を開始する前に、これまでの病歴やアレルギーの経験を詳しく医師に共有しておきましょう。
特に過去に他の薬剤でアレルギー反応(アナフィラキシーなど)を起こしたことがある場合は、デュピクセントの使用にあたってより慎重な経過観察が必要となります。できる限り情報を共有しておくと、副作用が起きた際の迅速な対応や、未然のトラブル防止に繋がります。
ポイント3:異常を感じたら直ちに連絡する
もし、強い息苦しさや全身のじんましん、血圧の低下といったアナフィラキシーが疑われる症状が出たときは、すぐに医療機関へ連絡するか、救急受診をしてください。注射をしてから短時間のうちに起こる可能性のある重い反応ですが、デュピクセントではごくまれなケースとされています。
万が一、いつもと明らかに違う激しい体調不良を感じたときの連絡先をあらかじめ確認しておきましょう。
デュピクセント治療を安心して受ける心構え
副作用について知るほど不安が膨らむかもしれませんが、治療を少し広い視野で捉えてみましょう。大切なのは副作用を完全になくすことだけではなく、お薬の良い面と気になる面のバランスを考えながら、ご自身にとって心地よい毎日を保つことです。
治療で得られるメリットを優先して考える
デュピクセントの一番の良さは、これまでの治療でなかなか効果を実感できなかった方の毎日を、大きく変えてくれる可能性がある点にあります。激しいかゆみから解放されてぐっすり眠れるようになったり、喘息の発作がなくなったりするメリットは、対処できる副作用の心配よりも大きな価値を持つことがほとんどです。
たとえ多少の赤みや目のかゆみが出たとしても、もともとの症状がしっかり改善されているのであれば、副作用へのケアを取り入れながら治療を続けていく価値は十分にあります。
副作用の頻度と症状の程度を知っておく
漠然とした不安を和らげるためには、具体的な数字を知っておくことが役立ちます。例えば、副作用として挙げられる結膜炎の発生頻度は、アトピー性皮膚炎の患者さんで10〜20%程度です。
その多くは目薬で適切に対処できる範囲の症状であることが分かっています。リスクを客観的に捉えることで、必要以上に怖がることなく、落ち着いて日々の体調管理に取り組めるようになります。
参考:PMDA「デュピルマブ(遺伝子組換え)CTD 第二部-臨床概要 2.7.4」
治療は専門医と二人三脚で進めること
デュピクセントは比較的新しいお薬であるため、経験豊富な専門医のもとでの治療が推奨されます。たとえ副作用が出たとしても、先生はこれまでの多くの経験をもとに「よくある変化なのか、特別な対応が必要なのか」をしっかりと見極めて伝えてくれます。
不安な気持ちをそのまま医師に相談することで、お互いの信頼も深まり、より納得して治療を続けていけるようになるでしょう。
まとめ
この記事の要点をまとめます。
- デュピクセントの主な副作用は注射部位の反応や結膜炎であり、多くは適切に対処が可能
- 目の症状には眼科受診を、注射部位の腫れには冷却といったケアを組み合わせること
- 自己判断で治療を中断せず、定期的な通院を通じて主治医と密に連携することが安心への近道
副作用への対策を事前に知っておくことで、治療に対する不安は大きく軽減されます。医師のアドバイスに従い、効果を最大限に享受しながら、健やかな毎日を取り戻していきましょう。
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