アトピー性皮膚炎は、かゆみや赤み、乾燥などの症状を繰り返しやすく、「どの薬を使えばよいのか分からない」と悩む方も少なくありません。
アトピー性皮膚炎の治療では、症状の重さや部位、年齢、生活環境に応じて、外用薬・内服薬・注射薬を適切に使い分けることが重要です。
この記事では、アトピー性皮膚炎の治療薬に期待できる効果や症状別の薬の選び方、市販薬と処方薬の違いまでを分かりやすく解説します。
「市販薬でどこまでよくなるのか」「受診すべきタイミングはいつか」と迷っている方も、ぜひ参考にしていただけますと幸いです。
アトピー性皮膚炎の治療薬に期待できる効果
アトピー性皮膚炎の治療薬は、皮膚の炎症を抑え、かゆみを軽減し、皮膚のバリア機能を回復させることで、患者さんの生活の質を改善します。
具体的に期待できる効果
- 皮膚のバリア機能を補修・強化し、乾燥しにくい状態を保つ
- 抗炎症作用により、赤みやかゆみを抑制
- 症状の再燃を防ぎ、生活の質(QOL)の向上が期待できる
参考文献
アトピー性皮膚炎の治療では、症状の重さや部位、年齢、生活環境などに応じて治療薬を使い分けることが重要です。外用薬・内服薬・注射薬などを適切に組み合わせ、医師の指示のもとで継続的に治療を行うことで、より安定した症状コントロールにつながります。

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アトピー性皮膚炎で使われる薬の種類一覧
アトピー性皮膚炎の薬は以下の3つに大別されます。ここでは、3種類の薬の特徴を紹介します。
- 外用薬(塗り薬)
- 内服薬(飲み薬)
- 注射薬(生物学的製剤など)
外用薬(塗り薬)
外用薬には、皮膚の炎症を局所的に抑える非ステロイド・ステロイド外用薬と、肌バリア強化のための保湿・スキンケア薬(ヘパリン類似物質含有軟膏やワセリン)があります。
炎症抑制剤としてはステロイド外用薬が基本であり、症状の強弱や部位に応じてI〜Ⅴ群のランク(強さ)から選びます。
参考文献
内服薬(飲み薬)
内服薬は、外用薬だけではコントロールが難しい全身のかゆみや炎症に対して用いられる治療法です。症状の強さや経過に応じて処方され、外用療法と組み合わせて治療を行うのが一般的です。
内服薬には、抗ヒスタミン薬、免疫抑制薬、漢方薬などがあり、それぞれ作用の仕組みや役割が異なります。
参考文献
注射薬(生物学的製剤)
注射薬(生物学的製剤)は、中等症以上のアトピー性皮膚炎で、外用薬や内服薬による治療効果が十分に得られない場合に検討されます。デュピクセントやミチーガなどは、炎症やかゆみに関与する特定の物質の働きを抑えることで、皮膚症状の改善を目指す薬剤です。
とくにデュピクセントは、皮膚の炎症反応を調整しながらかゆみの軽減やバリア機能の回復をサポートする作用があり、症状の安定化を目的として継続使用されることがあります。
これらの薬剤はいずれも皮下投与で行われ、効果や安全性を確認しながら、医師の管理のもとで使用されます。
参考文献
【症状別】アトピー性皮膚炎の薬の4つの選び方

アトピー性皮膚炎の薬は、乾燥中心なのか、炎症が強いのか、じゅくじゅくしているのかで選び方が変わります。ここでは症状別に、どの薬が検討されやすいかの目安を4パターン紹介します。
1.乾燥や軽いかゆみを抑えたい方
皮膚のバリア機能が低下すると、乾燥や軽いかゆみが起こりやすくなります。この段階では、まず保湿ケアをしっかり行うことが治療の基本です。炎症が軽度であれば、非ステロイド外用薬で対応できる場合もあります。
症状が残る場合には、低〜中等度のステロイド外用薬を使用します。かゆみが気になるときは、抗ヒスタミン薬の内服によって症状のコントロールを図りましょう。
2.赤み・湿疹・強いかゆみがある方
赤みや湿疹がはっきりとみられ、かゆみによって掻き壊しが起こりやすい状態です。この段階では、炎症をしっかり抑える治療が重要になります。ステロイド外用薬は炎症を抑える効果が高く、皮疹の強さや部位に応じて適切なランクが選択されます。
たとえば、赤みが強い部位には比較的作用の強いものを、顔や陰部など皮膚が薄い部分には作用の穏やかなものを使い分けます。あわせて抗ヒスタミン薬を内服し、強いかゆみを抑えることで、掻破(そうは)による症状の悪化を防ぎます。
赤み・湿疹・強いかゆみを抑えたい際に、検討される薬は以下のとおりです。
- ステロイド外用薬(リンデロンVなど)
- 抗ヒスタミン薬(※かゆみが強い場合)
参考文献
3.かぶれやじゅくじゅく(浸出液)を抑えたい方
急に症状が悪化した場合やかぶれを伴っている場合には、炎症が強く、皮膚から浸出液が出やすい状態になります。この段階では、患部を清潔に保ちながら、皮膚を保護しつつ炎症を落ち着かせることが重要です。
じゅくじゅくした部位には、亜鉛華軟膏(酸化亜鉛軟膏)を用いて余分な水分を吸収し、浸出液を抑えることで皮膚の回復を促します。あわせて、ヘパリン類似物質やワセリンなどの保湿外用薬剤を使用し、皮膚のバリア機能を補いながら治癒をサポートします。
かぶれやじゅくじゅく(浸出液)を抑えたい際に、検討される薬は以下のとおりです。
- 非ステロイド外用薬(亜鉛華軟膏など)
- 保湿外用薬(ヒルドイドなどヘパリン類似物質、ワセリン)
4.症状を繰り返す・全身に広がる方
症状を何度も繰り返したり、全身に広がったりしている場合は、外用薬だけでは十分にコントロールできない中等症〜重症の状態が考えられます。この段階では、皮膚の治療に加えて、全身の免疫バランスを調整する治療が必要になることがあります。
外用薬と保湿ケアを継続しながら、内服薬による治療や注射治療を組み合わせて行うのが一般的です。具体的には、シクロスポリンなどの免疫抑制薬や、経口JAK阻害薬が選ばれます。
さらに、デュピクセントなどの生物学的製剤を皮下注射で使用し、慢性的な炎症反応を抑え、症状の安定化を目指します。いずれの場合も、外用薬と保湿を含むスキンケアを継続することが、治療効果を高めるうえで重要です。
症状を繰り返す・全身に広がる際に、検討される治療は以下のとおりです。
- 内服薬(シクロスポリンなど免疫抑制薬)
- 注射薬(デュピクセント等の生物学的製剤)
- 外用+保湿の継続
参考文献
※上記は、医師によって診察時に確認されることがある項目の一例です
受診前に、症状が強い時間帯や使ったケアをメモしておくと伝えやすくなります。
市販薬と処方薬の違い

アトピー性皮膚炎の治療に用いられる市販薬(OTC)と、医療機関で処方される薬には、成分の量や使い方の管理に違いがあります。
市販薬は比較的マイルドな処方で、複数の成分を組み合わせた製品が多く、軽い症状への対処を目的としています。一方で、症状の強さに応じた細かな調整は難しく、使用期間や塗り方を自己判断で続けると、副作用のリスクが高まることもあります。
処方薬は、医師・薬剤師の管理のもとで使用されるため、症状に合わせて成分の種類や強さを選択でき、より的確な治療が可能です。また、保険診療が適用されるため、結果的に市販薬より費用を抑えられるケースもあります。
市販薬を使う際のポイント
市販薬は、アトピー性皮膚炎の初期症状や軽い悪化時に、手軽に対処できる選択肢です。しかし、症状の程度や部位に合わない薬を選んだり、自己判断で使い続けたりすると、十分な効果が得られないだけでなく、症状の悪化につながることもあります。
ここでは、市販薬で対応できる症状の目安や処方薬が必要になる状態を解説します。
市販薬で対応できる症状の目安
市販薬は、乾燥による軽いかゆみや、限られた範囲の湿疹など、症状が比較的軽い場合に向いています。かゆみが主な症状であれば、短期間作用するステロイド外用薬を用いることで、炎症の悪化を防げることがあります。
じゅくじゅくしたかぶれがある場合には、亜鉛華軟膏を使って患部を保護し、浸出液を抑える方法がおすすめです。また、乾燥が目立つときは、保湿剤を十分に使用して皮膚のバリア機能を補うことが重要です。
ただし、市販薬は使用方法や期間を自己判断しやすいため、長期間の連用には注意しましょう。症状が広い範囲に及ぶ場合や、数日使用しても改善がみられない場合は、皮膚科の受診を検討することが必要です。
合わない薬を使い続けると、症状の悪化や治療の遅れにつながることもあるため、市販薬はあくまで一時的な対処と考え、迷ったときは専門医に相談することが大切です。
処方薬が必要になる症状・状態
市販薬を使っても1週間前後で症状の改善がみられない場合は、自己判断を続けず、早めに医療機関を受診することが大切です。
また、赤みや湿疹が広範囲に広がっている、じゅくじゅくが強い、強いかゆみで日常生活に支障が出ているといった場合は、処方薬による治療が必要となることがあります。
症状が落ち着いてもすぐに再発を繰り返すケースや、皮膚に化膿や感染が疑われる状態も、市販薬での対応は適していません。自己判断を続けると、症状の悪化や治療の長期化につながるおそれがあります。
医師による診断のもと、症状に応じたステロイド外用薬や免疫を調整する治療を受けることで、適切なコントロールが期待できます。
アトピー性皮膚炎に使える市販薬の選び方
市販の塗り薬を選ぶ際は、ステロイドの強さを意識しましょう。軽い赤みやかゆみが中心の場合には、比較的作用の穏やかなステロイド外用薬を選び、症状の改善に合わせて強さを段階的に下げていく方法が用いられることがあります。
じゅくじゅくとした浸出液がみられる部位には、亜鉛華軟膏が適しています。亜鉛華軟膏は、余分な水分を吸収して患部を乾燥させ、炎症が落ち着くのを助ける働きがあります。
また、塗り薬だけでは症状のコントロールが難しい場合には、漢方薬を補助的に併用するのもおすすめです。ただし、市販薬は症状に合わない使い方をすると改善が遅れることもあるため、効果を感じにくい場合や症状が続く場合は、医療機関で相談することが大切です。
【とどくすり薬局の薬剤師】がおすすめする市販薬4選
ここでは、とどくすり薬局の薬剤師がおすすめする市販外用薬を紹介します。各製品の特徴と、こんな方に向くかをまとめてみましたので参考にしていただけますと幸いです。
アトピー性皮膚炎の治療や対策について
次のような場合には、自己判断をやめて薬剤師や医師に相談しましょう。
市販薬は軽い症状に対して手軽に使える一方で、症状が改善しないまま使い続けると、治療の切り替えが遅れることがあります。また、アトピー性皮膚炎を繰り返す場合は、外用薬だけでの対処では十分でないこともあり、治療方針を見直す必要が出てきます。
さらに、ステロイド外用薬などの副作用や安全性に不安を感じたときや、皮膚が薄く薬の影響を受けやすい子ども・高齢者に使用する場合は、自己判断を避けることが大切です。
薬剤師や医師に相談することで、症状や年齢に応じた適切な使い方や、必要に応じた治療の選択肢について説明を受けられます。
アトピー性皮膚炎で悩みを抱えている方へ
アトピー性皮膚炎は、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返しやすく、「定期的な通院が負担」「薬が切れるたびに受診が必要」といった悩みを抱える方も少なくありません。
仕事や家事、育児で忙しい中、治療を継続すること自体がストレスになってしまうケースもあります。こうした悩みを抱える方にとって、オンライン薬局を活用した薬の受け取りは、治療を無理なく続けるための選択肢の一つです。ご自身の状況に合った治療の続け方を見つける参考にしてみてください。
アトピーの治療では、オンライン薬局を利用することで次のようなメリットがあります。
待ち時間や移動の負担なくお薬の説明(服薬指導)を受けられる
自宅にいながら、薬剤師からお薬の説明(服薬指導)を受けられるのがオンライン薬局のメリットです。スマホやPCを使って説明を聞けるため、調剤薬局で順番を待ったり、体調が悪い日に外出したりする負担を減らせます。
アトピー性皮膚炎は、かゆみや炎症が落ち着いたりぶり返したりを繰り返しやすく、治療を続けること自体がストレスになるケースも少なくありません。だからこそ、移動や待ち時間のハードルを下げて、必要なタイミングで相談できる環境があると継続しやすくなるでしょう。
参考文献
薬の受け取りまでをオンラインで完結できる
医師の診察で処方された薬を、受け取りまでオンラインで進められる点も、オンライン薬局を選ぶメリットです。アトピー性皮膚炎は、症状に応じて外用薬や内服薬などを使い分けながら治療を続けるケースもあり、自己判断ではなく医師の処方にもとづいて治療できます。
さらに、薬局に移動して待つ手間が減ることで、仕事や家事で時間が取りにくい方や、肌の状態が悪く外出がつらいタイミングでも治療を継続しやすくなります。受け取りのためだけに外出する必要がなくなるため、通院後の負担を減らしながら、必要な薬を確実に手元に用意しやすい方法といえるでしょう。
処方薬・市販薬の使い方を自宅から相談できる
処方薬を使っている方でも、日々のスキンケアや軽い症状のときに市販薬を併用したくなる場面はあります。ただ、アトピー性皮膚炎は肌状態が揺らぎやすく、自己判断で薬を増やしたり切り替えたりすると、かえって刺激になったり、症状が長引いたりすることもあります。
そのため、症状や治療状況に合わせて、市販薬と処方薬をどう使い分ければよいかを専門家に相談できる環境があると安心です。
なお、薬の使い方や治療について不安や疑問を感じたときは、私たち「とどくすり」でもご相談をお受けしています。会員登録(無料)をしていただくと、マイページから薬剤師へお薬に関する相談をいつでも無料で行うことが可能です。
症状や治療のことで悩みをひとりで抱え込まず、専門家のサポートを上手に活用してみてください。

本記事のまとめ
アトピー性皮膚炎の治療では、症状の強さや出ている部位に応じて、塗り薬と飲み薬を組み合わせることが基本となります。軽い症状であれば、保湿を中心に、作用の穏やかな外用薬で対応できる場合があります。
一方で、症状が強い場合や悪化を繰り返す場合には、より作用の強いステロイド外用薬や、内服薬・注射薬を併用する治療が必要です。治療や薬の選び方に不安がある場合は、薬剤師や医師に相談しながら進めることで、より安全で適切なケアにつながります。
とどくすりでは、診察後、処方せんの写真を送り薬剤師によるオンライン服薬指導を受けて、いつものお薬をご自宅までお届けします。とどくすり公式LINEから手軽に相談ができるので、通院後の薬局待ちや移動の手間を減らしたい方にも便利です。
参考文献
【ご注意】
本記事の内容は、厚生労働省および日本皮膚科学会が公表している資料・ガイドラインを参考に作成しております。
治療方針や症状には個人差がありますので、実際の診療や治療にあたっては、必ず医師・薬剤師へご相談ください。
