災害時の薬で困らない!持病の薬や市販薬の準備リストと対応方法を解説 

災害時 薬

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近年、地震や豪雨など、いつどこで起こるかわからない災害のニュースに、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。食料や水の備蓄は意識していても、「薬」の準備は後回しになりがちです。

しかし、ライフラインが止まり、医療機関が機能しづらくなる災害時において、薬は命や健康を守るために不可欠なものです。 

この記事では、災害時に薬で困らないために、今からできる準備と、いざという時の具体的な対処法について詳しく解説します。 

災害時に「薬がない」を防ぐための事前準備 

災害時に「薬がない」を防ぐための事前準備 

災害は突然やってきます。普段から薬を備えておくことが、あなたと家族の健康を守る第一歩です。

ここでは、持病の薬から市販薬、そして情報の備えであるお薬手帳まで、具体的な準備のポイントを見ていきましょう。 

持病の薬:できれば7日分を目安に備蓄しよう 

高血圧や糖尿病、心臓病などの慢性疾患で日常的に薬を服用している方は、災害時でも薬を飲み続けなくてはなりません。災害発生直後は交通網の寸断や医療機関の被災により、いつも通りに診察を受けたり薬を受け取ったりすることが困難になります。

日本医師会などでは、最低でも3日分、できれば7日分の予備の薬を備蓄しておくことを推奨しています。災害からの復旧には時間がかかることも想定し、少し多めに準備しておくとさらに安心です。

かかりつけの医師や薬剤師に相談し、災害に備えて余分に処方してもらえるか確認してみましょう。 

重要な薬の例 理由
インスリン製剤 投与を中断すると命に関わる危険がある。
血圧を下げる薬 中断すると血圧が急上昇し、脳卒中などのリスクが高まる。
血液をサラサラにする薬 中断すると血栓ができやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まる。
てんかんの薬 突然中断すると、重篤な発作を引き起こす可能性がある。

参考:日本医師会「健康ぷらざNo.534 災害時のために、持病の薬を備えていますか?」 

市販薬:家庭で準備しておきたい薬リスト 

持病がない方でも、災害時の慣れない避難生活ではストレスや衛生環境の変化から体調を崩しやすくなります。

軽度のけがや体調不良に自分で対処できるよう、次のような市販薬を救急箱に揃えておきましょう。 

薬の種類 用途・具体例
解熱鎮痛薬 発熱、頭痛、生理痛など、さまざまな痛みに対応できる。
総合感冒薬 のどの痛み、鼻水、せきなど、かぜの諸症状を緩和する。
胃腸薬・整腸剤 ストレスによる胃痛や、衛生環境の変化による下痢・便秘に備えられる。
皮膚用薬 切り傷やすり傷のための消毒薬、化膿止めの軟膏、かゆみ止めなど。
衛生用品 絆創膏、ガーゼ、包帯、消毒用アルコール綿、マスク、体温計も必須。

薬を選ぶ際は、子どもから大人まで家族みんなが使えるものを選ぶと便利です。

錠剤だけでなく、水なしで飲めるタイプや貼り薬なども状況に応じて役立ちます。 

お薬手帳:命を守る最も重要な情報源 

災害時には、お薬手帳があなたの命を守る最も重要な情報源となります。かかりつけではない医師や薬剤師に診てもらう際、お薬手帳があれば、あなたが普段どんな薬を服用しているのか、アレルギーや副作用の経験はないか、といった重要な情報を正確に伝えられます。

最近ではスマートフォンのアプリで管理できる電子お薬手帳も普及していますが、停電時には使えない可能性も考慮し、必ず紙のお薬手帳も併せて携帯しましょう。

また、お薬手帳の表紙や個人情報欄には、緊急連絡先や主治医の氏名・電話番号を明記しておきましょう。これにより、意識がない場合や混乱している状況でも、適切な医療を受けられる可能性が高まります。 

薬の保管方法と管理のポイント 

薬を備蓄する際は、管理方法も重要です。​​薬には使用期限があるため、定期的に救急箱の中身を確認し、期限が近いものは新しいものと入れ替えましょう。

おすすめは「ローリングストック法」です。普段使う分とは別に備蓄用の薬を用意し、普段使っている薬がなくなったら備蓄用から使います。そして新しく薬をもらったら、それを備蓄に回すのです。

常に一定量の新しい薬を備蓄できるだけでなく、期限切れも防げます。保管場所は、直射日光や高温多湿を避け、非常用持ち出し袋など、いざという時にすぐに持ち出せる場所に入れておきましょう。 

災害発生!その時にどう行動するべきか 

災害発生!その時にどう行動するべきか 

実際に災害が発生した時、私たちはどのように行動すればよいのでしょうか。

パニックにならず、冷静に行動するためのポイントを解説します。 

まずは落ち着いて身の安全を確保すること 

何よりも大切なのは、あなた自身の命です。大きな揺れや緊急警報があった場合は、まず机の下に隠れるなどして、身の安全を第一に確保してください。薬を取りに戻ったために、津波や火災に巻き込まれてしまうという悲しい事例も報告されています。

薬や貴重品を持ち出すのは、揺れが収まるなどして、身の安全が確保されてからです。

​​万が一、薬を持ち出せなくても、後から支援を受ける方法はあります。決して無理はしないでください。 

薬を持ち出す際の優先順位と注意点 

安全が確認でき、避難が必要になった場合は、準備しておいた非常用持ち出し袋を持って避難します。その際、薬の優先順位を意識しましょう。特にインスリンや血圧の薬など、中断すると命に関わる持病の薬は最優先です。

次いで、お薬手帳も絶対に忘れないようにしてください。市販薬や衛生用品も大切ですが、まずは「命に関わる薬」と「情報」を確実に持ち出すことを考えましょう。 

避難所での薬の管理と相談先 

避難所での生活では、薬の管理にも注意が必要です。紛失しないよう、決められた場所に保管しましょう。慣れない環境での共同生活は、心身ともに大きなストレスとなります。

体調に変化を感じたり、薬について不安なことがあったりした場合は、我慢せずに避難所にいる医療スタッフ(医師、看護師、薬剤師など)に相談してください。彼らは被災者の健康を支える専門家です。ささいなことでも、気軽に声をかけましょう。 

もし薬がなくなってしまったら?入手方法と相談先 

もし薬がなくなってしまったら?入手方法と相談先 

万が一、薬を持ち出せなかったり、避難生活が長引いて手持ちの薬が尽きてしまったりした場合でも、諦めないでください。災害時には、被災者が医療を受けられるように特別な措置が取られます。 

処方箋がなくても薬を受け取れる「特例措置」がある 

大規模災害時には、医師の診察を受けるのが困難な状況を考慮し、処方箋がなくても薬局で薬を受け取れる特例が認められることがあります。

この時、お薬手帳があれば、あなたが服用していた薬を特定し、処方してもらう手続きが非常にスムーズに進みます。マイナンバーカードを健康保険証として利用登録している場合も、過去の薬剤情報が確認できるため、有効な手段となります。 

参考:令和6年能登半島地震の災害により被災された皆様へのお知らせ 

参考:厚生労働省「オンライン資格確認等システムの災害時医療情報閲覧機能」 

医療救護所や臨時で開かれる薬局を活用する 

災害時には避難所などに医療救護所が設置され、医師による診察や薬の処方を受けられます。

また、地域の薬剤師会などが中心となり、臨時の調剤所や「モバイルファーマシー(災害対策医薬品供給車両)」が出動することもあります。

自治体のウェブサイトや避難所の掲示などで、どこで医療支援が受けられるか、常に最新の情報を確認するようにしましょう。 

参考:日本薬剤師会「モバイルファーマシー運用指針」 

薬剤師や医療スタッフへ症状を正確に伝える 

お薬手帳がない場合でも、諦めないでください。薬の名前がわからなくても、「高血圧の薬で、朝に飲む白い錠剤です」「薬のシートに○○と書いてありました」といった断片的な情報でも、薬剤師が薬を特定する手がかりになります。

いつから、どのような症状で、どの病院にかかっていたかなど、できるだけ詳しく具体的に伝えることが、適切な治療につながります。 

まとめ 

災害時の薬の備えは特別なことではありません。日々の健康管理の延長線上にある、自分と家族を守るための大切な準備です。

この記事を参考に、まずは「できれば7日分の持病の薬」「基本的な市販薬」「お薬手帳」の3点を、非常用持ち出し袋に準備することから始めてみてください。

その小さな一歩が、いざという時の大きな安心につながります。