「QOLを上げる」とは?生活習慣病改善にもつながる日常生活の中でできるQOL向上4つのポイント

QOLという言葉があります。
「生活の質」とも言われており、医療や福祉の分野では注目されている言葉です。
しかしながら、人それぞれで生活の在り方が違うため、抽象的にとらえられる分野であり、一般的にはまだまだ浸透していません。
本記事では、QOLの概要、生活習慣病を持つ方がQOLを向上させるためのポイントを解説していきます。

QOL(生活の質)とは?

QOLは、世界保健機関(WHO)が定義した概念であり、「Quality of Life」の頭文字を取った言葉です。日本語では「生命の質」「生活の質」「人生の質」などと訳されます。
生活の質は、その人が生きてきた文化や価値観が考えの源となっていて、身体的な健康、心理的状態、社会や周りの環境と、将来の夢やそれに対する不安などが複雑に絡み合い、それを総じてどう捉えるかということを表す、主観的なものです。

QOLの評価基準

QOLはその人が「生活の質」をどう捉えるのかということなので、それを数値として表すことはできません。
そのためWHOは「WHO QOL100」という評価基準を設けましたが、質問項目が100項目と膨大であり、日本の文化と適合しない部分もあるため、厚生労働省は「EQ-5D」という日本版の評価基準を設けています。
これは「移動の程度」「身の回りの管理」「ふだんの活動」「痛み/不快感」「不安/ふさぎ込み」について、3段階で評価していくものです。

QOLを保つために必要なこと

人は人生の中で様々な病気にかかることがありますが、症状や治療の副作用などによって、病気にかかる前と同じ生活ができなくなることがあります。
生活が変化していく中でも、どうしたら自分らしく生きられるかを考えることでQOLを保てます。

生活習慣病とQOLの関係性

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生活習慣病とは、食事や運動・休養・喫煙・飲酒などの生活習慣が発症の原因となる病気の総称です。
特にがんや心臓病・脳卒中は生活習慣が要因となることもあり、日本人の死因の上位を占めています。

生活習慣病になることでQOLが下がりやすい

生活習慣病の定義は、はっきり定められておりませんが、「がん、循環器病、心臓病、脳卒中、糖尿病」などが位置付けられます。
いずれも年齢あるいは生活習慣の積み重ねによって発症し、症状が進んでいく慢性疾患で、生活習慣を見直すことで状況が改善することはあっても、治癒は困難な病気です。
そのため、一度何かしらの生活習慣病として診断され、内服薬が処方された場合にはその症状の改善を続けるために、概ねその処方薬は一生飲み続けるものとなります。

また、生活習慣病になると、病気の治療のために生活習慣の改善が求められます。
今まで当たり前にやれていたことが、病気によってできなくなることで、「自分らしさ」を失うことにもつながっていきます。
今までの生活や自分らしさの喪失感によって、QOL低下を引き起こしやすくなります。

日常生活でできるQOL向上のポイント

QOLと大きく関わる生活習慣病ですが、病気を持ちながらも日常生活を楽しく送るために、工夫をしていくことが大切です。
ここでは、QOLを向上できるポイントを解説していきます。

食事と栄養バランス

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生活習慣病の改善の一番のポイントは食事と栄養バランスです。
日常生活での栄養の偏りが原因になっていることが多いため、食事の改善が必要となります。

食事は1日3食を基本とし、主食・主菜・副菜をバランスよく摂りましょう。
油っぽい食事は避け、塩分は控えめにします。肉よりも魚を摂るように意識し、野菜を多めに摂るようにすることがポイントです。

しかし、改善に気が乗らない方もいらっしゃるでしょう。
なぜなら食事は、美味しい・楽しいといった充足感を得たり、あるいは家族や社会とコミュニケーションを取ったりする目的があり、精神的・社会的に自尊感情を得ることだからです。
当たり前にやってきていたことができなくなると感じながら渋々改善をした結果、精神的なQOLの低下を招くこともよくあります。
そのため習慣が変わっても、自尊感情を得られる工夫をしていくことが大切です。

適度な運動とストレス管理

運動することで様々な良い影響を受けられます。
消費カロリーよりも摂取カロリーが多い状態が続くと肥満になり、あらゆる生活習慣病を合併しやすくなりますので、運動をして消費カロリーを上げましょう。

さらに、運動をしないと筋肉量が落ち、転倒して打撲や骨折に至り、介護が必要な状態にまでなるとQOLが低下します。
そのため、定期的に運動をする習慣を身につけましょう。
コツは、毎日10分だけ運動時間を増やすことです。例えば、自転車で通勤したり1駅手前から歩いたり、家でテレビを見ながら筋トレやストレッチをしてみましょう。

また、過度なストレスはQOL低下につながります。
頭痛や肩こりなどの身体的な不調だけでなく、ストレスに対する回避行動として飲酒量や喫煙量や食事摂取量が増えることで、生活習慣病が悪化します。
ストレスそのものが高血圧や糖尿病を促進する原因になるともいわれています。
自分なりのストレス解消法を見つけることも大切です。

良好な睡眠習慣の維持

睡眠が不足すると、注意力が散漫になり、集中力がなくなることでストレスにもなります。
また、眠りが浅いと交感神経が高まり続けて高血圧になり、血糖値をコントロールするインスリンの働きが悪くなって糖尿病になりやすくなるといわれています。

このような状況を避けるためにも、良好な睡眠をとることが大切です。
睡眠の適正時間は個人によって異なるため、睡眠時間よりも「しっかり眠れたかどうか」という質を意識しましょう。
質の高い睡眠をとる方法は、入眠前にはスマートフォンは見ないこと、入眠3時間前から食事は摂らないこと、入眠2〜3時間前に入浴をすることなどが挙げられます。
入眠の少し前から徐々に副交感神経に切り替えてリラックスできる環境を整えることが大切です。

社会的なつながりと心の健康

QOL向上のためには、適度に社会的なつながりを作ることが大切です。
同じ生活習慣病を持つ人と交流することで、同じ悩みや解決方法を共有でき、前向きになれます。
ゴルフやテニスなどのスポーツを趣味にし、会社や近所のサークル活動に参加することで、ストレスの解消になります。

また、心の健康を保つこともQOL向上のためには必要です。
季節の変わり目や、就職・引っ越しなどのライフイベントもストレスとして、心のバランスを崩す要因になります。
栄養バランスの良い食事と十分な運動と良好な睡眠をとり、規則正しい生活をすることにより、ストレスに対する抵抗性を高め、心の健康を保ちましょう。

QOLの向上は生活習慣病を防ぐことにもつながる

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QOLの概念と、日常生活でのQOL向上のポイントについて紹介してきました。
生活習慣病とうまく付き合っていくためには、QOL向上のための生活習慣改善とともに、処方されたお薬を指導された通りに服薬することが大切です。

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参考文献
  • World Health Organaization「WHOQOL: Measuring Quality of Life」
  • 公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター「特定疾患患者の生活の質 (Quality of life,QOL)の向上に関する研究」
  • 厚生労働省「QOL評価の具体的方法等について」
  • 国立研究開発法人国立がん研究センター「クオリティ・オブ・ライフ」
  • 日本在宅医療連合学会「領域5:QOL(生命の質、生活の質、人生の質)の最善化」
  • 厚生労働省e-ヘルスネット「生活習慣病とは?」
  • 全国健康保険協会「さらば!生活習慣病」
  • 厚生労働省e-ヘルスネット「QOLと食事」
  • 厚生労働省スマート・ライフ・プロジェクト「栄養・食生活」
  • 全国健康保険協会「【運動】 今日から始めませんか?プラス10分の運動」
  • 全国健康保険協会「【ストレス】 あなたもストレスを抱え込んでいませんか?」
  • 厚生労働省e-ヘルスネット「QOLの維持・向上に大切な筋肉は?」
  • 全国健康保険協会「【睡眠】 眠りの質を高めよう!」
  • 全国健康保険協会「4月 春はメンタルの乱れに要注意!」