いんきんたむし(股部白癬)とぜにたむし(体部白癬)の原因は?似た症状についても解説

いんきんたむし ぜにたむし

いんきんたむし(股部白癬)とぜにたむし(体部白癬)は、股部や体に発症する水虫のことです。
湿疹と症状が似ているため、間違われることも少なくありません。

本記事では、「いんきんたむし」「ぜにたむし」の特徴、予防法や治療方法についてご紹介します。

いんきんたむし(股部白癬)の特徴

いんきんたむし(股部白癬)は、カビ(真菌)の1つである白癬菌が陰部・お尻・太ももの付け根などに感染して発症します。
足の水虫を放置したり、家族の水虫がうつることが主な原因です。
赤い発疹が円形~楕円形の輪を描くように広がり、輪の内側は何も問題がないように見えますが、非常に強いかゆみを伴うのが特徴です。
いんきんたむしの診断は、患部の皮膚の一部を取り、顕微鏡を用いて白癬菌がいるかどうかを観察して判定します。

うつる可能性はある?

いんきんたむし(股部白癬)は、感染している人とタオルやバスマットを共用することで、うつる可能性があります。
感染を防ぐためにも他人とタオルなどを使いまわすことは避けて、別のものを使用しましょう。

湿疹との違い・見分け方

陰部湿疹や陰嚢湿疹は、皮膚の赤みや強いかゆみがあり、汗による蒸れ・かぶれ・乾燥肌などが原因で起こります。
見た目の症状で、いんきんたむし(股部白癬)と区別するのは難しいです。
確定診断には、医療機関で皮膚の検査をする必要があります。

ぜにたむし(体部白癬)の特徴

ぜにたむし(体部白癬)は、カビ(真菌)の1つである白癬菌が股部以外の体・腕・足に感染して発症します。
主な感染経路は、犬や猫などの動物、格闘技などの体の接触が多いスポーツを通したものです。
いんきんたむしと同様に、赤い発疹が円形~楕円形の輪を描くように広がり、輪の内側は何も問題がないように見え、非常に強いかゆみを伴うのが特徴です。
ぜにたむしの診断も、患部の皮膚の一部を取り、顕微鏡を用いて白癬菌がいるかどうかを観察して判定します。

ぜにたむし(体部白癬)に似た症状

ぜにたむし(体部白癬)と似た症状が現れる病気には、接触性皮膚炎・脂漏性湿疹・乾癬があります。
接触性皮膚炎はかぶれのことで、赤く盛り上がった湿疹やかゆみの症状があります。
脂漏性湿疹の症状は、患部の赤み、黄色味を帯びた脂っぽいまたは乾燥したうろこ状のフケと、軽度のかゆみです。
乾癬の症状は、患部が円形〜楕円形に赤く盛り上がったようになり、表面には銀白色のフケが見られます。
症状によって治療方法が異なるため、自己判断は禁物です。
皮膚科で診断を受けるようにしましょう。

「いんきんたむし」や「ぜにたむし」の予防法

「いんきんたむし」や「ぜにたむし」の予防方法は、大きく3つあります。
皮膚を清潔に保つことで感染を広げないことが大切です。

1日1回入浴またはシャワー浴を行う

白癬菌は表面に付着しても、皮膚に入り込んで感染が成立するまでに、丸1日程度かかります。
そのため、白癬菌が皮膚に入り込む前に洗い流せば感染を防ぐことができます。
ただし、ゴシゴシと強く洗うと皮膚表面に傷が付き、かえって感染しやすくなるため注意が必要です。

タオルやバスマットを他人と共用しない

白癬菌(水虫)に感染している人が使ったタオルやバスマットには、菌がついていることが多く、共用するとうつる可能性が高くなります。
家族内で、白癬菌(水虫)の感染者がいる場合は、別々のタオルやバスマットを使用しましょう。

手足や爪の水虫があれば適切に治療する

「いんきんたむし」や「ぜにたむし」の患者は、手足や爪の水虫から感染するケースが多く見られます。
すでに手足や爪の水虫になっている場合は、他の部位に感染を広げないようにしっかり治療を行いましょう。

「いんきんたむし」や「ぜにたむし」の治療方法

「いんきんたむし」や「ぜにたむし」は、白癬菌が生育するのを抑える治療を行います。
処方薬と市販薬で、どのような薬があるか確認しましょう。
また、民間療法の効果についてもご紹介します。

処方薬による治療

「いんきんたむし」や「ぜにたむし」の基本治療は、外用の抗真菌薬です。
白癬菌に有効な抗真菌薬は、以下のようにいくつかの系統があります。

  • イミダゾール系
  • モルホリン系
  • アリルアミン系
  • ベンジルアミン系
  • チオカルバミン酸系

どの系統も「いんきんたむし」や「ぜにたむし」の治療に効果があります。
外用の抗真菌薬には軟膏やクリーム剤があり、皮膚の状態に応じて医師が適切な剤形を選択します。
外用薬を使用しても、改善が見られなかったり重症化したりするときは、抗真菌成分の内服薬を使用します。
内服に使用される抗真菌薬の成分は、イトラコナゾールまたはテルビナフィンです。
患者の既往症や服用中の薬に応じて、医師がいずれかの薬を選択します。

市販薬による治療

「いんきんたむし」や「ぜにたむし」であることが明らかであれば、市販薬で治療することもできます。
市販されている抗真菌薬は、外用薬のみです。
処方薬と異なり、市販薬には抗真菌成分の他に、かゆみ止め成分や殺菌成分、抗炎症成分などが配合されています。

「いんきんたむし」や「ぜにたむし」に使用される市販薬の代表的な抗真菌成分は以下のとおりです。

  • ラノコナゾール
  • テルビナフィン
  • ブテナフィン
  • ミコナゾール

市販の外用抗真菌薬には、クリーム剤・液剤・パウダー剤などがありますが、自分で剤形を選ぶ必要があります。

その他

抗真菌薬で治療する以外に、水虫の民間療法として酢やアロエ汁を塗る、ティートリー精油を使うなどがあります。
しかしこれらの民間療法は医学的な根拠が乏しく、効果が証明されているものではありません。
「いんきんたむし」や「ぜにたむし」を確実に治したい場合は、抗真菌成分の含まれた医薬品で治療しましょう。

「いんきんたむし」や「ぜにたむし」抗真菌薬での治療が基本

「いんきんたむし」や「ぜにたむし」は、赤い発疹と強いかゆみがあり、見た目の症状だけで他の皮膚疾患と区別するのは困難です。
皮膚の検査によって診断ができるため、医療機関の受診をおすすめします。
「いんきんたむし」や「ぜにたむし」は市販薬でも治療できますが、抗真菌成分以外に含まれている成分や剤形は自分で選ぶ必要があります。
皮膚の状態に適した薬を使用したい場合は、医療機関から処方される薬を使用しましょう。

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参考文献
  • MSDマニュアル プロフェッショナル版「股部白癬(いんきんたむし)」
  • MSDマニュアル プロフェッショナル版「体部白癬(ぜにたむし)」
  • 公益社団法人日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「白癬(水虫・たむしなど) 」
  • 日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドライン2019