喘息には、主に「アトピー型喘息」と「非アトピー型喘息」の2種類のタイプがあります。
タイプを見極めることは、効果的な治療や対策、快適な生活を送るために欠かせません。
本記事では、喘息の種類や治療法、日常生活における対策についてご紹介します。
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喘息はアレルギー関与の有無で分類されている
喘息は、アレルギーが関与するかによって「アトピー型喘息」と「非アトピー型喘息」に分類されます。
アトピー型喘息の要因
- 花粉
- ハウスダスト(ダニ、カビ、雑菌)
- 動物の毛やフケ
非アトピー型喘息の要因
- 感染症(風邪・インフルエンザなど)
- 環境の変化(湿度や気温の急変)
- 喫煙・アルコール
- ストレス
- 運動
アトピー型喘息の特徴

アトピー型喘息は、アレルゲン接触後すぐに呼吸困難や咳き込み、喘鳴(ゼイゼイ音)が現れるのが特徴です。
特に子どもに多く見られ、遺伝的要因が強い傾向にあります。
検査方法
アトピー型喘息の診断では、以下の検査が行われます。
- 呼吸音の確認
- 血液検査:特異的IgE抗体や好酸球数の測定
- 呼吸機能検査:気道の狭さや呼吸能力を評価
- アレルゲン検査:皮膚テストや血液検査でアレルゲンを特定
非アトピー型喘息の特徴
非アトピー型喘息は、アレルゲンと無関係に発症し、慢性的な気道炎症が続くのが特徴です。
特に大人に多く、症状が重症化することがあります。
検査方法
非アトピー型喘息の診断には次の検査が用いられます。
- 呼吸音の確認
- 血液検査:IgE抗体が通常値であることを確認
- 呼吸機能検査:スパイロメトリー(肺活量や呼吸の流れで気道の狭窄度を確認)やピークフロー測定
- 問診:発作の要因(感染症、ストレス)を確認
その他の喘息
ここでは、「アトピー型」や「非アトピー型」以外に分類される喘息についてご紹介します。
咳喘息
咳喘息は、以下の特徴をもって診断されます。
- 咳が3~8週間以上続く
- 喘鳴(ゼイゼイ音)がない
- 8週間以内に上気道炎(風邪など)にかかっていない
- 過去に喘息の診断を受けていない
- 気管支拡張薬が有効
- 胸部レントゲンで異常がない
咳喘息の治療薬は、気道の炎症を抑える「吸入ステロイド薬」と呼吸を楽にする「気管支拡張薬」です。
要因として以下が挙げられます。
- ダニや花粉などのアレルゲン
- 風邪やウイルス感染症
- タバコの煙、冷たい空気、強いにおいなど
アレルゲンや刺激物を避け、定期的に治療を継続することが予防につながります。
咳喘息は、放置すると気管支喘息に移行するリスクがあるため、早期診断が重要です。
咳が長引く場合は早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。
運動誘発性喘息

運動誘発性喘息は、運動中または終了後に息切れや咳、喘鳴(ゼイゼイ音)などの症状が現れるのが特徴です。
発症する時間により、以下の2タイプに分かれます。
- 即時反応:運動直後に発症し、30分ほどで回復。
- 遅延反応:運動後6〜12時間後に発症する。
運動誘発性喘息は、運動をきっかけに気道が狭まるために起こります。
冷たい空気や乾燥した環境で悪化しやすく、冬場の運動時に特に注意が必要です。
予防するためには、以下の対策を行いましょう。
- 十分なウォーミングアップを行う
- マスクで冷たい空気を防ぐ
- インターバルトレーニングを取り入れる
- 湿度の高い環境で運動する
- 運動の15分前に短時間作用性β2刺激薬を吸入する
- 吸入ステロイド薬やロイコトリエン受容体拮抗薬で日常的に気道を管理する
運動誘発性喘息は適切な治療や対策で症状を予防できるため、運動を安全に続けられます。
しっかり治療を継続しましょう。
アスピリン喘息
アスピリン喘息は、アスピリンやNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)服用により喘息発作(喘鳴、息切れ、咳、胸の圧迫感など)が引き起こされる疾患です。
主に成人女性に多く見られ、成人喘息患者の約5〜10%を占めるとされています。
アスピリン喘息では、以下の併発症状が見られます。
- 鼻ポリープ
- 慢性副鼻腔炎
- 嗅覚低下
- 鼻づまり
- 顔面紅潮
- 消化器症状(腹痛、下痢)
アスピリン喘息では、アスピリンなどのCOX-1阻害作用が強いNSAIDsで症状が悪化しやすいです。
しかし、すべてのNSAIDsで過敏反応が誘発される恐れがあります。
比較的安全とされているカロナールやセレコックスなどの薬剤も、必ず医師の指導のもと使用してください。
過敏体質は生涯続くため、適切な薬剤選択と併発疾患(鼻ポリープ、慢性副鼻腔炎)の管理が重要です。
医師と連携しながら、適切な治療を継続しましょう。
アトピー型喘息と非アトピー型喘息の治療法
喘息治療では、症状をコントロールし、発作予防・健康的な生活が目標です・発作が起きない状態をコントロールして、健康な生活を送ることが目標です。
薬物療法
薬物療法では、両タイプとも吸入ステロイド薬が基本です。
アレルギー治療が重視されるアトピー型喘息の治療では、以下の薬が使われます。
- 吸入ステロイド薬
- 抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)
- 生物学的製剤
- ロイコトリエン受容体拮抗薬
非アトピー型喘息は、急性発作時を迅速に緩和する短時間作用型の気管支拡張薬(SABA)が重要な役割を果たします。
- 吸入ステロイド薬
- 気管支拡張薬
- 抗コリン薬
- 抗炎症薬
発作を繰り返すと、狭くなった気道がもとに戻りにくくなるため、発作が起きないように気管支の状態を保つことが重要です。
薬以外で行えること
日常生活を改善し環境を整えることで、喘息の症状のさらなる軽減を期待できます。
アトピー型・非アトピー型 共通の対策
- 湿度管理によるカビの発生防止
- 禁煙
- 喘息日記の記録
- 定期診察
アトピー型喘息の対策
- アレルゲンの除去(掃除、空気清浄機の活用)
非アトピー型喘息の対策
- 感染症予防(手洗い、うがい、マスク)
- ストレス管理
適切な対策を継続することで、薬物療法を補完できます。
より快適な生活を目指しましょう。
喘息を正しく理解し治療を続けましょう
喘息には、アトピー型喘息や非アトピー型喘息をはじめ、さまざまな種類があります。
それぞれの特徴や治療法を理解し、正しいアプローチを取ることが、症状の改善や発作の予防につながります。
薬物療法と生活改善を組み合わせ、医師と協力してより良い生活を目指しましょう。
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参考文献
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- MSDマニュアル家庭版「喘息」
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- 公益社団法人 福岡県薬剤師会「[PDF] 14. アスピリン喘息患者への解熱鎮痛消炎薬の投与」
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- 厚生労働省「[PDF] アスピリン喘息の定義, 呼び名の変遷 – B.医療関係者の皆様へ」