膀胱炎の症状・原因・治し方。再発防止のポイントも解説

「排尿のときに痛みがある」「おしっこが近い」「生理でもないのに血が混じる」
このような症状がある方は、膀胱炎を発症しているかもしれません。
すぐに治るだろうと放置していると、重症化するケースもあるため注意が必要です。

本記事では膀胱炎の特徴や原因、治し方などを紹介していきます。
誰でも発症する可能性のある膀胱炎ですが、とくに女性はかかりやすく、1度でも発症したことがある方は、万が一のために基本的な知識を知っておきましょう。

膀胱炎とは

膀胱炎は、大腸菌などの細菌が尿道から侵入して膀胱に炎症を起こす感染症の1つです。
排尿時の痛みや灼熱感、頻尿、残尿感などの症状がよく見られます。
自覚症状が軽くて膀胱炎を発症していることに気づけなくても、尿の色やにおいの変化で体調の異変を感じることがあります。

排尿痛は、排尿の終わりごろに恥骨の上あたりや尿道の入り口に沁みるような痛みが走ります。また、尿を出し切るときに膀胱が縮まることで痛みが生じます。

長時間おしっこを我慢していると、膀胱に溜まっている尿の中で細菌が増殖して色やにおいが変化することもあります。
炎症により白血球や膀胱の粘膜が混ざって尿が白く濁ったり、細菌に尿素が分解されることでアンモニア臭が強くなったりします。

膀胱炎では基本的に発熱することはありませんが、腎臓にも炎症が広がっていくと発熱や重症化するリスクが高くなるため注意が必要です。
内科や婦人科などでも膀胱炎の治療はできますが、一般的な治療薬を飲んでも治らないような場合には、泌尿器科で専門的な治療や検査を受けるよう勧められることがあります。
1日に何度も尿意を感じる頻尿や、排尿直後の残尿感でなかなかトイレから出られない、夜間頻尿による睡眠不足などがあれば早めに泌尿器科を受診しましょう。

膀胱炎の原因や再発する理由

膀胱炎は誰でもなる可能性がありますが、男性と比べて女性は尿道が短く、膣や肛門が近い位置にあることから膀胱炎を発症しやすいことが分かっています。

とくに膀胱炎を繰り返す女性は、性行為によって大腸菌が膣内で繁殖して膀胱炎を引き起こしていることも少なくありません。
通常であれば、膣内は善玉菌が多く大腸菌が増えることはありませんが、生理中や閉経後は膣内の善玉菌が減少して大腸菌などが繁殖しやすい環境になっています。

また、冷えや疲労、ストレスなどで免疫力が低下すると風邪をひきやすくなりますが、細菌への抵抗性も同じように低下しています。
体調がすぐれないときに雑菌が多いプールに入ると膀胱炎の発症につながることもあります。
強い紫外線を長時間浴びる夏はとくに疲れやすく、免疫力を低下させないようこまめな休憩が大切です。

膀胱炎で血尿が出ると、尿がピンク～ワイン色になることがあります。
血が出ていると重大な病気ではないかと驚いてしまいますが、危険なのは腰や背中まで痛みがあるときや高熱、倦怠感などの全身症状がある場合です。
腰痛や背部痛、発熱があるときは腎臓まで炎症が進行している可能性があるため、救急外来を受診しましょう。

膀胱炎への対処

普段の生活で膀胱炎を起こさないためには、排尿を長時間我慢しないことです。
また、体が冷えると骨盤周囲の血流が滞って膀胱などの排尿に関する機能が低下するため、頻尿や残尿感など膀胱炎に似たような症状が生じやすくなります。

冷え性の方は免疫力維持のためにも、ウォーキングやストレッチなどの軽い運動で日頃から血流を良くしておくことも重要です。
室内でできる軽い運動でも、ストレス発散や気分転換になり免疫力向上につながります。
お風呂にゆっくり浸かって体を温め、ベッドに入るまで腰回りや足元を冷やさないように腹巻きや靴下でしっかり保温しましょう。
夏場でも冷房の効きすぎには注意し、下半身を冷やさない工夫が必要です。

膀胱炎は1度発症すると繰り返されることが多く、日常生活での対策が欠かせません。
水分を多めに摂って排尿で細菌を追い出すようにしますが、寒い時期は体を冷やさないようにホットドリンクを選びましょう。
ただし、コーヒーやアルコールは膀胱を刺激して症状を悪化させてしまうことがあるため、ショウガやシナモンなど体を温める成分の入ったドリンクなどがおすすめです。

膀胱炎を年に数回繰り返す女性には、殺精子剤の使用を避けることや性交後に早めに排尿することも試してみるとよいでしょう。
他にも、生理中はこまめにナプキンを交換するなどして、デリケートゾーンを清潔に保つようにしましょう。

膀胱炎の治療法

女性であれば、通常は抗生物質を3日、長引いても7～10日服用すれば膀胱炎の症状はおさまることがほとんどです。男性は前立腺炎を併発している場合も多く、数週間の服用を要します。

市販薬で治したい方は、主に生薬が配合されている、フラボキサート塩酸塩や五淋散（ごりんさん）、八味地黄丸（はちみじおうがん）などが基本となります。
ただし、利尿作用や細菌の増殖を防ぐ作用はありますが、肝心の抗生物質は配合されていません。
また、フラボキサート塩酸塩は、前立腺への副作用から男性には使用できない成分です。
市販薬を購入するときには配合されている成分が分からないこともあるため、薬剤師に相談してから購入するようにしましょう。

市販薬で症状が改善されたとしても、膀胱炎が根本的に完治できたわけではありません。
今後悪化したり再発したりする可能性があるため、症状が落ち着いているうちに泌尿器科を受診して治療をすることをオススメします。

病院で処方される膀胱炎の薬は、ニューキノロン系のレボフロキサシンやセフェム系の抗生物質です。
排尿痛がひどい場合には、数日分の痛み止めを処方してもらえるでしょう。
今は薬剤への耐性菌が増えており完治できていない可能性もあるため、膀胱炎がしっかりと治ったかどうかのチェックを受けます。
再発や重症化させないためにも、早めに泌尿器科を受診しましょう。

膀胱炎の症状がある場合は我慢をせずに早めに受診しましょう

膀胱炎は誰にでも起こりうる病気ですが、特に女性に多い感染症です。
日頃の生活で対策ができますが、もし症状が気になる場合には泌尿器科へ相談しましょう。放置したり自力で治そうとしたりすると再発や悪化の恐れがあります。
もし、発熱や腰痛があらわれたときには救急外来を受診しましょう。

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