急な体調不良や仕事の都合で、処方箋をもらった本人自身が薬局に行けないこともあるでしょう。そんな時、「家族や友人に代理で薬を受け取ってもらっても良いのだろうか?」と不安に思う方もいるかもしれません。
この記事では、処方箋の薬を本人以外が受け取る際のルールや必要なもの、注意点を詳しく解説します。代理で薬局へ行く前にこの記事を確認すれば、きっとスムーズにお薬を受け取れるはずです。
処方箋の薬は本人以外でも受け取り可能?
まず最も気になる点として、処方箋の薬は本人以外でも受け取れるのでしょうか。結論からお伝えします。
結論:代理人でも問題なく受け取れる
はい、処方箋の薬は、本人以外のご家族や友人、介護者などの代理人でも受け取ることが可能です。
多くの薬局で代理人による受け取りが認められていますので、ご安心ください。ただし、代理で薬を受け取るには、いくつかの必要なものや注意点があります。
概要 | 対応可否 |
代理人による薬の受け取り | 可能 |
代理人による診察 | 不可(医師法により禁止) |
なぜ代理での受け取りが認められているのか
医療機関での診察は、医師が患者本人を直接診察することが医師法で定められています。 しかし、薬局での薬の受け渡しについては、患者本人の来局が困難なケースがあることを考慮されています。
例えば、以下のような状況です。
- 高熱や体調不良で動けない
- 高齢で一人での外出が難しい
- 仕事や育児が忙しく、薬局の営業時間内に行けない
- 感染症のため、外出を控える必要がある
このようなやむを得ない事情がある場合に、代理人が代わりに薬を受け取れるようになっています。
代理で処方箋の薬を受け取る前に確認すべきこと
代理で薬局へ向かう前に、必ず確認しておきたい2つの重要なポイントがあります。これらを怠ると、せっかく薬局へ行っても薬を受け取れない可能性があります。
処方箋の有効期限は発行日を含め4日以内
処方箋には有効期限があることをご存知でしょうか。この期限は、医療機関で発行された日を含めて4日以内です。 例えば、月曜日に発行された処方箋は、木曜日までに薬局に提出する必要があります。
この4日間には土日や祝日も含まれるため、連休前などは特に注意が必要です。万が一、有効期限を過ぎてしまうと、その処方箋は無効となり、医療機関で再発行してもらわなければなりません。
患者本人の情報を正確に把握しておく
代理人は、ただ薬を受け取るだけでなく、患者本人に代わって薬剤師からの質問に答え、説明を聞くという重要な役割も担います。そのため、以下の情報を事前に本人に確認し、正確に把握しておきましょう。
- 現在の症状: どのような症状で受診したのか
- アレルギー歴: 薬や食べ物のアレルギーの有無
- 副作用歴: これまでに薬で副作用が出た経験があるか
- 他に服用中の薬: サプリメントや市販薬を含め、他に飲んでいる薬
- 女性の場合: 妊娠・授乳の有無
- その他: 既往歴(これまでにかかった病気)や体質(胃が弱いなど)
初めて利用する薬局では、問診票の記入を求められることが多いため、これらの情報をメモしておくとスムーズです。
代理人が薬局へ持っていくものリスト

代理で薬局に行く際には、忘れ物がないように持ち物をしっかりチェックしましょう。必須のものと、持っていくとより安心なものがあります。
【必須】患者本人の処方箋原本
最も重要な持ち物が、処方箋の「原本」です。 事前に薬局へFAXやスマートフォンのアプリで処方箋の画像を送信していた場合でも、薬を受け取る際には必ず原本が必要になります。
コピーや写真では薬を受け取れないため、絶対に忘れないようにしましょう。
【必須】患者本人の健康保険証
患者本人の健康保険証も持参してください。 病院で提示したから薬局では不要だろう、と思うかもしれませんが、薬局でも保険資格の確認のために提示を求められることがあります。特に、初めて利用する薬局では必ず必要になります。
【持参推奨】患者本人のお薬手帳
お薬手帳は、安全な薬物治療のために非常に重要です。 これまでに処方された薬の履歴や、複数の医療機関から処方されている薬の飲み合わせなどを薬剤師が確認するために使用します。
副作用歴やアレルギー情報も記録されていることが多く、より安全にお薬を受け取るために、できる限り持参しましょう。
【該当者のみ】各種医療費受給者証
公費負担医療制度(例えば、子ども医療費助成や特定疾患医療など)を利用している場合は、該当する受給者証も忘れずに持参してください。
持ち物 | 必要度 | 備考 |
処方箋の原本 | ★★★(必須) | コピーや写真では不可。 |
患者本人の健康保険証 | ★★★(必須) | 初めての薬局では必ず提示を求められる。 |
患者本人のお薬手帳 | ★★☆(推奨) | 薬の飲み合わせチェックや副作用歴の確認に役立つ。 |
各種医療費受給者証 | ★☆☆(該当者のみ) | 公費負担医療を利用している場合のみ。 |
代理人の身分証明書・印鑑| | ☆☆☆(原則不要) | 基本的に不要だが、薬局によっては求められる可能性もゼロではない。 |
代理人の身分証明書は必要?
基本的に、代理人の身分証明書(運転免許証や健康保険証など)や印鑑は不要です。しかし、薬局の方針や、処方された薬の種類(特に管理が厳しい薬など)によっては、まれに提示を求められるケースも考えられます。不安な場合は、念のため持参しておくとより安心です。
代理人が薬局で注意すべき3つのポイント

薬局の窓口では、代理人として果たすべき役割があります。以下の3つのポイントを意識してください。
患者本人の症状や体調を正確に伝える
薬剤師は、薬を安全に使用してもらうために、患者の状態について質問をすることがあります。事前に確認した本人の症状や体調、アレルギー歴などを正確に伝えましょう。もし分からない質問をされた場合は、曖昧に答えず、その場で本人に電話で確認するなどの対応が求められます。
薬剤師からの服薬指導をしっかり聞く
薬剤師は、薬の正しい飲み方、使い方、効果、副作用、保管方法などについて説明します(服薬指導)。 この内容は非常に重要ですので、メモを取るなどして正確に聞き取り、帰宅後に必ず本人に伝えましょう。代理人が内容を正しく理解し、伝えられなければ、本人が薬を適切に使用できない可能性があります。
薬の内容や金額を確認する
薬を受け取る際には、処方された薬の種類や数量が正しいか、名前が間違っていないかを窓口で確認しましょう。また、会計の際に金額を確認し、領収書や調剤明細書を受け取ります。これらも本人に渡す大切な書類です。
本人が薬局に行けない場合の他の選択肢

代理を頼める人がいない、または代理人に負担をかけたくないという場合でも、解決策があります。近年では便利なサービスも登場しています。
オンライン服薬指導と薬の配送サービスを利用する
2020年から、パソコンやスマートフォンを利用した「オンライン服薬指導」が本格的に開始されました。これは、自宅にいながらビデオ通話で薬剤師の説明を受け、その後、薬を自宅まで配送してもらえるサービスです。
医療機関でのオンライン診療と組み合わせることで、一度も外出することなく診察から薬の受け取りまで完結できます。
薬剤師による訪問サービス(在宅医療)を相談する
寝たきりの方や、一人での通院が著しく困難な方のために、薬剤師が自宅を訪問してくれるサービスもあります。 これは「在宅患者訪問薬剤管理指導」と呼ばれる医療保険サービスで、医師の指示に基づいて行われます。
薬の管理や服薬状況の確認、飲み忘れを防ぐ工夫などをサポートしてもらえます。お困りの場合は、かかりつけの薬局やケアマネジャーに相談してみましょう。
「処方箋薬の代理受け取り」に関するよくある質問
最後に、代理での受け取りに関して多くの方が抱く疑問にお答えします。
委任状は必要ですか?
処方箋薬の代理受け取りに、原則として委任状は必要ありません。 処方箋の原本と保険証があれば、多くの場合は問題なく受け付けてもらえます。
処方箋の写真を撮って送るだけではダメですか?
処方箋の写真を事前に薬局へ送ることで、待ち時間を短縮するサービスは多くの薬局で導入されています。 これにより、薬局側は先に調剤準備を進めることができます。
しかし、これはあくまで「受付」であり、最終的に薬を受け取る際には、必ず処方箋の原本を提出する必要があります。
代理で受け取るのが難しい薬はありますか?
基本的にはどんな薬でも代理で受け取ることが可能です。ただし、睡眠薬や医療用麻薬など、特に厳重な管理が求められる向精神薬や麻薬などの場合は、薬剤師が患者本人との電話確認を求めるなど、より慎重な対応となることがあります。
まとめ:準備をすれば処方箋薬の代理受け取りは難しくない
処方箋の薬を本人以外が代理で受け取ることは、全く問題ありません。大切なのは、事前にしっかりと準備をしておくことです。
本記事で解説した「必要な持ち物」と「薬局での注意点」を再度確認し、スムーズな薬の受け取りに役立ててください。準備を万全にすることで、ご本人も代理の方も安心して医療サービスを受けることができます。
「とどくすり」ならご家族の登録もあらかじめ行ってスムーズに受け取り
毎回、ご家族の処方箋のために薬局へ行くのが大変だと感じている方には、おかぴファーマシーシステムが提供する「とどくすり」のようなオンラインサービスが便利です。スマートフォンの操作が難しいお子様やご高齢のご家族がいる場合、代理で登録を行い、支払いや配送先をまとめることができます。
このサービスでは、一度ご家族の情報を登録すれば、あらかじめ保険証の情報を登録しておくことができ、毎回家から持ち出す手間が省けます。さらに、自宅で患者さん本人と一緒に、薬剤師からオンラインで薬の説明を受けることも可能です。これにより、代理人だけでは伝えきれない細かなニュアンスも、患者さん本人が直接薬剤師と話せるため安心です。
詳しくは以下のよくあるご質問ページからご確認ください。