年末年始に薬局を利用したい場合は? 薬の受け取り方や処方箋期限を解説!

年末年始 薬局

目次

いざ年末年始の休みに突入してから「常備薬が足りない」「急に熱が出たけれど、どこの薬局も開いていない」といったトラブルに見舞われると、せっかくの休暇も不安な気持ちで過ごすことになってしまいます。

また、病院で処方箋をもらったものの、年末の慌ただしさで薬局に行きそびれてしまい、処方箋の期限が切れてしまったという失敗談も少なくありません。 

この記事では、年末年始における薬局の営業状況の調べ方や、意外と知られていない処方箋の有効期限のルールについて詳しく解説します。また、年末年始特有の「休日加算」による料金の違いや、薬を切らさないための事前対策についても紹介します。

正しい知識を持って準備を整え、安心して新しい年を迎えましょう。 

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年末年始の薬局の営業日程と休みの傾向 

年末年始に薬が必要になったとき、まず気になるのが「いつからいつまで休みなのか」という点です。多くの企業や官公庁が休みに入る時期に合わせて、薬局も休業することが一般的ですが、店舗の形態によって営業スケジュールは異なります。まずは全体的な傾向を把握しておきましょう。 

一般的な年末年始の休業期間は12月29日から1月3日まで 

多くの調剤薬局では、年末年始の休業期間を12月29日頃から1月3日頃までとしています。これは、近隣の病院やクリニックがこの期間に休診となることが多いため、それに合わせて薬局も休みを取るケースが多いためです。

特に個人経営の薬局や、クリニックの門前薬局(病院のすぐ近くにある薬局)は、医療機関の診療スケジュールに連動しています。そのため、かかりつけの病院が休みの場合は、その近くの薬局も閉まっている可能性が高いと考えて良いでしょう。

年明けは1月4日から通常営業に戻ることが多いですが、曜日配列によっては1月5日や6日から開始となる場合もあります。 

年末年始も営業している薬局には特徴がある 

一方で、年末年始も休まず営業している、あるいは休業期間が短い薬局も存在します。例えば、ドラッグストアに併設されている調剤薬局です。ドラッグストア自体が営業している場合、調剤コーナーも営業していることがありますが、店舗によっては「物販は営業しているが、調剤は休み」というケースもあるため確認が必要です。

また、地域の救急病院の周辺にある薬局や、年中無休を掲げているチェーン薬局の一部は、年末年始でも開いていることがあります。こうした薬局は、急患や慢性疾患の患者さんのために体制を整えていますが、営業時間が通常より短縮されていることも多いため注意が必要です。 

年末年始に営業している薬局の調べ方 

年末年始に営業している薬局の調べ方 

急に薬が必要になった場合、開いている薬局をどのように探せばよいのでしょうか。スマートフォンやPCを使って、効率的に営業中の薬局を見つける方法を紹介します。 

医療情報ネットや自治体のWebサイトで検索する 

厚生労働省が提供している「医療情報ネット(ナビイ)」などの公的検索システムを利用すると、全国の薬局情報を検索できます。休日や夜間に対応している薬局を条件指定して探すことも可能です。

また、各自治体や地域の薬剤師会のWebサイトでは、年末年始の当番薬局(休日当番薬局)のリストを公開していることがあります。「〇〇市 年末年始 薬局」のように、お住まいの地域名を含めて検索すると、地域の医師会や薬剤師会が発表している当番表が見つかることが多いです。 

参考:全国の病院・診療所・歯科診療所・助産所/薬局を検索|医療情報ネット|厚生労働省 

薬局検索アプリやポータルサイトを活用する 

民間の薬局検索ポータルサイトやアプリも非常に便利です。例えば「EPARKくすりの窓口」のサービスでは、現在地から近くの薬局を検索できたり、営業時間を一覧で確認できたりします。単に場所がわかるだけでなく、処方箋のネット予約機能がついている場合もあります。 

参考:【EPARKくすりの窓口】薬局・ドラッグストア検索&処方箋ネット受付 

店舗に直接電話するか店頭の掲示を確認する 

インターネット上の情報は、更新のタイミングによっては最新の年末年始営業情報が反映されていない場合があります。特にGoogleマップなどの営業時間は、店舗側が特別営業時間を設定していないと「営業中」と表示されていても実際は休みだった、ということが起こり得ます。そのため、Webサイトで「営業中」となっていても、行く前に必ず電話で確認することを強くおすすめします。「今日、処方箋の受付はしていますか?」と一本電話を入れるだけで確実性が増します。

また、近所の薬局であれば、12月に入ると店頭や入り口のドアに「年末年始のお知らせ」という貼り紙が掲示されます。散歩や買い物のついでに、かかりつけ薬局の休業期間を写真を撮ってメモしておくと良いでしょう。 

年末年始の処方箋の有効期限には注意が必要 

年末年始の処方箋の有効期限には注意が必要 

「病院には行けたけれど、薬局は混んでいたから年明けに行こう」と考えている方は要注意です。

処方箋には法律で定められた厳格な有効期限があり、年末年始だからといってその期限が延長されることはありません。 

参考:厚生労働省「処方箋の使用期間にご留意ください」 

処方箋の期限は発行日を含めて4日間と決まっている 

処方箋の有効期限は、発行日を含めて4日間です。これは「保険医療機関及び保険医療養担当規則」という規則で定められており、全国どこの病院・薬局でも共通のルールです。

例えば、12月28日に処方箋をもらった場合、その日を1日目としてカウントします。 

(例) 

処方箋発行日 有効期限(最終日) 備考
12月27日(土) 12月30日(火) 年内に受け取りが必要
12月28日(日) 12月31日(水) 多くの薬局が休みに入るため注意
12月29日(月) 1月1日(木・祝) 元日は営業店舗が極めて少ない
12月30日(火) 1月2日(金) 期限切れのリスクが高い

4日間というのは非常に短い期間です。「発行日を含める」という点を忘れがちなので、もらったその日か翌日には薬局に行くのが鉄則です。 

年末年始や祝日も有効期限のカウントに含まれる 

重要なポイントは、この「4日間」には土日・祝日・年末年始の休業日も含まれるということです。役所の手続きのように「土日はカウントしない」というルールはありません。したがって、もし年末の12月30日に病院で診察を受け、処方箋をもらった場合、有効期限は1月2日までとなります。

しかし、1月2日は多くの薬局がまだ正月休みです。この場合、1月4日の営業開始を待っていては期限切れとなってしまいます。年末に受診した際は、必ずその日のうちに、あるいは元日でも営業している薬局を探して薬を受け取る必要があります。 

有効期限が切れてしまった場合の対処法 

万が一、処方箋の有効期限が切れてしまった場合、その処方箋は無効となり、薬局で薬を受け取ることはできません。期限が切れた処方箋を薬局に持って行っても、薬剤師は調剤することを法律で禁じられています。

対処法としては、もう一度病院を受診し、処方箋を再発行してもらう必要があります。この際、以下の点に注意が必要です。 

  • 再受診の手間がかかる:病院に行って医師に事情を話し、再度処方箋を出してもらう必要があります。 
  • 費用は全額自己負担:処方箋の再発行にかかる診察料や処方箋料は、健康保険が適用されません(期限切れは患者側の都合とみなされるため)。そのため、通常よりも高額な医療費がかかってしまいます。 

このような事態を避けるためにも、年末年始の処方箋は受け取ったら即座に薬局へ提出するようにしましょう。 

年末年始は薬局の利用料金が高くなる可能性がある 

年末年始にタクシーや飲食店の料金が割増になることがあるように、薬局の利用料金にも特定の加算が発生する場合があります。これは「休日加算」や「夜間・休日等加算」と呼ばれる制度によるものです。 

参考:地方厚生局(東海北陸)「休日加算について」  

休日加算や夜間・休日等加算の仕組み 

薬局の調剤報酬(薬代や技術料)には、特定の時間帯や日に利用した場合に追加料金が発生する仕組みがあります。医療従事者の確保が難しい休日や夜間に体制を整えている薬局を評価するための制度です。主な加算には以下の種類があります。 

  • 休日加算:日曜・祝日、および年末年始(12月29日〜12月31日、1月2日〜1月3日)に、休日を休業日としている薬局が急病等やむを得ない理由で調剤を行った場合、または輪番制による休日当番薬局などの場合に加算されます。(常態として休日に営業している薬局の開局時間内に受診した場合は算定できない) 
  • 夜間・休日等加算:平日の夜間や土曜の午後など、薬局が定めた営業時間内であっても、特定の時間帯に利用した場合に加算されることがあります。 
  • 時間外加算:薬局が定めている営業時間「外」に、緊急で対応してもらった場合に加算されます(金額は高めです)。 

追加料金がかかる具体的な期間と時間帯 

一般的に、12月29日から1月3日の間は「休日」として扱われます。この期間に薬局が開局時間内に調剤を行った場合は「夜間・休日等加算」(40点=400円、3割負担で120円)が適用されます。

一方、開局時間外に急病等やむを得ない理由で調剤を受けた場合や輪番制の休日当番薬局の場合は「休日加算」(調剤技術料の140%加算)が適用され、数百円以上の負担増となる可能性があります。これは「不当な値上げ」ではなく、国が定めた正当なルールです。休日や深夜に救急医療を維持するためのコストとして理解しておきましょう。 

お薬代を抑えるためのポイント 

少しでもお薬代を抑えたい場合は、以下の行動を心がけると良いでしょう。 

  • 年内の平日中に受け取る:12月28日以前の、平日の診療時間内(特に19時前)に薬局に行くのが最も追加料金がかからない方法です。 
  • 時間外の利用を避ける:営業しているからといって深夜や早朝に行くと、深夜加算などがつく場合があります。 
  • お薬手帳を持参する:これは年末年始に限りませんが、お薬手帳を持参することで「薬剤服用歴管理指導料」という項目が安くなる場合があります(条件によります)。また、重複投与を防ぐ意味でも、年末年始の受診には必ずお薬手帳を持っていきましょう。 

年末年始に薬に困らないための事前準備と対策 

年末年始に薬に困らないための事前準備と対策 

ここまで、年末年始に営業している薬局の探し方やリスクについて解説してきましたが、最も重要なのは「年末年始に慌てて薬局を探さなくて済むように準備すること」です。 

手持ちの薬の残薬を確認し早めに受診する 

12月に入ったら、自宅にある常備薬や持病の定期薬の残数を必ず確認してください。「なんとなくまだある気がする」という感覚は危険です。実際に数えてみて、年明けの1月上旬まで持つかどうかをチェックしましょう。

もし足りないようであれば、12月中旬〜25日頃までにかかりつけ医を受診し、薬を処方してもらうのが理想的です。年末ギリギリになると病院も非常に混雑し、待ち時間が長くなるだけでなく、インフルエンザなどの感染症をもらってしまうリスクも高まります。 

長期処方やリフィル処方箋について相談する 

慢性疾患で状態が安定している場合は、医師に相談して長期処方(30日分や60日分など)をしてもらうことも一つの手段です。また、制度上利用可能であれば「リフィル処方箋」の発行を相談してみるのも良いでしょう。これは、1枚の処方箋で複数回(最大3回まで)薬局で薬を受け取れる仕組みです。

年末の混雑した病院に行かずとも、薬局だけで薬を受け取れる場合があります(ただし、2回目以降の受け取り期間には決まりがあるため、薬剤師と相談してスケジュールを確認してください)。 

市販薬(OTC医薬品)を常備しておく 

処方薬だけでなく、急な体調不良に備えて市販薬(OTC医薬品)を揃えておくことも大切です。年末年始は暴飲暴食による胃腸の不調や、寒さによる風邪の症状が出やすい時期です。 

  • 総合感冒薬(風邪薬) 
  • 解熱鎮痛剤 
  • 胃腸薬 
  • 整腸剤 
  • 絆創膏や消毒液 

上記を薬箱に用意しておくと、深夜に急に具合が悪くなっても、とりあえずの対処が可能になります。特に持病の薬との飲み合わせが気になる場合は、事前にかかりつけ薬剤師に「私が飲んでも大丈夫な市販の風邪薬はどれですか?」と相談して購入しておくと安心です。 

年末年始の薬局に関するよくある質問 

最後に、年末年始の薬局利用に関して、患者さんからよく寄せられる質問に回答します。 

急病で薬が必要なときはどうすればいい? 

夜間や休日に急激に体調が悪化し、市販薬では対応できない場合は、地域の休日夜間急患センターや当番医を受診してください。これらの施設では、その場で数日分の薬を処方してくれるか、隣接する当番薬局で薬を受け取ることができます。 

また、子供の急病で迷ったときは、小児救急電話相談(#8000)などに電話をしてアドバイスを求めるのも有効です。自己判断で我慢せず、必要な医療機関を適切に利用してください。 

参考:厚生労働省 子ども医療電話相談事業(#8000)について 

まとめ 

年末年始は多くの薬局が12月29日から1月3日まで休業に入るため、薬に関するトラブルを避けるには事前の対策が欠かせません。特に「処方箋の有効期限は祝日を含めて4日間」という期限切れのリスクや、休日加算等で「通常より料金が高くなる」点には十分な注意が必要です。 

最も確実な対策は、年内に余裕を持って受診し、十分な残薬を確保しておくことです。もしもの時に備えて、営業している薬局の検索方法や、急病時の相談先もあらかじめ確認しておきましょう。制度や仕組みを正しく理解し、早めの準備を心がけることで、不安のない穏やかな年末年始をお過ごしください。 

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