大人になってから39〜40度以上の高熱が出ると、子供のとき以上に辛く感じる方も少なくないでしょう。
寒気や頭痛、体の痛みなどの症状も、高熱があるときには感じやすくなります。
本記事では、高熱の原因や解熱薬の服用以外に自宅でできること、市販薬の選び方や病院で処方される薬についてご紹介します。
特に持病のある方は、高熱時に慌てないために事前知識として備えておきましょう。
大人の39~40度以上の高熱の主な原因
大人が高熱を出す代表的な原因を、3つご紹介します。
1.感染症
高熱の原因で最も多いのは、ウイルスや細菌による感染症です。
代表的な疾患には、以下があります。
- インフルエンザ
→関節痛や全身倦怠感を伴う - 肺炎(マイコプラズマ、クラミジア、アデノウイルス、肺炎球菌など)
→咳や胸痛を伴う - 急性咽頭炎(アデノウイルス、EBウイルス、A群溶連菌など)
→のどの痛みや腫れ - 尿路感染症(腎盂腎炎、急性前立腺炎、精巣上体炎など)
→頻尿や排尿時の痛み
2.自己免疫疾患
自己免疫疾患である膠原病やリウマチも、高熱を引き起こす原因の一つです。
免疫システムが自分自身の細胞を誤って攻撃することで炎症が起こり、高熱に加えて関節痛や倦怠感などの症状があらわれます。
3.悪性腫瘍
がんや白血病などの悪性腫瘍では「腫瘍熱」と呼ばれる持続的な高熱が見られます。
これは、がん細胞が炎症性物質を作り出すことによるものです。
上記3つ以外にも、ストレス、薬の副作用、熱中症、ワクチン接種後の副反応なども高熱の原因として挙げられます。
病院を受診するかの判断基準
以下の場合は、すぐに医療機関を受診してください。
- 高熱が3日以上続く または急激に悪化
- 解熱剤が効かない
- 意識が朦朧としている
- 激しい頭痛や胸の痛み
- 呼吸困難がある
- 尿が半日以上出ていない
- 水分がとれない
- 全身倦怠感や特定の部位の痛み
特に、持病がある方は早めの受診が重要です。
大人の39~40度以上の高熱時に薬以外で対処できること
高熱時に薬以外で対処できることを、3つご紹介します。
水分補給
高熱が出ると水分や塩分が汗で失われ、脱水症状に陥りやすくなります。
尿の色が濃くなったり量が減ったりしたら、脱水のサインです。
こまめにスポーツドリンクや経口補水液などを飲んで、水分補給しましょう。
カフェインやアルコールは避けてください。
栄養補給
高熱時はエネルギーを多く消費するため、栄養補給が重要です。
おかゆ、うどん、スープ、ゼリーなどの消化の良いものを少しずつ食べて栄養を補給しましょう。
栄養は、体力の回復や免疫力の維持、病気の回復にも役立ちます。
ただし、食欲がない場合は無理せず、水分補給を優先してください。
体温調節
体調に合わせて適切に体温調節を行いましょう。
寒気を感じるときは、体温が上昇している発熱の初期段階です。
温かい服装や布団で体を温めましょう。
寒気がなくなり体温が上がりきったら、頭や鼠径部、脇など太い血管がある部位を冷却シートや氷枕で冷やしましょう。
ぬるめの温度(37〜38℃程度)のお風呂に短時間入浴するのも効果的です。
高熱におすすめの市販薬
大人の高熱時におすすめの市販薬を紹介します。
いずれの薬も用法用量を守って服用し、他の解熱鎮痛剤や風邪薬との併用は避けてください。
アセトアミノフェン(カロナールA/タイレノール)
インフルエンザのときにも安全に使える唯一の解熱鎮痛薬です。
胃への負担が比較的少ないため、空腹時にも服用できます。
ロキソプロフェン(ロキソニンS)・イブプロフェン(リングルアイビー)
アセトアミノフェンよりも強めの解熱鎮痛薬です。
アスピリン喘息の方やインフルエンザの可能性がある方には使えないため注意してください。
葛根湯
寒気を伴う発熱に効果がある漢方薬です。
発汗を促して、発熱や関節痛などの症状を和らげます。
高熱に病院で処方される薬
病院でよく処方される解熱鎮痛薬はアセトアミノフェン・ロキソプロフェン・イブプロフェンです。
それ以外にも発熱の原因に応じた治療薬が処方されます。
- 抗生物質(細菌感染症)
- 抗ウイルス薬(ウイルス感染症)
- ステロイド薬や免疫抑制剤(自己免疫疾患)
- 抗がん剤(悪性腫瘍)
特効薬がない多くのウイルス感染症では、解熱鎮痛剤での治療が中心です。
処方薬は医師の指示に従い、用法・用量を守って使用してください。
発熱へ適切に対応し早期受診を心がけよう
大人の40度近い高熱は、重篤な病気のサインかもしれません。
水分補給や栄養補給、体温管理などの自宅ケアを行い、状況に応じて早めに医療機関を受診してください。
参考文献
-
- MSDマニュアル家庭版「成人の発熱」
-
- MSDマニュアルプロフェッショナル版「発熱」
-
- 国立研究開発法人国立がん研究センター「発熱」