夜尿症はいわゆる「おねしょ」で、一般的には成長とともに解消されていき、就学前にはしなくなっていることがほとんどです。
しかし、小学生や中学生、高校生になっても夜尿が続くこともあり、大人でも悩んでいる人もいます。
本記事では、夜尿症の年齢別の原因と対策、子供と大人の夜尿症の違いなどをご紹介します。
何かの病気ではないかと心配になっている方も、まずは対策から取り組んでみましょう。
夜尿症の特徴
夜尿症についてはさまざまな定義がありますが、夜尿症診療ガイドラインでは、5歳以上で就寝中に断続的な尿漏れが1か月に1回以上、最低3か月以上続いている場合をいいます。
1週間に4回以上を頻回、3回以下を非頻回とし、昼間の尿失禁やほかの下部尿路症状の合併については考慮しません。
夜尿症の主な原因は「睡眠中は尿意で覚醒しにくいこと」や「睡眠中に膀胱容量の減少が起こること」「夜間に生成される尿が多いこと」の3つです。
たとえば、夜間に生成される尿が多くても尿意で覚醒できれば夜尿は起こりにくいため、原因が1つもしくは複数が影響しあって夜尿を引き起こします。
また、発達の遅れや遺伝的素因、膀胱や尿の生成に影響する疾患などもあります。
年齢別・夜尿症の原因と対策
多くの場合、成長により自然と夜尿は減っていきますが、小学生・中学生になって対策をしても治らなければ治療対象です。
夜尿が続くとコンプレックスになりやすいため、早く解消するためにも泌尿器科へ相談しましょう。
ここからは、夜尿症の原因と対策について年齢別にご紹介します。
小学生・中学生
小学生以降に夜尿が続いても、本人の性格や親のしつけが原因ではありません。
親が焦って叱ったり無理やり起こしたりすると逆効果になりやすく、精神的な負担から子供の自尊心が低下してしまいます。
まず、取り組みやすい対策としては寝る3時間前から水分を控えることです。食事の水分量や塩分量も考慮し、寝ている間につくられる尿量を減らします。
果物やカフェイン入りのドリンクは、利尿作用があるため夕食後の摂取は避けましょう。
また、体が冷えると尿量が増えてしまいます。寝具や寝室の環境を整えて、寝冷えを防いであげることも大切です。
生活習慣を見直しても夜尿回数が半減しない場合には、6歳以上であれば「デスモプレシン」や「抗コリン薬」など、薬物療法も選択できます。
デスモプレシンは寝ている間の尿の生成量を減らしてくれる夜尿症の第1選択薬です。内服薬と点鼻薬から選べ、膀胱容量を増やす抗コリン薬や、アラーム療法と併用することもあります。
高校生
生活面では、寝る前の水分量を減らして同じ時間に就寝するなどの対策があります。それでも高校生で夜尿が続く場合は、覚醒機能や排尿機能、ホルモンの分泌などが原因であることが多いです。
医療機関を受診して薬物療法などの治療を取り入れて、少しでも早く解消されるようにしてあげましょう。
薬物療法については、小・中学生と同じです。どの薬が効果的かは個人差がありますが、バソプレシン単独で効果が不十分な場合は、抗コリン薬やアラーム療法と併用します。
夜尿は、本人がやめたくてもやめられないことがほとんどです。親も洗濯など大変なことはありますが、できるだけ責めないように温かい言葉をかけてあげましょう。
大人(成人)

まれに大人になっても夜尿症に悩まされることがあります。
大人の場合、原因は加齢による筋肉の衰えや自律神経の乱れ、睡眠障害などが挙げられます。
また、前立腺肥大や過活動膀胱、脊柱管狭窄症などの病気が夜尿を引き起こしている可能性もあります。
大人の夜尿症対策は、骨盤底筋群の筋トレや生活リズムを整えることで排尿コントロールを高める方法が主流です。
ほかにもアルコールを控えるなどの対策をしても解消されないときは、病気が起因している場合があります。泌尿器科へ相談して必要な検査を受けましょう。
夜尿症のアラーム療法について
アラーム療法は、下着のセンサーが尿漏れを察知するとアラームが鳴って、本人におねしょのタイミングを認識してもらう方法です。
続けることで夜間尿の蓄積量が増大して、夜尿の回数減少や夜尿のタイミングが朝へと移行する効果が望めます。
アラーム療法は薬物療法のような即効性は期待できませんが、生活習慣の改善や薬物療法より有効です。3か月続けると半数以上に夜尿回数の半減効果が認められ、半年で7割以上に効果があるとされています。
ただし、アラームが鳴っても子供が起きない場合には親が起こしてあげる必要があり、即効性がないためドロップアウトする人も少なくありません。
治療を続けるためには、本人の治したいという強い意志が大切です。
夜尿症は生活習慣改善と早めの受診が重要
5歳以降に夜尿症が治らない場合には、まず治療が必要な回数かどうかをチェックしましょう。
子供の夜尿症は体の機能が未発達なことが主な原因ですが、大人であれば病気の可能性も考えられます。
生活習慣の改善で解消されないときには、泌尿器科に相談して薬物療法やアラーム療法なども検討しましょう。
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参考文献
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- 日本夜尿症学会「夜尿症診療ガイドライン2021」
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- 日本小児泌尿器科学会「夜尿症 | 小児泌尿器科の主な疾患 」