突然汗が止まらなくなったり、顔が熱くなってのぼせたりと日常生活に大きく影響を及ぼすのがホットフラッシュです。
ホットフラッシュは閉経前の女性の多くが経験し、中には仕事や日常生活が困難になるほど重い症状がでることもあります。
本記事ではホットフラッシュの原因、食べ物や飲み物で症状を軽減する方法、ホルモン補充療法や漢方薬による治療法についてご紹介します。
ホットフラッシュとは
ホットフラッシュとは、更年期障害の症状の一つで、突然に大量の発汗やほてり、動悸などが起きることをいいます。
「暑くないのに急に汗が流れだす」「洋服が汗でびっしょり」「急に顔が赤くなる」「のぼせから頭痛や吐き気」など症状は人によって様々で、1~2分でおさまる短いものから、1時間ほど続くこともあり個人差が大きいのが特徴です。
ホットフラッシュの原因
ホットフラッシュの原因は、主に女性ホルモンの低下と自律神経の乱れです。
ホットフラッシュは更年期障害の症状の一つですが、更年期とは閉経前後の5年、一般的には45歳~55歳くらいを指します。
この時期は女性ホルモンが低下しバランスがくずれやすくなる他、生活において仕事や育児、介護などによって負担やストレスが大きくなる時期でもあり自律神経が乱れやすくなります。
ホルモンバランスの乱れ
更年期には卵巣機能が低下することにより女性ホルモンであるエストロゲンが急激に減少し、ホルモンのバランスがくずれます。
エストロゲンは脳の視床下部からの命令で分泌されていますが、脳の視床下部は自律神経をコントロールしている場所でもあります。
ホルモンバランスが乱れると血管の収縮・拡張を行っている自律神経のコントロールもうまくいかなくなり、ホットフラッシュなどの症状が起こります。
その他(ストレス・睡眠不足・運動不足など)
自律神経は精神的なストレスの影響を受けやすく、ストレスや睡眠不足が更年期障害の症状を悪化させます。
また、ウォーキングなどの適度な運動は自律神経を整える効果があるため、普段から運動する習慣がない方は自律神経が乱れやすいといわれています。
ホットフラッシュに効く食べ物・飲み物
食品は医薬品とは異なるため即効性はありませんが、日常生活に取り入れていくことで、ホットフラッシュをはじめとした更年期症状を軽減できる可能性があります。
身近な食品をピックアップしていますので、是非取り入れてみてください。
摂り入れたい栄養素
<イソフラボン>
大豆や大豆製品に含まれているイソフラボンには、女性ホルモンであるエストロゲンに似た作用があることが知られています。
大豆イソフラボンが腸内細菌によって分解されるとエクオールという物質になり作用しますが、人によってはエクオールを産生できない場合があり、エクオール自体をサプリメントで摂取する方法もあります。
大豆製品には豆腐や豆乳、納豆、きなこなどがあげられます。
食事で大豆製品を取り入れるのが難しい場合は、飲み物を豆乳にしたり、きなこを入れて飲むようにしたりすると毎日摂取しやすくなります。
<ビタミンE>
ビタミンEは血液の循環を良くして手足の冷えを改善したり、ホルモンバランスを整えたりする効果が期待できます。
オリーブオイルや紅花油などの植物油、ナッツ類、かぼちゃやモロヘイヤなどの緑黄色野菜、小麦胚芽などに多く含まれています。
サプリメント等で補給することもできますが、ビタミンEは脂溶性ビタミンであり許容上限量が設定されているため目安量を守りましょう。
<ビタミンB6>
ビタミンB6にはホルモンバランスを整える作用があり、ビタミンB6を摂っている人ほど、更年期のほてりやのぼせなどの症状が軽いといわれています。
ビタミンB6は赤身の肉や魚、レバー、バナナなどに多く含まれています。
注意点・避けたいもの
刺激物やカフェイン、アルコールは更年期症状を引き起こす引き金になることがあるため注意が必要です。
<唐辛子などの刺激物>
唐辛子に含まれているカプサイシンは交感神経を刺激し、ほてりやのぼせを悪化させる可能性があります。
<カフェイン>
コーヒー、緑茶、エナジードリンク、チョコレートなどに多く含まれているカフェインは交感神経を刺激するため、摂りすぎてしまうと自律神経を乱しやすくなります。
カフェインレスコーヒーやルイボスティー、ハーブティーなどを選ぶようにしましょう。
<アルコール>
アルコールには血管拡張作用があるため、ほてりや顔の赤みを引き起こしやすくなります。ホットフラッシュがある場合は少量に留めるか、控えることをおすすめします。
ホットフラッシュの治療法
ホットフラッシュの治療にはホルモン補充療法や漢方薬がよく用いられます。
これらの2つは組み合わせて使用される場合もあります。
ホルモン補充療法
更年期障害の症状は、女性ホルモンの低下が原因となっている場合が多いため、不足している女性ホルモンを飲み薬や塗り薬、貼り薬などで補うことで、ホットフラッシュをはじめ更年期の不調を軽減することができます。
ただし、ホルモン補充療法は女性ホルモンによって子宮体がんや乳がんが悪化する可能性があるため、既往がある場合は避ける必要があります。
治療開始前には検査を受けて疾患の有無を確認した方がよいでしょう。
漢方薬
更年期障害の治療には漢方薬が使われることがあります。
漢方薬は女性ホルモンを増やすわけではないため、子宮体がんや乳がんの既往がある方にも安心して使用できます。
多汗や強い肩こりなどがある人には「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」、のぼせや興奮などがある人には「桃核承気湯(とうかくじょうきとう)」が更年期症状でよく処方される漢方薬です。
食事からホットフラッシュを改善していきましょう
ホットフラッシュは食べ物や飲み物など、日頃の食生活の改善で軽減できる可能性があります。
しかし、40代以降は更年期症状だけでなく様々な病気を発症しやすい時期でもあり、ホットフラッシュと似たような症状をもつ病気が隠れている場合もありますので、自己判断せずに専門医に診てもらうことがすすめられています。
とどくすりは、薬局へ行かずに処方せんの薬を宅配便で受け取れるサービスです。
処方された薬についてはオンラインで薬剤師から説明を受けられるため、ネット環境がある場所であれば、どこからでも処方薬について問い合わせることができます。
ホットフラッシュをはじめとした更年期症状の処方薬の受け取りには、是非とどくすりの活用をご検討ください。
参考文献
-
- 東京都産業労働局 更年期症状で汗が止まらず、恥ずかしくて会議で積極的になれない
-
- 厚生労働省研究班監修ヘルスケアラボ ホットフラッシュ
-
- 厚生労働省研究班監修ヘルスケアラボ 更年期の治療法