近年、スマートフォンやPCを利用して、薬剤師から薬の説明を受け、自宅などで薬を受け取れる「オンライン服薬指導」が普及しつつあります。
特に、仕事や育児で忙しい方、体調不良で外出が難しい方にとって、非常に便利なサービスです。
しかし、「病院で処方箋をもらったけど、この後どうすればいいの?」「オンラインって何だか難しそう」といった不安や疑問を感じる方も少なくありません。
この記事では、オンライン服薬指導の基本的な仕組みから、処方箋の取り扱い、具体的な利用手順、メリット・注意点までを分かりやすく解説します。
オンライン服薬指導とは?基本的な仕組みを解説
オンライン服薬指導の利用を検討するにあたり、まずは基本的な仕組みや対面指導との違いを理解しておきましょう。
そもそもオンライン服薬指導とは
オンライン服薬指導とは、スマートフォンやタブレット、パソコンなどのビデオ通話機能を使い、薬剤師から処方薬の説明(服薬指導)を受けることができるサービスです。
従来、薬を受け取るには必ず薬局へ行き、薬剤師と対面で話す必要がありましたが、法律の改正により、一定の条件下でオンラインでの対応が可能になりました。
指導後は、薬を自宅や指定の場所に配送してもらうことができます。これにより、患者は薬局へ足を運ぶことなく、処方薬の受け取りまでを完結できるようになりました。
対面での服薬指導との違い
対面での服薬指導とオンライン服薬指導の最も大きな違いは、薬局へ行く必要がない点です。
それぞれの特徴を比較してみましょう。
項目 | オンライン服薬指導 | 対面での服薬指導 |
場所 | 自宅、職場など自由 | 薬局の窓口 |
時間 | 薬局の営業時間内で予約した時間 | 薬局の営業時間内に直接訪問 |
薬の受け取り | 配送(自宅など)または薬局で受け取り | 薬局で直接受け取り |
処方箋の提出 | ・医療機関からFAX・メール ・または自身で郵送 ・電子処方箋の番号を提示 | 薬局の窓口で原本を直接提出 |
メリット | ・時間と場所の制約が少ない ・感染症リスク軽減 | すぐに薬を受け取れる |
デメリット | ・薬の到着まで時間がかかる場合がある ・送料等がかかることがある | ・待ち時間が発生する ・薬局まで行く手間がかかる |
オンライン服薬指導の処方箋はどうなる?2つのパターン
オンライン服薬指導を利用する際の処方箋の扱いは、主に2つのパターンに分けられます。
これは、対面診療かオンライン診療か、また電子処方箋に対応しているかによって異なります。
パターン1:医療機関から薬局へ処方箋が送付される場合
対面診療・オンライン診療を問わず、患者がオンライン服薬指導を希望した場合、医療機関から直接、患者が指定する薬局へ処方箋情報が送付されるケースです。具体的には、医療機関が処方箋の備考欄に「オンライン対応」と記載し、FAXやメールで薬局に送ります。
この場合、患者は処方箋の原本を直接受け取ることはありません。処方箋原本は後日、医療機関から薬局へ郵送されます。 患者は、医療機関での診察が終わった後、希望する薬局にオンライン服薬指導の予約を入れるだけで手続きを進められます。
パターン2:自分で処方箋を薬局へ送付する場合(電子処方箋含む)
もう一つのパターンは、患者自身が処方箋を薬局へ提出する場合です。
対面診療で紙の処方箋を受け取った場合は、オンライン服薬指導を受けたい薬局へ、その処方箋の原本を郵送または直接持参する必要があります。
また、近年導入が進んでいる「電子処方箋」を利用する方法もあります。電子処方箋とは、紙の処方箋を電子化したものです。医療機関で電子処方箋を発行してもらうと「引換番号」が渡されます。
患者はその引換番号を薬局に伝えることで、薬局側が処方箋情報にアクセスできる仕組みです。 この方法であれば、紙の処方箋を郵送する手間が省け、よりスムーズにオンライン服薬指導を利用できます。
初めてでも簡単!オンライン服薬指導の利用手順
オンライン服薬指導は、いくつかのステップを踏むだけで利用できます。
ここでは、一般的な流れを4つの手順に分けて解説します。

手順1:医療機関を受診し、オンライン服薬指導を希望する
まず、病院やクリニックで医師の診察を受けます。その際に「オンライン服薬指導を受けたい」という希望を伝え、対応可能かどうかを確認しましょう。
医療機関から薬局へ直接処方箋を送ってもらう場合は、利用したい薬局名(店舗名まで正確に)を伝える必要があります。
手順2:オンライン服薬指導の予約と処方箋の提出
次に、利用したい薬局にオンライン服薬指導の予約をします。多くの薬局では、公式アプリやウェブサイトから予約が可能です。 予約の際に、氏名や連絡先、希望日時などを入力します。
紙の処方箋を持っている場合は、予約した薬局へ原本を郵送します。薬局によっては、スマートフォンのカメラで撮影した処方箋画像を事前に送付することで、薬の準備を進めてくれる場合もあります。
手順3:ビデオ通話で薬剤師による服薬指導を受ける
予約した日時になると、薬局の薬剤師から連絡があり、ビデオ通話が開始されます。
スマートフォンの画面越しに、薬剤師が薬の種類や効果、飲み方、副作用などについて詳しく説明してくれます。気になることや不安な点があれば、この時に遠慮なく質問しましょう。
手順4:会計を済ませて薬を受け取る
服薬指導が終わったら、会計を済ませます。支払い方法は、クレジットカード決済や代金引換など、薬局によって異なります。
決済が完了すると、薬が自宅など指定した場所に配送されます。薬局によっては、コンビニなどでの受け取りを選択できる場合もあります。
オンライン服薬指導のメリットとは?
オンライン服薬指導には、患者にとって多くのメリットがあります。

薬局での待ち時間がなくなる
オンライン服薬指導の最大のメリットの一つは、薬局での待ち時間がなくなることです。
体調が悪い中、病院での診察を終えた後に薬局へ移動し、そこからさらに長時間待つのは大きな負担となります。特に、小さなお子様連れの方や、仕事の合間を縫って受診している方にとっては、待ち時間が大きなストレスになることも少なくありません。
オンライン服薬指導を利用すれば、事前に予約した時間にビデオ通話で指導を受けられるため、薬局で待つ必要が一切なくなります。診察から薬の受け取りまでがスムーズになり、時間の有効活用にも繋がります。
自宅など好きな場所で指導を受けられる
オンライン服薬指導は、インターネット環境とスマートフォンやパソコンがあれば、自宅やオフィスなど、ご自身の都合の良い場所で指導を受けられます。
薬局まで足を運ぶのが困難な、足腰の不自由な高齢者や、在宅医療を受けている患者にとっては、移動の負担がなくなるため非常に有用です。また、育児や介護で家を離れられない方、周囲の目が気になり相談しにくい内容がある方でも、プライバシーが保たれた空間で、リラックスして薬剤師に相談できます。
感染症のリスクを軽減できる
薬局の待合室では、他の患者と空間を共にすることで、インフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染症にかかるリスクが懸念されます。
特に、免疫力が低下している方や、基礎疾患をお持ちの方、小さな子どもにとっては、院内・局内感染は避けたい事態です。オンライン服薬指導は、自宅で指導を受けられるため、他の患者と接触する機会がなく、二次感染のリスクを大幅に軽減できるという大きなメリットがあります。薬剤師にとっても感染対策になるため、双方にとって安心な方法と言えます。
周囲を気にせず相談できる
薬局の窓口では、他の患者さんが近くにいたり、待合室から声が聞こえたりする可能性があります。特に、性感染症、排泄に関する悩み、精神疾患の薬など、デリケートな内容の相談は、対面では話しにくいと感じる人も少なくありません。
オンライン服薬指導であれば、自宅などプライバシーが確保された環境で、他人の目を気にせず薬剤師と話すことができます。また、慣れない場所での対面よりも、自宅など慣れた環境の方が、患者さんはリラックスして話せます。これにより、病状や服用中の薬に関する疑問、副作用の状況などをより正確に伝えることができ、薬剤師も適切なアドバイスをしやすくなります。
オンライン服薬指導の利用前に知っておきたい注意点
便利なオンライン服薬指導ですが、利用する前に知っておくべき点もあります。

すぐに薬を受け取れない場合がある
対面の薬局であれば、服薬指導後すぐに薬を受け取れますが、オンラインの場合は配送時間が必要です。地域によっては、薬が手元に届くまで1〜7日かかることもあります。緊急で薬が必要な場合には不向きな可能性があります。
配送料やシステム利用料がかかることがある
薬の代金や調剤料のほかに、薬の配送料や、オンライン服薬指導システムの利用料が別途かかる場合があります。費用については、利用する薬局に事前に確認しておくと安心です。
通信環境の準備が必要になる
オンライン服薬指導はビデオ通話で行うため、安定したインターネット環境と、カメラ・マイク付きのスマートフォンやPCが必要です。通信状況が悪いと、音声が途切れたり映像が乱れたりして、十分な指導が受けられない可能性があります。
オンラインでは対応できない薬もある
厚生労働省の指針により、オンライン診療の初診では、なりすましによる不正利用のリスクがある麻薬や向精神薬などの処方は原則として禁止されています。
また、注射薬など、薬剤師による対面での説明や手技の指導が必要な薬剤も、オンライン服薬指導の対象外となる場合があります。
オンライン服薬指導に関するよくある質問
ここでは、オンライン服薬指導について多くの人が疑問に思う点をQ&A形式で解説します。
費用はどのくらいかかりますか?
オンライン服薬指導を利用した場合、「服薬管理指導料」として59点(3割負担で約177円)が基本の料金となります(※2025年4月時点、原則3ヶ月以内に再度の処方がない場合)。
これに加えて、薬代、調剤料、そして薬局によっては配送料やシステム利用料が加わります。
引用:日本薬剤師会
家族が代理で受け取ることはできますか?
はい、可能です。服薬指導は患者本人またはその家族が受ける必要がありますが、薬の受け取り自体は、同居の家族などが代理で行うこともできます。
どの薬局でも対応していますか?
いいえ、すべての薬局がオンライン服薬指導に対応しているわけではありません。専用のシステムや体制を整えている薬局でのみ利用可能です。
利用したい薬局がオンライン服薬指導に対応しているかは、各薬局のウェブサイトで確認するか、直接問い合わせてみましょう。
オンライン薬局サービス「とどくすり」はとても便利!
とどくすりは、会員登録・送料無料で全国どこでもお届けいたします。病院の受診後は、スマホで処方箋を撮影、オンラインにて薬剤師からお薬の説明(服薬指導)を受けられます。
薬局での待ち時間はなく、ご自宅等お好きな場所で服薬指導(お薬の説明)を受けられるため、人目を気にしたり、重い荷物を持って薬局から帰る、というご負担もありません。 ぜひ一度、ご利用してみてくださいね。
まとめ
オンライン服薬指導は、処方箋の薬を受け取るための新しい選択肢です。処方箋の扱いや利用手順を正しく理解すれば、時間や場所にとらわれず、より便利で安全に薬を受け取ることができます。
本記事で紹介した流れや注意点を参考に、ご自身のライフスタイルに合った薬の受け取り方を選んでみてください。