貧血症状との向き合い方。予防や改善の方法について知っておこう

貧血 症状

軽度の貧血の場合は無症状であることも多く、健康診断などの血液検査ではじめて貧血に気が付く人も少なくありません。
しかし、貧血症状の原因には重い病気が隠れている場合もあるため、注意が必要です。

本記事では貧血の種類や特徴、治療法などをご紹介します。

貧血とは

貧血とは、赤血球に含まれるヘモグロビンの濃度が低下した状態をいいます。
ヘモグロビンは血液中で酸素を体の隅々に送り届ける働きをしているため、貧血になると全身が酸欠状態になり、さまざまな症状を引き起こします。
同じく貧血の検査で用いられやすいヘマトクリットは、血液中に占める赤血球の割合を指しており、低い場合は貧血の可能性があります。

貧血の前兆

酸素を運ぶ働きをしているヘモグロビンが不足気味になると、酸素が必要な細胞が酸欠状態になるため、疲れやすい、顔色が悪い、少し動いただけで息がきれる、などの症状がみられるようになります。
症状が進み貧血状態になると、動悸や息切れ、爪がスプーン状に反り返る、味覚障害、やる気の低下などの症状が現れます。

脳貧血との違い

血の気が引くような感じがして気分が悪くなる、立っていられなくなるなどの症状が起きる脳貧血は、ヘモグロビンの量とは関係なく起こります。
血管迷走神経反射という現象により、一時的に血圧が低下し脳に行く血液量が減ることにより引き起こされます。

妊娠中の貧血の特徴

女性は、月経や妊娠で多くの鉄を必要とします。
妊娠中の貧血は鉄欠乏性貧血であることが多く、胎児の赤血球を作るのに鉄が使われ補充が追い付いていないことが原因で起こります。
妊娠中は他の栄養素も不足しやすくなるため、鉄分の補給はもちろん、他の栄養素もバランスよく摂るような食事を心掛けることが貧血を防ぐためには重要となります。

生理との関係

生理中の女性は経血と一緒に鉄分を失うため、貧血になりやすいといわれています。
著しく経血が多い場合は、婦人科系の疾患が隠れていることもあるため、一度専門医を受診することをおすすめします。

貧血の種類・原因

貧血には色々な種類がありますが、鉄の欠乏で起こる鉄欠乏性貧血である方が多数を占めます。
また、他の疾患症状がきっかけで貧血状態になっている場合もあるため、原因を把握して対処することが大切です。

鉄欠乏性貧血

鉄欠乏性貧血は、鉄の欠乏で起こる貧血です。
鉄が欠乏する原因は大きく3つあります。

  • 思春期や妊娠女性で鉄の需要が増える
  • 鉄の摂取不足や吸収低下による鉄の供給不足
  • 生理や消化管出血による鉄の損失

ヘモグロビン値と共に貯蔵鉄を示すフェリチン値が低下していることが血液検査で確認できる場合は、鉄欠乏性貧血と診断されます。

溶血性貧血

何らかの原因で、血液中の赤血球が破壊されて起こる貧血を溶血性貧血といいます。
通常の貧血の症状に加えて、ビリルビン値が上昇することにより黄疸や胆石、褐色尿などがみられます。
鉄欠乏性貧血はゆっくりと進行する場合が多いですが、比較的短期間で貧血の症状が進行した場合は出血や溶血が疑われます。

再生不良性貧血

再生不良性貧血は、骨髄で血液が造られないために、赤血球、白血球、血小板など血液中のすべての血球が減ってしまって起こる貧血です。

腎性貧血

赤血球の合成に関与するエリスロポエチンは腎臓で作られているため、腎機能が低下すると赤血球が減り貧血となります。

二次貧血

血液系の疾患以外が原因で、二次的に赤血球が減り貧血症状が起こることを二次貧血といいます。
腎機能や肝機能の低下、がんなどが挙げられます。

貧血の予防におすすめの食べ物・飲み物

貧血の多くは鉄分の不足で起こることが多いため、予防としては毎日失われていく鉄分をしっかり食事で補うことが大切になります。
鉄分の他、ヘモグロビンの元となるたんぱく質や赤血球が作られるときに必要な葉酸、ビタミンB12を含む食品も積極的に摂りましょう。

おすすめの食べ物

鉄分は大きく2種類あり、レバーや赤身の肉、魚に多く含まれる「ヘム鉄」、野菜や卵、牛乳に多く含まれる「非ヘム鉄」があります。
ヘム鉄の方が体内への吸収率が高く効率よく鉄分を摂取できますが、非ヘム鉄であってもビタミンCを含む食品を一緒に摂ることで吸収率が上がります。

<ヘム鉄を多く含む食品>

豚レバー、牛レバー、鶏レバー、かつお

<非ヘム鉄を多く含む食品>

豆乳、納豆、大豆、小松菜、ほうれん草、ひじき

おすすめの飲み物

鉄分を含む飲み物としては青汁やココアがあります。
また、お茶やコーヒーに含まれているタンニンは鉄分の吸収を妨げる働きがあるため、食事中は水や麦茶、ルイボスティー、杜仲茶などがおすすめです。

貧血の改善に向けた治療

貧血を引き起こしている原因によって治療法が異なり、原因が何らかの疾患による場合は根本的な原因を治療しない限り、貧血症状は改善しません。
ここでは、貧血の中でも最も多い鉄欠乏性貧血の治療についてご紹介します。

処方薬

鉄欠乏性貧血の治療は、鉄剤の処方薬が基本となります。
鉄剤は吐き気や下痢、腹痛などの副作用が起こる場合もあります。
鉄剤を飲むのが難しい方や、吸収力が低下した方は鉄剤を点滴で投与する方法もあります。

市販薬

市販薬は主に鉄欠乏性貧血に対する鉄剤や、食欲不振を改善する漢方薬があります。
市販薬の鉄剤は鉄分と同時に、鉄の吸収を良くするビタミンCや、貧血で不足しやすいビタミンB12、葉酸が配合されたものがあり、手軽に貧血に対する栄養素を摂取しやすいメリットがあります。
しかし、貧血の原因が鉄欠乏性貧血ではなく別の病気が隠れている可能性もありますので、まずは医師による検査や診断を受けることをおすすめします。

貧血が続くようなら病院で診断を受けましょう

貧血はすぐに重い症状が出ない場合が多く、健康診断などで指摘されてもそのままにしてしまう方も少なくありません。
しかし、貧血の原因が慢性的な出血や重篤な病気の可能性もあるため、貧血症状が続くようでしたら病院の受診をおすすめします。

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参考文献
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット 貧血の予防には、まずは普段の食生活を見直そう
  • MSD マニュアル 家庭版「貧血の概要」
  • MSD マニュアル 家庭版「妊娠中の貧血」